連続テレビ小説「エール」 (第14回・2020/4/16) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第3週『いばらの道』の
『第14回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
裕一(窪田正孝)は商業学校を卒業し、川俣にある伯父・茂兵衛(風間杜夫)の経営する銀行に住み込みで働くことになる。銀行支店長の落合(相島一之)、行員の鈴木(松尾諭)、事務員の昌子(堀内敬子)、そして行員2年目の新人松坂(望月歩)は裕一を歓迎する。将来は銀行頭取になるかもしれない裕一は町の噂になっていた。ある日、裕一はダンスホールに出かけることになり、志津(堀田真由)という美しい女性と出会うが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバン無し…で「第2章・川俣銀行編」の始まりを演出か!?
おお、前回で父・三郎(唐沢寿明)の「諦めんなよ」の一言で、残酷にも完全に圧し潰された裕一(窪田正孝)が商業学校を卒業し、川俣にある伯父・茂兵衛(風間杜夫)の経営する「川俣銀行」に住み込みで働くことになり、銀行支店長の落合(相島一之)、行員の鈴木(松尾諭)、事務員の昌子(堀内敬子)、そして行員2年目の新人松坂(望月歩)が笑顔で大歓迎するところで終わった。
だから、今回はどんなアバンタイトルで始まるのかとワクワクして見たら、何とアバンが無くて、冒頭から主題歌とメインタイトル。
そう言えば、本作の第1回も相当斬新なスタートだったが、これは明らかに「第2章・川俣銀行編」(と、行ったら良いだろうか?)が始まることの視聴者への宣戦布告と言える。やはり、「演出で魅せよう」と言う努力が伺える…
機織り工場のモノクロの映像をインサートが良かった…
昭和3年10月。まあ、舞台設定が新しくなったから、主題歌明けから、いつぞやと同じにナレーションによる説明のオンパレード。まあ、脚本家(今は離脱しているが)が書いちゃったのだから、やるしかないのだろう。しかし、このナレーションの時は、演出家が頑張ったと思う。
N「裏から聞こえて来る機織り機の規則正しい音が
いい具合に眠気を誘い
暇すぎて憂鬱になるぐらい
何とも のんきな仕事風景でした」
この時に、昭和の当時の、機織り工場のモノクロの映像をインサートした。映像からは、あまり眠気を誘うような感じは伝わらなかったが、2カットに分けてインサートしたことと、窪田正孝のこっくりこっくりする演技が絶妙にマッチしていて、ちゃんと滑稽な場面に仕上がっていた。
まっ、これだけ大量のナレーションを書かれたら、演出家もやりようが無いと思う…
「裕一が社会勉強に誘われている一方 喜多一では…」は必要?
4分過ぎ、鈴木が退勤後に「ザ・カワマタ・ダンス・ホール」に裕一を連れ出すシーンと、次の裕一の実家・老舗呉服屋「喜多一」との繋ぎ目に、こんなナレーションが被さっていた。
N「裕一が社会勉強に誘われている一方 喜多一では…」
このナレ、必要だろうか? 確かに、鈴木が裕一を誘ったことを「社会勉強」と例えたいから書いたのだと思うが、映像と演技を見ていれば、十分に分かることだから、これは不要だと思う。その後も、幾つも不要だと思ったナレーションがあるから、ここでまとめて書いておく。
ナレーションが多過ぎて、ほぼラジオドラマなのは頂けない!
確かに、祐一は吃音であるし、そもそも口数の少ない男だから、説明せざるを得ないのは、それなりに理解も納得もしている。また、プロのナレーターの演技力は、聴いていて耳障りも良いし、本作らしい世界観を創出する役割の一つを担っているとも思う。流石だ。ただ、場面転換まで説明してしまっては、映像が “ある” 意味が無い。
もはや、ほぼラジオドラマのレベルになってしまう。まあ、離脱した林哲司氏の脚本は今週いっぱいで終わるから、あと2回だけ我慢すれば解消される可能性はある。どうか、この「モノを語って物語を紡いで行く」と言う、良い意味でのこのナレーションを、来週からは適切に使って欲しいと願うばかりだ。
微かに聞こえるラジオの小唄が、三郎とまさの夫婦のワビサビを!
5分過ぎの場面転換後の「喜多一」にも演出の工夫があった。前回で残酷な言い方で裕一を養子に出した三郎が店内に腰掛けてしんみりしている。ナレーションもない。あるのは、演者の台詞だけ…と思いきや、背後に薄っすらとラジオの音と思われる、やや籠った音質で「小唄(都都逸かも?」の芸者と三味線の音が付けてあった。
数年前からモスキート音が聞こえないオジサン(汗)が微かに聞こえる程度の音量だ。その音量のさじ加減が実に絶妙だ。大き過ぎると明らかに台詞の邪魔をする、誰もが聞こえる程度だと近所の料亭から音が漏れているような感じになって不景気なのに景気が良い雰囲気になってしまう。
そこで、この絶妙な音量でラジオ風の音楽を流すことで、閉店後で浩二(佐久本宝)が帰宅するまでの “ちょっとした夫婦だけの時間” の裕一がいなくなった “夫婦の虚無感” を紛らわすために、三郎かまさ(菊池桃子)が店先でなく、奥の居間か台所でラジオをかけていた…と想像できる。
1分間にも満たないナレーションが書かれていないシーンを、落語でもニュースでも歌でも音楽でもなく、純和風の小唄だからこそ表現出来る “日本の夫婦のワビサビの世界” を創り出した。お見事!
ナレーションの無いシーンでの "劇伴の使い方" が丁寧
7分過ぎにも、効果音を使った演出と、細かな演出が光った。ダンスホールで裕一が志津(堀田真由)にチケットを渡すくだりだ。
「喜多一」のシーンからダンスホールまで、これまた不要なナレーションが被っている時は、軽快なクラリネット主体の劇伴を貼り付けてコミカルさを醸し出して、そのまま窪田正孝さんと松尾諭さんのコント風が始まると、劇伴がフェードアウト。このダンスホールはバンドの生演奏の設定だから、無音と言うことは演奏をしていないってこと。
無音の場面に「教会の鐘の音」、コミカルな演出として光った!
そこをちゃんと描写していた。演奏者同士が話し合ったり、楽器をチューニングしたりする芝居をさり気なくさせて、無音の違和感を払拭させた。そして、志津がチケットを受け取った瞬間に無音のシーンに、「教会の鐘の音」が響く。
もちろん、裕一の心の中で「カ~ン カ~ン」となっている訳だが、「なんと 裕一のチケットを受け取った女性がいました!」と言うナレが無いから出来た技。登場人物の心情を効果音で表現すると言うのは普通だが、本作に於いては、これまで殆ど無かったから、コミカルな演出として光ったと思う。
「残酷だよ… 父さん」から「死んだフナ」のギャップが楽し過ぎる!
9分頃、前回では「残酷だよ… 父さん」と言う名台詞で泣かせた印象的な場面があったのに、今回は、そんな悲劇の主人公を、事務員の昌子がこんな台詞で落としちゃうのだから面白い。
昌子「夢破れて来てっから いっつも
死んだフナみてえな目してたのよ」
「死んだフナ」だもん。確かに録画を見てみると、うとうと居眠りをしてない時の裕一の目は、確かに「死んだフナ」。そして、一夜明けてソロバンを抱いたり、いじって音を出したりと、夢うつつの裕一は別人だ。
「恋や愛する人を生きるエネルギーに変えられる人」のネタ振りか?
そして、支店長の落合のこの一言が、本作の貴重なキーワードに結び付いて行くように思う。
落合「恋で彼を元気づけよう作戦です」
その後も、バンドを巧みに使って「音楽」が本作の大きなテーマであることを印象づけながら、一方で、「恋」をかなり強調してきた今回。確かに、今の裕一は夢であり得意なことである「音楽」を奪われたのだから、祐一が生きる、動き出す何らかのエネルギーを描く必要があるわけだ。
そして、視聴者は、この志津が裕一の結婚相手で無いことは既に知っている。従って、この志津との恋バナを描くことで、「裕一は、作曲だけでなく、恋愛や愛する人をもエネルギーに変えることが出来る人」と言う、ネタ振りになっているわけだ。
これ、まだ描かれていないが、音(二階堂ふみ)も「歌うことだけでなく。恋愛や愛する人をエネルギーに変えることが出来る人」と言うのが描かれると、益々楽しくなると思う。
あとがき
銀行関係者で紅一点の堀内敬子さんの演技が輝いていますね。その見せ場で終わると思いきや、最後の最後で『エール』のメインビジュアルに使用されている色彩を使った「交際の境界線についてはまたああした!」の一文字一文字がモール紐でぶら下がった「次回の予告」は楽しかったです。
急にコミカルな展開と演出を盛り込んで来たのには驚きましたが、こんなご時世ですから、シリアス一辺倒でない作風に心が救われました。
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古関裕而 応援歌の神様 激動の昭和を音楽で勇気づけた男 (PHP文庫)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/14066/
【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 土
第2週『運命のかぐや姫』
6 7 8 9 10 土
第3週『いばらの道』
11 12 13
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