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連続テレビ小説「エール」 (第10回・2020/4/10) 感想

連続テレビ小説「スカーレット」

NHK総合・連続テレビ小説『エール』公式サイト
第2週『運命のかぐや姫』の 『第10回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


先行きが不透明な馬具店と取引しようとする業者はほとんどなく、関内家は事業継続のピンチを迎える。それでも明るくふるまう光子(薬師丸ひろ子)だったが、心配した三姉妹は知恵をだしあって、あるものを見つけ出す。一方、学校では音(清水香帆)の学芸会が近づいていた。明るく練習する音とは対照的に、かぐや姫を演じる良子(田中里念)はなぜかうかない顔。良子は学芸会当日、思いもよらぬことを言うのだが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

アバンでの薬師丸ひろ子さんの表情がすごく素敵だなぁと思う

前回のラストシーンでもあり、今回のアバンタイトルでもある、音(清水香帆)の父・安隆(光石研)が事故で急死しために、先行きが不透明な馬具店と取引しようとする業者が殆ど無くなり、職人も出て行ってしまい、事業継続の最大にピンチを迎えた関内家。

流石に、いつもは気丈な音も不安になるが、それでも明るくふるまう母・光子(薬師丸ひろ子)のシーン。この時の、薬師丸ひろ子さんの表情がすごく素敵だなぁと思う。自分も不安なはずなのに、明るく振る舞わないといけない…優しい母心みたいなものが、やんわり伝わる演技。

こう言うのが、時に今のご時世には、水前寺清子さんの歌『いっぽんどっこの唄』の歌詞にある「♪ぼろは着てても こころの錦」に通じる日本人の心って感じがする…

主題歌明けの三姉妹のやり取りは楽しくて吹き出しちゃった

主題歌明けの三姉妹のやり取りには、楽しくてつい声を出して吹き出してしまった。職人がいなくなったから、誰かが三姉妹のうちの誰かが男になって家業を継げと、何とも強引な妙案? を思い付く音。それに、速攻ちゃっかり賛同する妹の梅(新津ちせ)と、困惑する姉の吟(本間叶愛)の反撃が、本当に楽しかった。

音「怒りって子必要よ。絶対 この危機 乗り越える」
吟「職人さん いなかったら 何もできないじゃん」
梅「誰か 男だったら よかったのに」
音「お姉ちゃん お願い」
梅「お願い!」
吟「はあ!? 何それ? あたし 女だし。
  かわいいお嫁さんになるんだし」
音「諦めて」
吟「いや 音の方が向いとるって 気が強いし」
音「わたしは歌手になるから無理」
梅「わたしは作家」
音「やっぱり お姉ちゃんしかいないじゃん。長女だし」
吟「何で そうなるのよ」
音「なるよ~」
吟「何でよ!?」
梅「明確な将来像を描けとらんから」
吟「へっ? いやいやいや… 考えて?
  歌手や作家になるよりお嫁さんになる方が よっぱど確率高いから。
  わたしの方が明確じゃない?」
梅「お姉ちゃんって 時々鋭いよね」
音「時々ね」

よくぞ、この台詞回しを考えたものだと感心してしまった。だって、今回を初見の視聴者でも、三姉妹の特徴や個性を僅か1分ちょっとで伝えちゃったわけだから。

その後の、三姉妹が協力して契約書を探して、光子が契約内容で軍に関係する施設に品物を納入している業者・打越金助(平田満)に泡を吹かせて逆転成功するくだりまで、実にスムーズ。この位にテンポが良いと、本当に気持ちがいい。

光子が音を過剰に子ども扱いしないのがいい…

前回で、葬儀の1週間後、明るい夕暮れの海辺の砂浜にある流木に腰掛ける音ら三姉妹と光子のシーンで梅と光子の下記のやり取りがあった。

 梅「お父さん 痛かったかな?」
光子「痛かっただろうね…」

娘たちを心配させたくないから「痛くなかったと思う…」と言うのではなく、「痛かっただろうね…」と亡き夫、亡き父の勇気を共有しようとする光子の母としての優しさと強さを描写した名シーンだ。恐らく、このシーンと “対” になっているのが、安隆の仏前での音と光子の以下のやり取りだと思う。

 音「あたしたちと会えんくなったこと 後悔してないのかな?」
光子「あたしたちを残したことは 悔いていると思う」

光子って、娘たちの意見や考えを基本的に否定しない。娘たちに共感した上で、今回で言うならば「だから… 体が 先に 動いちゃったんじゃないかな?」と、前回での音が言った「お父さんは何で たしたちを残して 人の子を助けたの? あたしたちより その子のことが大切だったの?」にも、ちゃんと答えを伝える。それも、妙な子ども扱いをせずに、真面目に答える。

「七五三詣で」は、現代のように医療が発達していなかった時代では幼い子の死亡率がとても高く、「7歳までは神の子」と言われ、8歳からは大人…的な考えが日本にはあるから、光子が小学6年生の音を過剰に子ども扱いしないのが、私が好きな “ドラマに出て来る母親像” だ。

音が学芸会の台本を月明りで読んでいるシーンの演出を解説

さて、ある読者さんから、演出面についても書いて欲しいとのコメントを頂戴したので、恐らく気付く人は誰もいない、こじゃれた演出を紹介しようと思う。

7分頃、音が学芸会の台本を月明りで読んでいるシーンがあった。この前段で、音は父親の「やらずに後悔するより やって後悔した方がいいってな」を思い出しているから、以前の記事『[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~』によれば…

音は「安心した気持ちだから、位置は上手(画面右)」で、「上昇志向や希望が見えてきたから、目線の向きも上手(画面右)」でなければならない。ちょうど、放送されたカットを裏返した構図にするべき。でも、本作の音は、位置は下手(画面左)で目線も下手(画面左)と真逆。おかしい。

でも、注目すべきは、このカットでの音のすぐ後ろに制服が掛けてある暗い部分を作っている点だ。その直後のカットは、音のアップで、音の位置は上手でも下手でもなく中央で目線だけ下手。で、その直後のカットが窓のカーテン舐め(越し)の満月が上手の位置にあるカット。

そう。この演出家は、この3つのカットの最初のカットで、敢えて音を「不安や寂しさを表すために、位置を下手(画面左)」にして、音の目線の先にある月を上手(画面右)にして、月で父の言葉で安心を得た音の気持ちを表現したのだと思う。「月=かぐや姫」と、なかなか洒落た脚本と演出だと思う。

かぐや姫の舞台のシーンで、一番好きな連続4カットを解説

満月の情景カットの次は、晴れた日の学芸会本番の日。良子(田中里念)からのお願いで、急きょ「かぐや姫役」をやることになった音。ここの、舞台袖から舞台中継と客席の切り返しも、実に心地良かった。文字で書くのは大変困難を極めるので、一か所だけ感心したカット割りを書くと…

かぐや姫が「できれば おじいさんと おばあさんと 一緒に 年を重ねていきたかった。でも… これで お別れです。さようなら」と言う台詞の前後を含めた4カット。1カット目は、主役を上手く演じているのが嬉しくて手をたたく笑顔の客席の光子。2カット目のカメラは「光子の目線」で視聴者を光子に同調させる。

3カット目で、かぐや姫を演じる音の台詞に、亡き夫を重ねて涙ぐむ光子。4カット目は、台詞の「さようなら」を天国の父に言った音の寂し気なアップ。この4カットが、今回でここまで描いて来た「光子と音のやり取り」の着地点になっている。

「週6放送」なら、ここで「つづく」となって、土曜日に行くはずだ。でも、本作に土曜日はない。だから、まず、従来であるところの「金曜日分」は、この4カットでけじめをつけた…と思う。

音が歌う『♪朧月夜』に、泣かされた!

で、10分の時点で、一つの着地点に到達した上で、「そして 最後の場面」と語りを入れて、従来の「土曜日分」に入って行く…と言う構成だ。音が『♪朧月夜(おぼろづきよ)』をスポットライトを浴びて歌い出す。歌い出すが、在りし日の父との楽しい思い出が邪魔して、上手く歌えない。

でも、海辺での回想シーンの頃から、音の歌声は明らかに “力強く” なり、ステージ上にカットが戻ると、音の表情にも笑顔と力強さが映る。客席で泣く光子のアップ。吟と梅はちょい引きの画でエキストラと一緒にしたのは、良子と母との関係も一件落着したのをちょっと強調したかったからだと思う。

要は、『かぐや姫』では、「母と娘の物語」を重ねたと言う仕掛け。おいおい、朝から泣かせるなぁ。

12分過ぎの海辺のシーンも、ちょこっと演出の解説を

12分過ぎの海辺のシーンも、音と、娘の言うことに同調して否定しない光子のやり取りから始まった。

 音「お父さん 見に来てくれたかな?」
光子「決まってるじゃない」

そして、「いつでも どこでも見てるわ お父さんは」と、その根拠をちゃんと伝える。きらめく海の水面に、逆光の母子四人。

1カット目は空と砂浜の高さ方向の分量を同じにして打ち寄せる波を少し強調して不安感をちょっぴり出して、前向きな個々のアップを挟んで、最後はドンと引いたロングショットの逆光の母子のカットは、上部の半分を空にして(水平線が上下の真ん中ってこと)、前向きに生きていく雰囲気を醸し出した。好天に恵まれたせいもあるが、美しいシーンだと思う。

あとがき

「かぐや姫」役を自ら降りた良子が、音の代わりに「おじいさん2」をやらなかったのには、ちょっと解せませんでしたが。

ただ、先日も書いた通り、本作が「 主人公の一代記を “夫婦の二人三脚で描く朝ドラ” であるなら、単純にW主演、W主人公になるわけで、その意味で、第1週は裕一の幼少期、第2週は音の幼少期だけを描くことに特化したのは大いに評価したいです。

個人的には、祐一と音に興味を十分に抱かせたと言う意味で、半年間の “ツカミ” はオッケーだったと思います。となると、第4週で脚本家交代してからが、どうなるかですね。でも、今週も楽しかったです。

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【これまでの感想】

第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 
第2週『運命のかぐや姫』
6 7 8 9

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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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