連続テレビ小説「エール」 (第5回・2020/4/3) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第1週『初めてのエール』の
『第5回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
日本は急激な不況に見舞われ喜多一の経営が行き詰ってしまう。三郎(唐沢寿明)は、経営を立て直すために必要な金を借りようと奔走するが、ことごとく断られてしまい、頼むべきところはまさ(菊池桃子)の兄の茂兵衛(風間杜夫)しか残されていなかった。一方、裕一は作曲を楽しむようになり三郎から楽譜を買ってもらう。しかし、そんな裕一を妬むいじめっ子の太郎(田村継)と史郎(細井鼓太)が楽譜を奪ってしまい…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
突飛なアバンは主題歌明けへの期待感を高めるのに十分成功!
福島の県下有数の老舗呉服屋「喜多一」の暖簾に、前回のアバンタイトルに登場した「連続テレビ小説」のタイトルの出し方で始まった第5回。
これまでの朝ドラならば、あと1日、土曜日があったのだが、今作から「本編は週5、土曜日は週の振り返り」となるため、これを週の終わりと受け取るべきか、土曜日の解説を含めて1週間なのか、微妙なところだ。
しかし、何はともあれ、やはり、ナレーションが無い方が、明らかにドラマらしい雰囲気が漂う。今回も映画『ピンクパンサー』風の劇伴から始まって、怪しげに「喜多一」の店内をのぞき込む藤堂清先生(森山直太朗)からスタート。
そして、コケる三郎(唐沢寿明)で主題歌へ。唐沢寿明さんの名演技におんぶにだっこの1シーンだが、前回のラストからの繋がりとは思えぬ、突飛なアバンは、主題歌明けへの期待感を高めるのには十分成功したと思う。こう言う、期待感の持たせ方はとても良いと思う。
3方向の障子の明るさの違いが実にリアルで日本家屋らしい演出
さて、アバンタイトルでは、藤堂先生がいた暖簾の外側は夕方とは言えぬ「午後の太陽のまだ高い」白っぽい明かりで、店内は電灯による橙色系の色で、屋外と店内の違いを照明で表現していた。
そして、藤堂先生が案内された「蓄音機」がある居間は、どうやら3方向に障子があって、真正面は縁側に沿っていて明るく日が射し、下手(画面左)側は玄関に通じる廊下に面しており少し外光が入り、上手(画面右)側は廊下などに面しておらず恐らく隣の部屋に続いているため奥が暗くなっている。
この3方向の障子の明るさの違いが、実にリアルで日本家屋らしい演出をしたと思った。
第1週は「明日が見たい」と思わせる"伏線"の張り方が、巧み!
藤堂先生が三郎に、蓄音機は素晴らしい買い物であると褒めていると、裕一(石田星空)が学校から帰って来る。ここでの、藤堂先生と裕一のやり取りが面白かった、と言うか新鮮だった。
多くの朝ドラでは、主人公に何らかの “才能” があって、幼少期にそのネタ振りがあって、成長する過程の中で “才能” に本人が目覚めたり、他人が認めたりするのに、本作は違った。第3回で、 裕一に「(得意なものは)そのうち見つかるさ」と励ますシーンを受けてのやり取りだ。
藤堂「古山 前に聞いたよな? 得意なものは何かって」
裕一「はい」
藤堂「見つかったんじゃないか?」
裕一「えっ?」
藤堂「人より ほんの少し努力するのがつらくなくて
ほんの少し簡単にできること それが お前の得意なもんだ
それが見つかれば しがみつけ 必ず 道は開く」
裕一「はい!」
ここ、いいね。前段で藤堂先生は、三郎とまさ(菊池桃子)に「裕一君には類いまれな音楽の才能があります」と、きっちりと裕一の才能の内容を告げているのに、祐一自身にはそこまで踏み込まずに、祐一自身に才能の気付かせようとしているのが。
これでまた、この先どうやって裕一が自分の “類いまれな音楽の才能” に気付いて行くのかの楽しみが出来た。そう、やはり、第1週は「明日が見たい」と思わせる伏線をどんどん張るべき。それが直近に回収されようが、かなり先になろうが、「明日が見たい」と思わせるのは重要だと思う。特に、今作から「土曜日と日曜日の、2日間も進展がない」のだから。
今回も、ナレーションが入った途端に、雰囲気ぶち壊し…
藤堂先生に息子が褒められたのを、夜、泣きながら喜ぶ三郎とまさの寝室のシーンのあとの、授業開始のベルの音と「信夫小学校」の校門を入れ込んだ緑豊かな情景カットが実に美しかった。
因みに、この「信夫小学校」のロケ地は、実際に福島県にある大正時代に建てられた木造校舎の旧門谷小学校で、40年以上前に廃校になり、今は建を使用して地域おこしのイベントなどが行われているそうだ。
まっ、説明はそれ位にして、やはり、ナレーションが入って来ると、折角良かった5分までの雰囲気が、残念ながらぶち壊しになるのは、前回と同じだ。
確かに、朝ドラは朝の忙しい時間帯だからテレビ画面を見ていない人にも内容が伝わるようにナレーションを多めにする…と言う根拠は理解するが、これだけ視聴方法が多種多様化している現在では、字幕としても邪魔(もちろん、聴覚障がい者への配慮は必要だが、ここ数日の本作を見る限りでは、映像を見ているだけで十分に理解出来るように映像化されていると思う)だから、もっと削ったら良いと思う。
裕一と久志の"まだ見えぬ運命の糸"を感じさせるやり取り
学校では、既に裕一の作曲の才能が、同級生たちに認められていることが描かれて、祐一がハーモニカ部にも入部したことも、ナレーションがクドいから、映像はサクッと編集したのも演出の妙。そして、時間はさっさと放課後になって、家への帰路をハーモニカを拭きながら歩く裕一に、礼のハイカラな少年・久志(山口太幹)が背後から近づいて来る。
裕一「君… いつも突然いるね」
久志「存在感はあるのに 気配を消すのは得意なんだ」
この辺のファゴット? を使ったユーモラスな劇伴に合わせて、ハイカラで蝶ネクタイの不思議な少年の雰囲気づくりと、祐一との “まだ見えぬ運命の糸” を感じさせるやり取り、そして前述の「明日が見たい」と思わせる伏線の張り方の巧さ。やはり、ナレーションが無い方が断然に面白い。
鉄男とも"まだ見えぬ運命の糸"を感じさせるやり取り
裕一と久志が、ガキ大将の鉄男(込江大牙)が「この前 おめえから買った魚 腐ってたぞ!」とオジサンに押し倒される場面に通り掛かる。土下座して謝る鉄男。いつもは、威張り散らしている鉄男の情けない姿を見てしまった裕一と、見られちゃった鉄男にも、どことなく鉄男とも “まだ見えぬ運命の糸” を感じさせるやり取りも良かった。
慌ててその場を去った鉄男が、“青い” 表紙の「古今和歌集」をその場に忘れて行ってしまったのに気付いた裕一に、久志が鉄男が「学校をやめる」と言う噂を話す。本を久志に返して貰おうとすると、既に久志の姿はない。「君… いつも突然いるね」を受け~ての、突然いなくなる…と言う展開も面白い。
母まさの、二人の息子に関する伏線の張り方も良かった
そして、ドラマは10分頃から突然にシリアス展開へ。三郎が経営を立て直すために必要な金を借りようと奔走するが、悉く断られて、頼むべきところはまさの兄の茂兵衛(風間杜夫)しか残されていなかった。
そして、まさが、兄に頼むのは良いが、二人の息子に関することを知っておいてもらう必要があると。出生の秘密なのか、養子縁組の話なのか分からないが、ここでも「明日が見たい」と思わせる伏線の張り方の巧さを魅せたと思う。
映像だけで魅せる"少年たちの芽生えたばかりの友情"の描写
まさとの会話の翌日か? 昼間に、作曲を楽しむようになった裕一が、三郎に高価な「妹尾楽譜」を買ってもらう。しかし、高価な品を買ってもらい、学校では女子たちに作曲して人気が出て来た裕一を妬む、いじめっ子の太郎(田村継)と史郎(細井鼓太)が、“青い”袋に入った楽譜を奪ってしまう。
楽譜を取り返そうと太郎に向かっていく裕一だが歯が立たない。そこに偶然居合わせた鉄男がチラリと映る。その時の鉄男が読んでいる本は、前段で裕一が拾った “青い” 表紙の「古今和歌集」よりも、小ぶりで “くすんだ湖緑色” の本だ。と言うことは、まだ、祐一は本を鉄男に渡していない可能性があることが映像から分かる。
なのに、鉄男はケンカの仲介役を買って出て、太郎たちが退散して行く。そこで、鉄男が裕一を助けた理由を話すシーンも良かった。
鉄男「初めて 本気で声出したな」
裕一「えっ?」
鉄男「勘違いすんな。その声に免じて 助けてやっただけだ」
と、言い残して裕一に背中を向けて去って行った鉄男。そして、帰宅した裕一が机の引き出しを開けると、正に鉄男の “青い” 表紙の「古今和歌集」が。この辺の、映像だけで魅せる “少年たちの育ち始めたばかりの友情” の描写も、私は好きだ。
チョイ引きの裕一のラストカットが印象的だった…
そして、ラストシーンは、本を返しに鉄男の家の前までやって来た裕一が、鉄男が魚屋「魚治(うおはる)」の店主で父の善治(山本浩司)から暴力を受けている様子。驚く裕一のアップで終わるあと思いきや、藁で編んだ荷物に隠れた、バストショット(胸から上)の、やや小さめの裕一のまま終了。
これ、録画を幾度か見直して気付いたのだが。今回のラストカットが、祐一の どアップだと、次週の予告編が繋がらないと少々変な感じがしたと思う。でも、本来は今回が以前の土曜日、週の最終日だから予告編があっても良いのに「無い仕様」だった。だから、敢えてチョイ引きの裕一で終わらせたのには納得がいった。
裕一のおどおどした感じと、少しずつ成長していく感じの丁寧な描写が良かった。そして、映像的な演出と、子役たちの演技は、現時点ではとても良いと思う。
あとがき
伏線の張り方が巧みですね。見せ過ぎず匂わせる…さじ加減が良いと思います。第1週の俳優と映像は、ほぼ満足です。ただ、まだまだ、演出と脚本の微妙な “ズレ” を感じます。そこが早く無くなると良いなって思います。
そして、予告編がありませんでした。と言うことは、土曜日は単なる「1週間の振り返り」だけでなく、予告編もあるのでしょうか? まあ、取り敢えず初回の土曜日は見てみようと思いますが、予告編だけ見るために土曜日の見ようとは思わないので(公式サイトで見られるはずですから)。本編の姑息な尻拭いと、予告編での視聴率稼ぎの15分間にはならないことを願います。
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【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
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