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スカーレット (第139回・2020/3/16) 感想

2020/03/21 09:34 記事更新
連続テレビ小説「スカーレット」

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』公式サイト
第24週『小さな希望を集めて』の 『第139回』の感想。


 本作は、2020/2/29 にクランクアップ(撮影終了)しています。
 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。


武志(伊藤健太郎)のためドナー適合検査を受けた喜美子(戸田恵梨香)だが、白血球の型が一致せずドナーになれないことが判明。落ち込む喜美子は大崎(稲垣吾郎)から同じ病を抱える患者と家族の会の話を聞くも、父親である八郎(松下洸平)の検査にかすかな望みをかける。照子(大島優子)や信作(林遣都)の家族も検査を受けてくれることに。そんな中、ちや子(水野美紀)から連絡が。一方、武志は病を友人たちに明かしたところ
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

冒頭の「凍った水のバケツ」が良かった!

今回は、アバンタイトルから先週までと全く違った演出を感じた。まず、劇中が「昭和59年(1984)2月」であるテロップの背景映像が、いつもの川原家の全景カットでもなく、信楽の街の空撮全景でもなく、川原家の屋外に設置された水栓パン(流し)の上のバケツに氷が張っているカットで始まった。

意外だ。良く見ると、水栓パンに置いていない奥の2つのバケツは空で、1つのバケツだけ水が満ちたままで凍っている。これだけでも「季節の表現」として本作では意外過ぎる程に丁寧なのに、次のカットは川原家の全景カットだが、庭(土)の部分に水溜まりがあり、凍っている雰囲気もある。空気も少し白く寒さも感じる。

そして、3つのバケツは軒下にあることが引きの画で分かる。なのに、1つだけバケツが凍っている。このことから、前夜に雨が降ったのではないかと言う憶測が出来る。また、軒下の1つだけのバケツが凍っていることで、前日に、誰かが庭か植木に水をやろうとバケツに水を汲んだが、あれこれ忙しくて、結果的にバケツの水を使わずに放っておいたと憶測も出来る。

そう、この僅か週明けの月曜日が、寒さ厳しい季節に入り、この家の住人たちは何やら忙しいことが、今回を初見の人でも分かるように作り込まれている。今週は何か違う予感だ。

喜美子の朝食作りと、武志の寝起きの演出も工夫されていた

その予感は、川原家の庭のシーンの次の、川原家の台所のシーンでも見て取れる。いつもなら居間の角度から台所を映すのに、今回は玄関を入ったすぐの所にカメラを置いて、大胆にも、ぶっとい柱をドンとカメラのど真ん中に据えて、喜美子(戸田恵梨香)が卵を既に火で温まっているフライパンに入れて料理を作っている動作を視聴者に見せた。

いつもなら、今のお膳の上に既に朝食の準備が出来ている状態から始まるのが、本作なのに。

更にシーンが寝て起きそうな武志(伊藤健太郎)になっても、シーンが切り替わった直後だけ、ちゃんと階下の台所からフライパンで卵だけが焼けるのでなく、何かの “炒め物” が焼けるジャーと言う音と、フライパンに菜箸の当たるコンコンと言う音が微かに聞こえて来る。これ、本当に丁寧だ。

久々の"海苔が巻いてある俵おにぎり"とメモ書きも悪くない!

そして、シーンは仏壇の前になって、亡くなった家族に喜美子が手を合わせようと座布団に座ると同時に音楽スタート。静かなピアノ曲と「絶対 死なさへんからな」と言う強い気持ちの喜美子の対比がちゃんと計算されている。

そして、褒めたいカットはまだ続く。喜美子が出かける準備をしたあとに、今のお膳の上に喜美子が作った朝食が乗っている。それが…

第19回(2019/10/21)で、 当時は新聞記者だったちや子(水野美紀)の紹介で、職場を「荒木荘」から「新聞社」に変え、女中として再出発することになり、住まいも「荒木荘」から「新聞社の近く」に引っ越すことになって、いつもは遅く帰ると怒り心頭の女中の先輩・大久保(三林京子)が喜美子との別れが寂しいからか、“海苔が巻いてある俵おにぎり” を用意してくれるシーンを思い出させるような、久し振りの喜美子手づくりの “海苔が巻いてある俵おにぎり” だ。

その上、おにぎりの右上には、冬に美味しくなる青菜と卵の炒め物にラップが掛かけてあり、俵おにぎりと炒め物のラップの内側が薄っすら曇って(湿って)いるから、作り立ての暖かいうちにすぐラップしたことまで分かる。

そして、置手紙には「食べたら、すぐに病院に来なさい」でなく、先程の気丈な喜美子と連動して、「食べたら 来い  薬!」の強い命令口調の手書きメモ。更に、気合を入れて玄関の戸を後ろ手で力強く締めて、さっそうと歩き出す喜美子で、アバン終了。

ここまで、僅か58秒。久し振りに本作のカット割りや編集、そして演出を褒めた。どうやら、ラスト2週になって、演出家が本気になって来たのかも知れない…

ラスト2週目でサブの演出家をメインに。更に男性2名にした訳は…

さて。主題歌中のクレジット・タイトルに、今週の演出担当が、ナント本作初担当の原田氷詩氏と佐原裕貴氏の二人体制であることが分かった。ここへ来て初担当の演出家二名体制とは驚きだ。そして、彼らは以前から「制作・演出スタッフ」として関わってきた人材。だから、これを私は敢えて「朗報」と受け取りたい。

これまで本作は「制作統括・ 内田ゆき×脚本・水橋文美江×メイン演出・中島由貴」の女性三人組で作られて来た。これは女性蔑視とか女性軽視と言う意味でなく、やはり世の中に性差と言うのはあって、考え方ややり方が違う。それが「性」の個性でもあるし、特に「大阪時代」では女性のクリエータたちだからこそ創出出来た、ホンワカしつつも力強い世界観が生まれた。

しかし、第21週『スペシャル・サニーデイ』の脚本がメインライターの水橋氏から三谷昌登氏になった頃から、もしかしたら、NHK内部と言うかスタッフ内部で、ラスト1か月で描く「喜美子と武志の白血病闘病記」は、これまでと違う色合いを出して、どんより&モヤモヤした空気の「穴釜騒動記から離婚話」から、一線を画した内容にしようと、やっきになったのかも知れない。そうだとしたら、その調子で前進して貰いたいと思うのは、私だけでないと思う。

病院の待合室から診察室への流れもスムーズだった

主題歌明けの、病院の待合室のシーンだって、先週までとは明らかに違う。掃除係を配置して奥行き感とリアル感を出しているし、いつも賑やかに登場する看護師(当時は、まだ「看護婦」と言っていたが)・山ノ根(千田訓子)が静かになったし、大崎医師(稲垣吾郎)もおふざけが姿を消して目力が増した。これこそが、「俳優・稲垣吾郎」の演技力発揮の瞬間だ。

カメラアングルとカット割りも実にいいし、丁寧で、勝手に言えば私好みになった。例えば、大崎医師が「白血球の型は一致しませんでした」と言うカットは、画面の下手(左)半分を大胆に喜美子の背中だけにして、上手(右)半分で大崎の目力を強調するアングルになっていた。

また、その大崎の報告を受けて絶望して空虚な気持ちの喜美子の表情を捉える時は、敢えて上手(左)手前にピンク色のレンズのぼかしを入れて、やや明るい雰囲気を醸し出して印象が暗くなり過ぎない配慮をして、更に直後の待合室のカットでも同じ部分に柱を舐めさせて(ぼかして画面に映しこむこと)、今度は喜美子の表情を真正面でなく真横から捉え、背中を丸めたニーショット(膝から上を映すカット)の喜美子でメリハリをつけた。

そして、演出の芸が細かいのは、そんな喜美子に大崎医師が寄って来るのに、わざわざ診察室で思い悩み思い付いて立ち上がる大崎医師の1カットをインサートしたこと。この1カットのお陰で、大橋医師が機械的に患者と接する医師でないこと、喜美子と真剣に向き合おうとしている医師であることが一瞬で分かる。

診察後の街合室での喜美子と大崎のやり取りは賛否両論か!?

そして、喜美子が突然、待合室で体操を始める。このシーンには異論が多いと思う。しかし、私は違った見解を示したい。まず、体操が必要かどうかと言えば、極端なことを言えば、もう世間の目は気にせず、息子の武志の命のために…と言う一心でることを描く目的なら、むしろ「草間流柔道」の掛け声をやる位でも良かったと思う。それに、喜美子のすぐ後ろの待っている患者が少し喜美子に反応していたのも細かいし。

あとは、「患者の会」の話題を待合室でするか、診察室ですべきかの判断だが。ここは、武志が以前子どもの患者と同室だったことから、大崎医師が務める「第二内科」のあるフロアーや一角は「血液内科」を含んでいることになり、そこで「患者の会」の話をするのは、現代設定の『アライブ がん専門医のカルテ』でもやっていたから、私は余り違和感はない。

ただ、「白血病」と病名を言っていたのは、ちょっとやり過ぎ(これは、脚本家の責任)。こんな脚本家の雑な部分は相変わらずあるのだから、こんなの待合室の壁に「白血病患者の会」のポスター一枚を貼るとか、患者たちが持って帰れるようなパンフレット立てから、大崎が「白血病患者の会」の入会チラシを手渡すシーンを入れたら良いだけのこと。もっともっと現場で脚本のダメ出しをして改良したら良いと思う。

気になる点は、まだまだある!

その後は、鬼は夜中に来ると言われているから一般的には豆まきは夜に行うが、当時も今も実際には晩御飯を食べる前か食べてからが現実的なのに、真っ昼間にやるとか、ドナー適合検査を「やって、やって」とせがんだ割に、検査費用を誰がどう負担しているのか実に不明瞭だし、2月だと言うのに、ちや子(水野美紀)から電話がかかって来た時には障子が全開だとか、気になる点はまだまだある。

良くも悪くも先週までとは違う方向を目指していると思う…

ただ、良くも悪くも(私には、良いと思える)先週までとは違う方向を目指しているのは分かった。丁寧に描こうとしているのも伝わるし、無駄も少なくなった。

12分過ぎの、工房の電話で喜美子がドナー適合検査に協力してくれた人たちにお礼を言うシーンでは、喜美子の衣装を変え、時間帯も変え、きちんと「日めくりカレンダー的な演出」をやって、時間経過を映像で見せた。

13分から14分では、縁側に座る喜美子と武志を、「ありがとうございました」の前では、手前に花を舐めて、あとでは花にピントを合わせて二人はぼかして人物だけストップモーションみたいなのは、なかなか表面的には笑顔でも内心は絶望的と言う感じが出ていたと思う。

あとがき

さて、丁寧に描き始めたのは良いと思いますが、残り2週間しかありません。サブタイトル『小さな希望を集めて』から考えると、今週中に適合ドナーは現れないと思います。となると、残り1週間でドタバタと進む可能性はありますね。

個人的には、ハッピーエンドで、爽やかな余韻を残して終わって欲しいです。今、こんなご時世なので。と言うわけで、今週は少し前向きに、好意的に見てみようと思います。いよいよ残り2週まで一緒に観て来て、感想を共有(共感とは言いません)して来た読者さんと、期待したいと思います。※月曜日なので、テンションをアゲ目にしました(笑)

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【これまでの感想】

第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏』
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69 70 71 72(Vol.1) 72(Vol.2)
第13週『愛いっぱいの器』
73 74 75 76(Vol.1) 76(Vol.2) 77 78
第14週『新しい風が吹いて』
79 80 81 82 83 84
第15週『優しさが交差して』
85 86 87 88 89 90
第16週『熱くなる瞬間』
91 92 93 94 95(Vol.1) 95(Vol.2) 96
第17週『涙のち晴れ』
97 98 99 100 101 102
第18週『炎を信じて』
103 104 105 106 107 108
第19週『春は出会いの季節』
109 110 111 112 113 114
第20週『もういちど家族に』
115 116 117 118 119 120
第21週『スペシャル・サニーデイ』
121 122 123 124 125 126
第22週『いとおしい時間』
127 128 129 130 131 132
第23週『揺るぎない強さ』
133 134 135 136 137 138
第24週『小さな希望を集めて』

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【スカーレット】第139回(第24週 月曜日) 感想

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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