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アライブ がん専門医のカルテ (第10話・2020/3/12) 感想

アライブ がん専門医のカルテ

フジテレビ系・木曜劇場『アライブ がん専門医のカルテ』公式
第10話『すい臓がんと、最後の試練』の感想。


手術を控えるがん患者・佐伯の弟が、実績のある病院への転院を宣言。医局では、研修終了が近づく結城(清原翔)や奈海(岡崎紗絵)が進路に悩む一方で、心(松下奈緒)に仕事のオファーが舞い込む。そんな中、佐伯の転院を断りに現れた大手病院の理事が、結城の母親と判明。心と薫(木村佳乃)は、急ぎ佐伯の手術準備を進めるが、佐伯は転院しろと譲らない弟と口論になる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作:なし
脚本:倉光泰子(過去作/ラヴソング、突然ですが明日結婚します) 第1,2,3,5,6,8,9
   神田優(過去作/アリバイ崩し承ります) 第4,7,10
演出:髙野舞(過去作/隣の家族は青く見える、セシルのもくろみ、昼顔) 第1,2,6
   石井祐介(過去作/SUITS/スーツ、民衆の敵) 第3,4,7,10
   水田成英(過去作/小説王、医龍4) 第5,9
   岩城隆一(過去作/刑事ゆがみ、絶対正義の演出補) 第8
音楽:眞鍋昭大(過去作/後妻業、ミス・ジコチュー天才天ノ教授の調査ファイル)
主題歌:須田景凪 「はるどなり」(unBORDE / ワーナーミュージック・ジャパン)

2つ同時並行に描かれる舞台の違うエピソードを巧みに連携!

前回から、心(松下奈緒)と薫(木村佳乃)の “過去の謎解き” と言う縦軸が無くなって、見違えるような心に響く医療ドラマになって来た本作。

今回は、「人生の選択」と言うのか、“医局” を舞台にした研修終了が近づく結城(清原翔)や奈海(岡崎紗絵)の進路に悩む姿と、“病室内” を舞台に、進行が速いすい臓ガンの患者・佐伯芳雄(相島一之)と佐伯の弟・隼人(丸山智己)の治療方針を巡る争う姿が同時並行に描かれて、物語が進んだ。

また、その2つ同時並行に描かれる舞台の違うエピソードを、結城の実家で母・結城美紀子(とよた真帆)が理事を勤める大病院の有馬総合病院を接着剤にして、2つのエピソードを連携させた。こう言うのは意外と難しく、特に本作のように複数の脚本家が交代制で担当する連ドラでは失敗することが多いのに、本作はその困難をきっちりと乗り越えた。

介護をやった人しか分からない心情を見事に会話劇にした!

さて、ドラマとしては、芳雄と隼人兄弟のエピソードが「がん専門医パート」との中心となっていたのが。30分頃、なぜ弟の隼人が兄の治療を「もっと良い病院で」、「もっと確かな治療を」を願っているのか。その理由を病棟の廊下で心に打ち明けるシーンがあった。

隼人「兄は これまで 10年以上 親の介護をしてきたんです。
それで 勤めていた会社を辞めて…」
 心「そうでしたか」
隼人「愚痴の一つもこぼさず ずっと耐えてきた人なんです。
   ようやく それから解放されたと思った矢先ですよ…
   兄の人生って いったい 何だったんでしょうか
   兄を助けてください。お願いします」

このシーンは個人的にとても感動した。親の介護を「ずっと耐えてきた」、「ようやく解放された」と、視聴者の誤解を恐れずに、介護をしている、介護をしてきた人たちの立場になって、ちゃんと台詞にした脚本家が素晴らしい。

私も昨年11月に母を亡くす前、既に亡き父と母の介護を15年近くやった。ケアマネさんやヘルパーさんや妹や妻の協力もあったが、やはり介護をしている時は、愚痴をこぼしたし、正に忍耐との闘いみたいな部分の連続だが、父も母も看取る時は、「やっと解放された…」と言いう気持ちになったのを鮮明に覚えている。

決して、苦労から解放されたとか、介護が必要な親を厄介払いにしたかったとか、そう言う意味でなく、“やり切った満足感” とか、“やっと山の頂上に辿り着いた達成感” のような感覚と気持ち。

そんな(私だけかも知らないが)介護をやった人しか分からないような心情を、これ以上弟の世話にはなれない…と意地を張る姿で弟に接する兄と、お金で親の介護に人生を注がせた罪を償おうとする弟が、このやり取りをきっかけに兄弟の蟠りが解れていく…のが実に感動的だった。

また、このシーンで良かったのは、敢えて「仲が良かった兄弟の幼少期の回想シーン」を盛り込まなかったこと。盛り込んじゃうのは簡単だが、そうすると映像が散文(説明)的になる。だから、脚本家と演出家は回想を入れないことで、視聴者に想像する “幅” を与えた。この辺のテクニックも見事だと思う。

医療ドラマなのに「手術をしない主人公」の心の、見事な見せ場!

35分頃、薫と結城らによる芳雄への手術が終わるが、残念ながら外科的アプローチでは根治療には至らなかった。落胆し自分を責める弟の隼人に、心が術後の治療方針を話すくだりも良かった。

 心「膵臓がんは 決して治らない病気ではないんです」
隼人「どうしても 考えてしまうんです。
   有馬総合病院で手術していれば
   がんは とりきれていたかもしれないと…」
結城「手術は 失敗したわけではありません」
隼人「でも 実際 兄は…」
 心「有馬総合病院なら根治できたかどうか それは 分かりません。
   でも お兄さまなら きっと乗り越えられると
   私たちは そう思っています。とても強い方ですから。
   膵臓がんと告知されても 取り乱すこともなく 冷静で
   常に前を向いてらっしゃいました。
   ここからが 長い闘いになります。
   支えになってあげてください」
隼人「私に… 何ができるでしょうか?」
 心「顔を見せてあげたり そばにいてあげたり
   それでいいと思います。一緒に闘いましょう」

患者と患者家族に、付かず離れずのさじ加減で寄り添う心の腫瘍内科医としての “強さ” と “優しさ” に、弟の隼人が無言で頷き頭を下げるシーンも印象的だった。医療ドラマなのに「手術をしない主人公」である心らしい、見事な見せ場を作ったと思う。

言葉と思いで患者家族まで治療する主人公。そして、隼人を演じた丸山智己さんが松下奈緒さんの芝居を “受け” る演技も素晴らしかった。

幼少期の仲良し兄弟の姿が見えるような優れた表現力!

42分頃、芳雄の病室に集まる、隼人と心と結城。この先長い治療を続ける兄を不憫に思う弟に対して、兄が行った台詞が良かった。

芳雄「幸せかどうかなんてな 自分が決めるんだ」

そして、文句も言わず両親の介護をし、それが終わったらすい臓がんに侵された兄が、弟に言って欲しかったこの言葉↓に泣けた…

隼人「強えな 兄ちゃん」

平坦な表現になってしまうが、子どもの頃から “強え兄ちゃん” が大好きで、いつどこに行くにもくっついていた弟の姿が見えた瞬間だった。

最終回直前回として、秀作の第10話!

そして、暫く置き去りにされていた結城の「人生の選択」のエピソードは、心のこの台詞から再び始まる。

心「家族の期待が重荷になる… そういうこともあると思う。
でも それって ホントに背終わなくちゃいけないことなのかな」

結城が「お父さんのような医者になりたい」と、 横浜みなと総合病院で外科医を目指すことを、母に宣言する。 そんな息子の強い決意を、医師である夫を尊敬しつつ、息子の自立を誇らしく嬉しそうに認めた母親も、いい家族だと思う。

で、心の一人息子・漣(桑名愛斗)が、進路に迷う母・心に「ママのなりたいものに なったらいいよ」で締め括った主人公家族の物語も、微笑ましくて良かった。全てが丸く収まったような展開のラストに、新事実が判明。最終回直前回として、秀作の第10話と言って良いと思う。

あとがき

今回も、素晴らしい内容でした。

最終回前にして、病院内のロケ地(病院の外観は別の場所)である北里大学病院のある相模原駅で「新型コロナウイルス」の陽性患者が出て、公共交通機関を利用する病院役のエキストラを呼べず、ロケ地である病院も大忙しと言うことで、急遽、院内の手術室や病室のシーンをスタジオセット撮影に切り替えて撮影を続けていると聞きました。

さぞ、ご苦労されての撮影だと思いますが、その苦労がきちんと映像に反映され、秀作の医療ドラマが最終回を迎えるまでになっていることにも感動です。

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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