3/12放送 映画「激突!」を観れば、私のドラマの評価基準が分かる!
たまに「テレビドラマや映画のベスト3は?」と質問をお受けします
たまに、読者さんから「管理人さんの好きなテレビドラマのベスト3は?」や「好きな映画ベスト3は?」と言う質問を頂きます。なかなか、テレビドラマも映画も、ベスト3を選ぶのは難しいです。
テレビドラマのベスト3と言ったら…
まあ、テレビドラマなら、『ビーチボーイズ(1997年・フジ)』と『きらきらひかる(1998年・フジ)CX)』は絶対に外せません。
あとは、最近の作品であれば、『コウノドリ(2015年・TBS)』、『アルジャーノンに花束を(2015年・TBS)』、『世界一難しい恋(2016年・日テレ)』、『逃げるは恥だが役に立つ(2016年・TBS)』も入れたいですし、朝ドラなら『あまちゃん(2013年・NHK)』ですかね。
映画のベスト3は、是非『激突!』を入れてベスト4にしたい
そして、映画のベスト3は、ヒッチコック監督『裏窓(1954年)』と、黒澤明監督『生きる(1952)』、スピルバーグ監督『JAWS・ジョーズ(1975年)』なのですが…
4つ目に是非とも入れたいのが、スピルバーグ監督のテレビ映画『激突!』です。その『激突!』が、明日(2020年3月12日・木)のテレ東『午後のロードショー』で放送(13時35分~15時40分)されます。
ストーリーは単純ですが、サスペンス映画の名作です!
『激突!』は、1971年にアメリカで「テレビ映画(日本の2時間ドラマみたいな作品)」として公開され、日本では1973年に劇場公開され、その後は地上波で幾度かテレビ放送されたサスペンス映画です。
ストーリーは単純です。 ごく普通のセールスマンの男が、車でフリーウェイを走行中にただ追い越したことだけをきっかけに、見知らぬ大型トレーラーに殺意に満ちた走行で追い掛け回されるだけの90分間。主な登場人物は2人だけ。追い抜いた男と、追い抜かれた男。そして、2台の車。
今では超有名な映画監督でありプロデューサーであるスティーヴン・スピルバーグ監督ですが、無名時代に撮影期間3週間で低予算の「テレビ映画」で本作を製作し、この作品のあまりの出来の良さに、サメが人々を襲う『ジョーズ』の監督の話が来たと言う曰く付きの名作です。
「人 VS 人」が徐々に「人 VS 怪獣」になる過程のドラマ性画見所
未見の読者さんに、あまりネタバレしたくありませんが、一番の見所は、 主人公の男を顔を見せずに(映さずに)執拗に追い掛け回す追いかけるトレーラーが、あらゆるカメラアングルを使い、巧みなカット割りと編集で、生きた「怪獣」の如く見えるように演出されている点です。「人 VS 人」が徐々に「人 VS 怪獣」になって行きます。
現代の「おあり運転」の恐怖に繋がる、約40年前の映像の力
また、今となっては…の話になりますが、今から約40年前に現在日本中で恐れられている「あおり運転」を映像化(原作はあります)し、映像のスリリングさと恐怖感は、2020年でも十分に通用する映像の力も観て頂きたいです。
私の好きなドラマの要素が、凝縮すされているのです
私は、たまにこんなことを書いています。
“私が好きなドラマは、あざといことは一切せずに、出し惜しみなどもせず、全力勝負で最後の1秒まで視聴者を楽しませる工夫に満ちた作品だ”と。
本作は、正にこれです。そして、キャストやスタッフが作品づくりを心の底から楽しんでいるのが見えて来るような作品であり、最後の一瞬まで遊び心とエンターテインメントが凝縮された作品でもあります。因みに、私の言う「ドラマ」とは「人間の内面を描くこと」です。
「突然、日常が破壊され非日常に陥る恐怖」をご堪能下さい
顔を映さないのでなく、顔を持たない怪物に、ある日突然襲われる “非日常の恐怖”。時間の経過と共に、ただの嫌がらせ風の行動が、やがて本当の狂気になって行く過程。その中で、故障したスクールバスを後ろから押す優しさも逆に怖過ぎるし、ラストでトレーラーからポタポタと落ちるオイルは、まるで怪獣の流血のよう。
とにかく、これを読んで「面白そう!」と思って下さったら、是非、録画して観て下さい。そして、2人の男と2台の車だけで、見事に “非日常の怖さ” を映像化したスピルバーグ監督の演出力をご堪能下さい。
あとがき
私が日頃、テレビドラマの感想で、演出や脚本の解説をしたくなったり称賛したくてしょうがない作品と、改善点や愚痴ばかりになる作品の “基準” が分かって頂けるような気がします。全てのカットは次のカットのために存在し、全てのシーンには1つの背骨が通っているべきなのです。
自粛ムードの今、サスペンス映画の名作を観て、気分転換してみませんか?
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