スカーレット (第127回・2020/3/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第22週『いとおしい時間』の
『第127回』の感想。
※ 本作は、2020/2/29 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
喜美子(戸田恵梨香)は武志(伊藤健太郎)をはさんで八郎(松下洸平)との新たな関係を築こうとしていた。三人で食事もする穏やかな毎日。ある日、信作(林遣都)から観光客向けの陶芸教室の開催を頼まれる喜美子。他の教室が急にできなくなり、代わりに頼まれたのだ。信作は内心、陶芸家として活躍する喜美子にお願いするのは申し訳ないと思っているが、喜美子は意外な反応。一方、武志は心惹かれた亜鉛結晶の作品作りに挑戦。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
本作が季節を強調するってことは、この先の展開が…
先週が、喜美子46歳、武志22歳の昭和58年(1983)で、季節は不明だが、既に武志(伊藤健太郎)が大学を卒業していたから「3月以降」で、先週の「カフェ・サニー」の店内の客が長袖ばかりであることから大雑把に「春」とすれば、今週は、その同じ年の「夏」と言うのを強調して始まった。
なんか、これ凄く驚いた。だって、そもそも本作は時間をすっ飛ばし、季節感は乏しく、室内のシーンの継ぎ接ぎだけの印象が強いから。と言うことは、いよいよ、「時間経過が物語の鍵を握る展開になる」と言うフラグを立てて、3月(最終月)が始まったと言えるのでは?
信作の部下・鳥居同様に、私も "よさ" が分からない…
主題歌明けの3分頃、 商工観光課部長の信作(林遣都)が、観光客向けの陶芸教室の開催を依頼しに、部下の観光課の鳥居(山口勝成)と「かわはら工房」にやって来る。鳥居は、喜美子(戸田恵梨香)の実物の作品を見るのが初めての様子。そこで、鳥居が信作にこんな “単純な” 2つの質問をぶつける。
鳥居「あっ これですよね? 何でしたっけ?」
信作「自然釉」
鳥居「これの どこが どうええか言うて下さい。
よさを教えて下さい」
信作「今日は 仕事で来たんやで?」
ここ、とても残念だ。まず、「自然釉」と言う単語が、最初に本作に登場したのが、約3週間前の第107回(2020/2/7)。八郎が川原家を出て行った2年後の昭和43年(1973)10月11~13日に開催された「陶芸家 川原喜美子展~自然釉(うわぐすり)の輝き~」の場面だ。
それから、恐らく「自然釉」と言う単語が印象的に使われてはいない。また、少なくとも、 信楽町役場商工観光課に籍を置く鳥居が、「自然釉のよさを教えて下さい」と言い、信作がそれに真正面から答えず、話は進んでしまう。
やはり、これまでの積み重ねの欠如が足を引っ張っている!
そう、やはりラスト1か月になって、これまでの積み重ねの欠如が足を引っ張っている。どうやら、最近のNHKや提灯記事は、「本作は信楽初の女性陶芸家のドラマではなく、「自分の人生を生きているひとりの女性の姿を通して、多くの人たちに力を渡せる作品」と、謂わば内容を “ザックリ” した内容に印象操作しているように思う。
と言うか、最初からそのつもりだったが、「信楽初の女性陶芸家の朝ドラ」で放送開始前から客寄せした…のが本音だろう。
情報番組の数分間が、5か月間よりも情報が多いのは大失敗
だって、私はこの5か月間ず~っと見て来ているが、以前に書いた通り2020年2月22日にテレ東『アド街ック天国』のテーマ『滋賀県 信楽』で、「朝ドラのヒロインの参考にされた」 “女性陶芸家のパイオニア” のテロップ入りで神山清子(84)さんが登場され解説された内容で、漸く「信楽焼の特徴」や「自然釉の個性」を映像で知った。(本で作品等も見たが)
内容は合計しても僅か数分間だ。しかし、情報番組が数分間で私に提供する情報よりも、5か月間で本作が私に伝えた「信楽焼」や「自然釉」の “良さ” は “ほんの僅か” だった。もう、これが本作の最大の失敗だ。
脚本家は信楽焼のよさが難関なのを知っていての手抜きか!?
描く時間は、十分にあった。だから、そこで、「信楽焼」「自然釉」「穴窯」の “良さ” を喜美子らを利用して、もっともっと描くべきだった。だって、脚本家も承知している訳だから、。信楽の観光課の人間さえ “良さ” が分かり難いってことは。承知しているのに描かないのは、悪いが私の判断基準では “意図的な手抜き” と言わざるを得ない。
私が、(恐らく他の視聴者も)「信楽焼」「自然釉」「穴窯」の “良さ” を事前に知っていてこそ、今回の急な陶芸教室の講師の依頼の話が、「川原喜美子」に来た意味がある訳で、それをやっていないから、幼馴染が困り果てた末に「川原喜美子」にすがって来たようにしか見えないのだ。ホント、残念としか言いようがない…
講師を喜美子に依頼する信作のくだりは悪くなかったが…
10分過ぎ、喜美子と信作の間で、陶芸教室の内容についてひと悶着あったあとに、喜美子がこう言った。
喜美子「信作からの頼み事 断るわけないやろ」
この台詞の直前に、信作は “喜美子の作品の良さ” について、新作なりの解釈の説明が入る。ここなんかも、「大阪時代」以降では、悪くない部類のやり取りだと思って観ていた。
困った信作が単純に “泥縄” 的に幼馴染に助けを求めるのでなく、喜美子の陶芸家としての立場や作品を理解した上で、喜美子の作陶に賭ける心を1人でも多くの人に知って貰おう、知って貰える「部長」と言う立場になったのを活かして、ある意味で “幼馴染の良さ” を描いたから。
でも、やはり、これまでの5か月間で本作が私に伝えた「信楽焼」や「自然釉」の “良さ” は “ほんの僅か” だったことが、ここでも大きく足を引っ張った。もう、どうしようもないことだが…
武志の亜鉛結晶の説明より、やるべきことがあったはず…
従って、11分過ぎからの武志は心惹かれた亜鉛結晶の作品作りに挑戦している姿も、今一つ心に響かない。母と息子の “繋がり” も感じ難い。急に、武志のやることにナレーションで大量の解説が施されたが、本来はこのような描写を、散々喜美子にやっておくべきだった。
喜美子が穴釜に着手する前から、八郎と離婚するまでの「無駄な描写の山」の中でやるべきだった。そこをすっ飛ばして武志だけやっても、ほぼ意味はないのに…
あとがき
2月28日にクランクアップ(撮影終了)してしまいました。従って、いつもの朝ドラ同様に、この先はナレーションを含む編集作業にしか期待できないので、どうやら称賛より圧倒的に愚痴ばかりになりそうです(困)
ネット情報では4日(水)から稲垣吾郎さんが「医師の大崎」として初登場するとありました。この先が「母と息子の闘病記」になるのか知りませんが、モデルとされる人物の人生と作品を読み聞き見た私にとって、神山清子さんの美味しい所だけ使うばかりで、リスペクトの無さに怒りさえ覚えます。もう、モデル無しの朝ドラにしたらどうでしょう…
因みに、今週のクレジットタイトルに「脚本協力 三谷昌登」とありました。先述した通り、『あさが来たスピンオフ 割れ鍋にとじ蓋』の脚本を担当し、本作では深野心仙(イッセー尾形)の2番弟子、通称は「2番さん」磯貝忠彦を演じ、本作の第21週『スペシャル・サニーデイ』の脚本を担当した三谷昌登氏です。メインライターは何しているのやら…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏』
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69 70 71 72(Vol.1) 72(Vol.2)
第13週『愛いっぱいの器』
73 74 75 76(Vol.1) 76(Vol.2) 77 78
第14週『新しい風が吹いて』
79 80 81 82 83 84
第15週『優しさが交差して』
85 86 87 88 89 90
第16週『熱くなる瞬間』
91 92 93 94 95(Vol.1) 95(Vol.2) 96
第17週『涙のち晴れ』
97 98 99 100 101 102
第18週『炎を信じて』
103 104 105 106 107 108
第19週『春は出会いの季節』
109 110 111 112 113 114
第20週『もういちど家族に』
115 116 117 118 119 120
第21週『スペシャル・サニーデイ』
121 122 123 124 125 126
第22週『いとおしい時間』
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