コタキ兄弟と四苦八苦 (第7話・2020/2/21) 感想

テレビ東京系・ドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』(公式)
第7話『七、病苦』の感想。
レンタル兄弟おやじの一路(古舘寛治)と二路(滝藤賢一)に来た新たな依頼は、音信不通の女性の安否確認。兄弟は家を訪ねるが、一向に返事がない。孤独死が一路の脳裏をよぎるが、扉を開けると、そこは足の踏み場もない「ごみ屋敷」だった。ますます孤独死の恐れが高まる中、こわごわと中を進んだ兄弟が見つけたのは、ごみに埋もれて動かないあかり(門脇麦)の手で…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:野木亜紀子(過去作/掟上今日子の備忘録、重版出来!、逃げ恥、アンナチュラル)
演出:山下敦弘(過去作/深夜食堂シリーズ、山田孝之のシリーズ)
音楽:王舟&BIOMAN(スペースシャワーネットワーク)
オープニング:Creepy Nuts「オトナ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
エンディング:ちょうどいい幸せ/スターダスト☆レビュー(日本コロムビア)
「手~っ!!」と「毛~っ!!」だけで、こんなに面白くなるのか!
幽霊が出て来そうな劇伴がピッタリなシチュエーションで始まった第7話。始まって6分、「手~っ!!」と「毛~っ!!」だけで、こんなに面白くなるのかと、ついついこの場面ばかり、3回も録画を巻き戻して見直してしまった。
古舘寛治さんと滝藤賢一さんだけでも十分に楽しいのに、門脇麦さんが絡んで来ると思うだけで、満足感の高いアバンタイトルだった。心なしか、メインタイトルの映像の世界観が、これまでで最もアバンと有っていたような気がする…
リモコンで苦労するあかりの気持ちと妙にシンクロして、笑えた…
主題歌明けも、面白いったらありゃしない。エアコンのリモコンが、足の踏み場もない「ごみ屋敷」の部屋だら見つからず、冬なのに冷房から暖房に切り替えられないと言う、部屋の主のあかり(門脇麦)のダメさがホント笑える。
実は、本作に無関係だが、今日、披露宴の仕事の本番中にBlu-rayデッキのリモコンが動かなくなり、リモコンでしか呼び出せない(本体の物理的なボタンでは呼び出せない)メニュー画面がスクリーンに出たまんまになってしまって、慌ててスーツのカバンの中から単三電池2本を見つけて危機一髪を逃れて帰って来たばかりなのだ。
だから、このリモコンで苦労するあかりの気持ちに、妙にシンクロしてしまって、これまた笑えた…
門脇麦サン、だらしない役も似合うし、巧みに演じるなぁと…
それにしても、門脇麦さんって意外と、柔らかな雰囲気の中で芯のあるキリッとした役や誠実な凛々しい役が多いように感じるが(私が観ている作品だけの印象ではあるが)、実は、ルックスや喋り方や声質が、今回の “神野あかり” のような、だらしない役も似合うし、巧みに演じるなぁと思った。
奇しくも「感染」と言う単語に敏感になっている時に…
それにしても、本作で「情動感染」と言う単語を聞くことになるとは思いもしなかった。そして、奇しくも「感染」と言う単語に敏感になっている我が日本(だけでなく、世界中だが)にピタリ。
中盤の「禅問答」のような会話劇が、とても良かった!
そして、物語は何処へ向かうのか分からぬまま、レンタル兄弟おやじの一路(古舘寛治)と二路(滝藤賢一)の “仕事” が淡々と、切々と、粛々と描かれ続ける。あかりの口から零れる一つ一つの言葉が、二路には僧侶の有難い言葉のように聞こえて来ているようだ。
しかし、一路は必死であかりを「孤独死」から逃れるように、これまた僧侶のように優しく説く。あかりの言い分にも一理あり、あかりに共感する二路、あかりを説得する一路。この中盤の、まるで「禅問答」のような会話劇、私は凄く好きだ。
自分の意見を言い合うことで、自分も互いも心が浄化されて行くような不思議なやり取り。流石、『コタキ兄弟と四苦八苦』と言うタイトルの連ドラだけのことはある!
エンディングテーマを中盤で "効果音的に" 使うのも絶妙!
中盤では、「植物」になった、一路と二路とあかりのシュールな映像に、スターダスト☆レビューのVo.根本要氏の切ないハスキーボイスのエンディングテーマ『ちょうどいい幸せ』が効果的に使われ、実にしっくりと馴染んでいた。エンディングテーマを効果音として使う…今回の演出は選曲も抜群のセンスの良さだ。
道端に生えた雑草に話し掛けるシチュエーションのラストカットも秀逸!
いよいよ残り10分を切った頃、「兄弟おやじの 女の話が通じるほう」が動き出すと同時に、物語の歯車も大きく回り出す。こじれた恋愛感情を敢えてサブタイトルで「病苦」と喩え、最後の最後に、一路と二路にこんなやり取りをさせた。
二路「どこにでも生えるもんだな」
一路「植物も悪くなかったな」
二路「最高だよ」
一路「人間は めんどうくさいからな」
二路「だな」
道端に生えた雑草に話し掛けるようなシチュエーションがラストカット。いやぁ、奥深い40分間だった。
あとがき
今回は、ほぼ3人だけの芝居で「病苦」を描きましたね。序盤の笑いから中盤の禅問答、そして最後の人間臭いオチも、全てお見事でした。今回を未見の読者さん、是非、この第7話だけでも見逃し配信で観る価値アリです。
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オトナ Creepy Nuts
ちょうどいい幸せ スターダスト☆レビュー
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【これまでの感想】
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