スカーレット (第117回・2020/2/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第20週『もういちど家族に』の
『第117回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
アンリ(烏丸せつこ)のペースで、喜美子(戸田恵梨香)は信作(林遣都)、照子(大島優子)となぜかダンスすることに。その翌朝、喜美子が自分の行く末を考えているとアンリから「作品が人生を豊かにしている。あんたは一人じゃない」と励まされ、パリ旅行に誘われる。一方、窯業研究所に通う武志(伊藤健太郎)が腕試しに作品を次世代展に出品するよう勧められる。悩んだ武志は喜美子に相談したところ、かつて落選した事実を…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「今まで ず~っと」は、言い過ぎでは!?
前回の感想でも書いたように、水曜日には一応何かが起こって、金曜日までの3日間が本編みたいない感じになるのだが。まさか、本日の水曜日のアバンタイトルが、こんな喜美子(戸田恵梨香)の台詞から始まったのが衝撃的だった。
喜美子「うち 今まで ず~っと 家族を背負うてきたんです」
これ↑嘘だ。確かに、大酒飲みの父・常治(北村一輝)が居て、ボヤ~ッとしている母・マツ(富田靖子)も居て、高校に行きたくても行けず、地元でも働くことが出来ず、中卒で父の伝手で大阪の荒木荘で女中をやりながら仕送りをしていた昭和28年(1953)喜美子16歳、今から30年前は “家族を背負っていた” のは大いに認める。しかし、その後 “ず~っと” は言い過ぎでは?
16歳から23歳までの約8年間は「家族を背負った」と思う
こう言う表現をすると “信者” が文句を言うと思うが。昭和35年(1960)喜美子23歳の春に喜美子と八郎が結婚するまでの、16歳から23歳までの約8年間は確かに「うち ず~っと 家族を背負うてきたんです」だと思う。
しかし、喜美子が23歳から昭和40年(1965)喜美子28歳までは描かれず仕舞いで、「かわはら工房」として独立してからは共働きで家族を養っていたようだし、 昭和41年(1966年)喜美子29歳の春に八郎が陶芸展で金賞を受賞してからは、八郎の陶芸家としての収入も大いに家族を支えていたことは劇中で描かれていた。
喜美子は、自画自賛や褒められたい人でもなかったと思う
むしろ、昭和45年(1970)喜美子33歳の時、穴窯のための借金をしてからは、「うち 今まで ず~っと 家族に負担を掛けてきたんです」では? いや、私が知る喜美子は、自画自賛する人ではない。「頑張ったね」と褒めて貰いたい人でもなかった。
いいや、正確に言うなら私が好きだった喜美子は自画自賛をせず、地道に自分のやるべきことに向き合い努力をし続けて来た人。それを、両親が亡くなり、2人の妹も独立し、息子までも自立しようとしている “安堵感” を表現するために、喜美子を自画自賛するような人に描いた罪は重いと思う。
「離れてても家族」を最も実感しているのが喜美子なのに…
普通に「今まで 大家族だったから 一人だと寂しい」で良かったとも言えるが、そうなると束の間だとは思うが今アンリ(烏丸せつこ)が同居している意味が無くなる。アンリの台詞「家族はな 離れてても家族や」を強調したいのかも知れないが、本作を約5か月間見続けている視聴者なら、それを一番知っているのが喜美子である訳で。
だから、「うち 今まで ず~っと 家族を背負うてきたんです」と言ったのだから、結局は矛盾が堂々巡りしてしまっている。そのことに脚本家は気付かないか? それとも、時間経過する度に脚本家が後退しているとか…
主題歌明けの展開が、私の予想を遥かに超えて衝撃の連続…
まず、前回の感想で「今週に限って水曜日になっても大きく話が動かないかも?」と書いたことをお詫びしなければならない。なぜなら、主題歌明けの展開が、私の予想を遥かに超えて、更にアバンも超えて衝撃の連続だったから。やはり、水曜日には大きく話が動くのだ。
喜美子は「作品が買い手の人生を変える」のを知ってたよね
その良い例が、主題歌明けに場面が作業場に移ってからの、喜美子とアンリの陶芸や芸術と人生の機微を絡めたようなやり取りだ。例えば、アンリが「川原ちゃんの作品はな うちの人生を豊かにしてくれてるんやで」と言ったのに対して、喜美子は、「そんなふうに考えたことなかったです…」と言った。これも嘘だ(まっ、正しくは「嘘っぽい」か…)。
だって、昭和34年(1959)喜美子22歳の火祭りの年、“フカ先生” こと深野心仙(イッセー尾形)と兄弟子たちが信楽を去る前に、八郎がフカ先生の絵に人生の考え方や芸術や作品への向き合い方に大きな影響を受けたのを、喜美子はすぐそばで見聞きしているし、自分自身も絵を描いて八郎にプレゼントした。
だから、確かに自分は「そんなふうに考えたことなかったです…」とは思って作っていなかったとしても、アンリに言い切るのはしっくり来ない。
"アンリ初登場"の"第112回を第1回"にしたら良かったと思う
ただ、全面的にこの作業場での喜美子とアンリのやり取りは否定しない。むしろ、これまで本気で描くべきだった、「喜美子の穴窯での陶芸の拘り」について、この主題歌明けの約3分間は、最もストレートに描いたと思う。
昭和44年(1969)喜美子32歳で「かわはら工房」の電気釜が壊れ(第93回)、穴窯の情報を求めて慶乃川(村上ショージ)の甥・純平(笑福亭銀瓶)に会った(第94回)以降(因みに劇中の喜美子は46歳)の「14年間」を、この約3分間で、家族の猛反対を押し切り、離婚にも屈せず、ひたすらに、ひたむきに「穴窯での陶芸」に拘ったのが良く分かるシーンだ。
いっそ、アンリが初登場した「第112回・2020/2/13)」を第1回にして、「信楽にとんでもない才能の女性陶芸家がいるらしい」と聞きつけたアンリがやって来て、物語が動き出したら良かったかも?
「喜美子の才能」をず~っと描いて来るべきだった!
また、10分過ぎの喜美子と武志(伊藤健太郎)のやり取りも、否定はしない。武志の口から出た「才能」と言う言葉。本来は、この「喜美子の才能」をず~っと描いて来るべきだったと思う。
だって、努力と才能があるから秀でた陶芸家として著名になれた訳で、そこを本作は蔑ろにして来た。幼少期から荒木荘時代くらいまでは、「火や炎=喜美子」のような描写はそれなりにあった。幼少期と絵付け師時代には「絵を描く才能=喜美子」のような描写もそれなりにあった。
特に独立してからの喜美子に"才能"の描写が欲しかった!
しかし、肝心の独立してからの喜美子に “才能” と言う描写はほぼ無かった。あったのは、自己中心的で猪突猛進型で。信楽窯業研究所の所長・柴田寛治(中村育二)と美術商の佐久間信弘(飯田基祐)ですら、喜美子の “才能” を無視したような描写だった。
本来なら、無視すべき人でない人が無視するから “世間に認められない才能” として視聴者には見えるべきなのに、脚本家が美大出身の若者・松永三津(黒島結菜)を弟子として登場させ不倫劇場紛いの話に振ってしまったから、そう見えなくなっちゃった。やはり、先週の木曜日を第1回にしたら良かったのかも知れない。
あとがき
14分過ぎの喜美子が武志に言った「気付いてやれんで ごめん」のくだりですが、これをやるのを分かっていたのなら、前回の「どうでもええ会」で信作(林遣都)と照子(大島優子)を交えてダンスまでやって、その直後のシーンを翌朝にせずに、夜の縁側で喜美子と八郎が昔を懐かしむ…みたいな場面があっても良かったと思います。
その方が、喜美子の武志への「ごめん」の意味が深まったと思うから。残念です…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏』
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69 70 71 72(Vol.1) 72(Vol.2)
第13週『愛いっぱいの器』
73 74 75 76(Vol.1) 76(Vol.2) 77 78
第14週『新しい風が吹いて』
79 80 81 82 83 84
第15週『優しさが交差して』
85 86 87 88 89 90
第16週『熱くなる瞬間』
91 92 93 94 95(Vol.1) 95(Vol.2) 96
第17週『涙のち晴れ』
97 98 99 100 101 102
第18週『炎を信じて』
103 104 105 106 107 108
第19週『春は出会いの季節』
109 110 111 112 113 114
第20週『もういちど家族に』
115 116
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