スカーレット (第113回・2020/2/14) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第19週『春は出会いの季節』の
『第113回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)の作品を買いたいと訪ねてきた謎の女性・アンリ(烏丸せつこ)。売るつもりのない喜美子は法外な値段を伝えて諦めさせようとするも、アンリは現金を持って喜美子の家に通い詰める。食い下がるアンリに対して、喜美子は正直に売るつもりはないと説明。するとアンリは陶器を指でなぞり始め、作品と会話ができると言い出す。喜美子は奇妙なアンリの行動に戸惑いつつも、明るく天真らんまんな態度にひかれていく。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンで、主題歌を挟むような"姑息な演出"などせずに…
今回のアバンタイトル。本編を見ずに当blogの感想だけ読んでいる読者さんもいるそうだから、ちょいと内容を書いておくと…
先日、 滋賀県大津市にある小池紡績の一族で、神戸に嫁に出るまでは元ミス琵琶湖と言われたアンリ(烏丸せつこ)が、喜美子(戸田恵梨香)の作品を買いたいと訪ねて来たが、喜美子はその作品を売るつもりは無いから、幾度か法外な値を付けて退散させた。
でも、今回のアバンで、喜美子の言う通りの「800万円」を持参して来たから、喜美子が驚いた。それだけで、約50秒。これだけ見ると、最初から売るつもりがないなら値段など言わずにアンリを追い返すべき。追い返さないと言うことは、金額次第では売る気があるとなる。
正直、これまでの喜美子の言動から察すれば、離婚までして手に入れた有名陶芸家の名声と芸術家の道…と考えれば、売りたくない作品が存在するのは理解出来る。しかし、「銭ゲバ」的に金に執着するのも喜美子らしさ。だから、どっちにも見えちゃう。見えちゃうから、ハッキリさせて欲しいのだ。アバンで、主題歌を挟むような “姑息な演出” などせずに…
曖昧な表現で芸術やそれらを創る人を形容するのは良いこと
さて、主題歌明けには、アンリが予想以上に “あっさり” と気に入った作品を買うのを諦めた。そして、アンリは買わない代わりに喜美子へ、勝手に喜美子の作品に触れて「こうやって… こうすると… 音が聞こえて来るんです」と言って、こんな会話劇↓が始まる。
アンリ「優れた芸術は 会話をします」
喜美子「会話?」
アンリ「おしゃべりする。そやない?
先生も作ってる時 作ってるもんと会話しぃひんのですか?」
喜美子「あ~…」
アンリ「作りながら おしゃべり」
喜美子「します…」
アンリ「します?」
喜美子「する時あります 心ん中で…」
アンリ「自問自答?」
喜美子「あっ します します」
アンリが言った「芸術品は 語りかけてくるんです」と言うこと自体は、このドラマ上では間違っていない。むしろ、このような “曖昧な表現” を用いることで、芸術や芸術品やそれらを創る人を形容するのは良いこと。だって、それが夫婦でも理解し合えなかったから、喜美子と八郎(松下洸平)は離婚したのだから。
だから、本来はもっと、このような一般的には理解し難い「芸術の世界」を表現するべきだったのだ。それをやらずに、「陶芸=お金儲けの手段」の要素ばかりを強調して、唐突に「穴窯づくり」から方向転換するから、訳が分からなくなったと思う。
穴窯以降『スカーレット=緋色」が全く強調されていない!
この、一般的には理解し難い「芸術の世界」を表現について、ちょっとだけ掘り下げる。本作のタイトルはご存知の通り『スカーレット=緋色』だ。「やや黄味の赤色」のこと。
喜美子の幼少期では、例の「信楽焼の欠片」の色や、窯焚き風呂の炎に魅せられた喜美子が描かれて、正に『スカーレット=緋色』の印象付けに成功していた。しかし、今回でも登場した「800万円」でも売らなかった喜美子が最初に穴窯で焼いた作品は緋色とは似つかない緑色。
まあ、「緋色が容易に出せない色である」と言う設定らしいが、それでも少しは緋色に似せた作品を選んだ方が良かったと思う。そう言う共通項をしっかりと守り続けることが、視聴者にとっての「連ドラ、朝ドラを毎日観る醍醐味」に繋がるのに…
シャンソンを知らない喜美子がアンリに同調するのはおかしくないか
そして、期待した「芸術品は 語りかけてくるんです」の描写だが、こっちはやり方が間違ってる。カントリーミュージック、ワルツ、演歌、ピアノ協奏曲、シャンソンと、アンリ自身の心の引き出しの中にある音楽と喜美子の作品が会話したから、作品ごとに音楽のジャンルが変わる。ここまではギリギリ正解。
でも、シャンソンを「シャンション」とそのジャンルそのものを知らない喜美子が、アンリの心の引き出しの中の音楽と共鳴出来るはずはない。脚本家と演出家は洒落た雰囲気と遊び心でやったのだと思うが。
ここは、例えば、アンリに「子守歌が聞える」と言わせて、喜美子が「この作品は息子のことを思いながら作ったんです」みたいなのが良かったと思う。
武志は「掃除」より「おむすび」の方が良かったと思う…
11分頃、信楽窯業研究所で武志(伊藤健太郎)が照子(大島優子)の息子・竜也(福崎那由他)に「掃除は上手やで 教えたるわ」と話を持ち掛けるシーンがあった。きっと、脚本家と演出家は、喜美子と重ねているつもりなのだ。
確かに幼少期には父親に玄関の掃除をしろと言われていたし、大阪の荒木荘時代は女中の喜美子の日課(仕事)だった。しかし、それ以降は「喜美子=掃除」の連想ゲームの印象はない。
せめて、「かわはら工房」の初期の頃に辞めて行った弟子2人が「掃除は、奥様がやってしまうのでやることがない」と愚痴るとか、三津(黒島結菜)がいた時でも「掃除は、自分でせなあかんのや(ヘンテコな関西弁でスミマセン)」とか言って、掃除を続けていれば、それをずっと傍らで見て育った武志が「掃除」を口に出すのは必然だが。
それをやらずに「掃除」はおろか、「おむすび」を作る以外の家事は、ほぼ母・マツ(富田靖子)と喜美子の一番下の妹・百合子(福田麻由子)がやっていたわけで…。
いっそ、武志がバッグから「おむすび」を出して、「勉強の前に腹ごしらえや。おむすび作るの上手やで。母ちゃん譲りだからな」くらいの方が、喜美子と武が “重なって” しっくり来たのでは無いだろうか?
"3月"のための"線路の切り替えポイント"が、ギクシャクする理由…
ネタバレしないように、と言うか史実との比較を持ち出さないように書こうと思う。今後、本作は「ヒロインが信楽初の陶芸家になる朝ドラ」から違う路線に進むはず。今、そのための線路の切り替えポイントだと思って観ている。本作の切り替えポイントは錆びついているから、ギクシャクする。
なぜなら、これまで切り替えポイントに行くまでに準備しておくべき「連ドラの連続性や重なり」に手を抜いて来たから。だから、今週は必死だ。照子と息子の竜也に夫・ 秀男(阪田マサノブ) 敏春(本田大輔)を加えて “親子愛” を描いたり、市議会議員になったちや子(水野美紀)で “人脈” を描いたり、喜美子と武志を重ねたり、アンリを登場させて芸術を表現したり。
恐らく、箇条書きになっている脚本を演出家が再構成して今週に押し込んでいるのだろう。先日も書いたように今週の本編は水曜日から金曜日で終わり。だから、今回の最後に信楽窯業研究所の所長・柴田寛治(中村育二)がやって来て、アンリを「元スキャンダル女優」と耳打ちして終わった。
さて、来週の演出家が、どう線路の切り替えポイントまでこのポンコツ列車を導くのか楽しみだ。
あとがき
照子の夫・秀男、窯業研究所の柴田、元スキャンダル女優の小池アンリ、そして八郎(松下洸平)と、来週のキーパーソンが揃ったようですね。いよいよ、3月までの大いなる時間繋ぎと時間稼ぎが始まる予感です…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏』
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69 70 71 72(Vol.1) 72(Vol.2)
第13週『愛いっぱいの器』
73 74 75 76(Vol.1) 76(Vol.2) 77 78
第14週『新しい風が吹いて』
79 80 81 82 83 84
第15週『優しさが交差して』
85 86 87 88 89 90
第16週『熱くなる瞬間』
91 92 93 94 95(Vol.1) 95(Vol.2) 96
第17週『涙のち晴れ』
97 98 99 100 101 102
第18週『炎を信じて』
103 104 105 106 107 108
第19週『春は出会いの季節』
109 110 111 112
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