スカーレット (第73回・2019/12/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第13週『愛いっぱいの器』の
『第73回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
昭和40年夏。喜美子(戸田恵梨香)は27歳に。八郎(松下洸平)との間には4歳になる息子・武志が生まれていた。さらに八郎と喜美子は丸熊陶業から独立して自宅脇に作業場「かわはら工房」を建設。八郎が作品づくりにいそしむかたわらで喜美子も陶器製品を量産して家計を支えていた。武志の世話はむしろ八郎が多く担っているほど。ある日、照子(大島優子)が川原家を訪ねてくる。喜美子には内緒で八郎に常治の秘密を告げる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今回は、アバンのナレーションが違和感を増大させちゃった
前回の “描かれなかった約5年間” の直後の8分頃のナレーションでは「丸熊から独立し 2人の作業場を作りました」と言って…
前回の感想の【第2弾】で、「4歳の息子・武志(又野暁仁)のいる27歳のヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)が、5年前に夫の八郎(松下洸平)と大手・信楽焼窯元「丸熊陶業」から独立し、今は30歳の夫と小さな「かわはら工房」から、自らの窯を開き、独自の信楽焼を見出していく物語が 始まるってことにします」と書いた。季節は、半袖にセミの声が聞えるから夏だと思う。
そして、今回のアバンタイトルが、再び「喜美子と八郎は自分たちの作業場を構えました」のナレーションで始まった。何か、変な感じだ。既に前回で、多くの視聴者に対して「えっ!?」と驚愕させる程に、“結婚・独立・出産” を印象付けたのに、なぜまた、このナレーションを? ってこと。
前回を見ていない人のため? そうとしても、不要に思う。回の感想の【第2弾】でも書いたように、脚本のナレーションがおかしいのだ。唐突に冒頭へ持って来るなら、「昭和40年の夏」と最初に加えるべきだった。
これならば、アバンタイトルが主題歌明けに描かれる “日常” の “イントロダクション” の役割を果たす。しかし、それをしないから「もう、前回でやったよね」となる。まあ、脚本家の腕がしょぼいとしか言いようがない訳だが…
前回後半と今回で川原家と十代田家の関係性が違うような…
主題歌明けは、川原家の日常描写。しかし、ここでの「演出」に違和感を覚えてしまった。喜美子の父・常治(北村一輝)の体調を見ると、前回の後半から、それなりの時間経過があって、かなりやつれた感じに見えた。でも、セミの声も登場人物らの服装を見るとまだまだ真夏の雰囲気で、時間経過は無いようにも見える。
そこで私の違和感の根源が、母屋の川原家と離れの十代田家の関係だ。前回では、母屋の川原家と離れの十代田家の関係は、建物が “物理的に別々” なだけでなく、増築費用云々のくだりから “財布も別々” に見えた。
しかし、今回の描写では、建物的に前回ほどに“物理的に別々” な雰囲気はなく行き来は自由で、朝ご飯云々のくだりから、まさか十代田家の食費まで川原家が負担しているとは考え難いから、 “財布は一緒” に見えた(と言うか、そう捉えないと不自然過ぎると思う)。この違和感、作り手たちが気付いていないとすると、闇は深い。
なぜなら、先週と今週の演出家が違うから、連ドラ演出家チームとしての “連携” が上手く行っていないことを意味するから。まあ、これまでも演出家が交代すると、辻褄が合わないことは多々あったが、前回と今回には “描かれなかった約5年間” があるのだから、細心の注意を払って演出して欲しかった…
前回後半から今回の間に数か月の時間経過を入れていたら…
連ドラ演出家チームとしての “連携” が上手く行っていないことは、他でも分かる。賛否両論ある “喜美子と八郎のいつまで経っても初々しいイチャイチャ” の演出も、前回の後半では濃いめだったのに対して、今回では意外な程にあっさり風味。
まあ、「常治の体調不良」と言うシリアス展開のために、“喜美子と八郎のいつまで経っても初々しいイチャイチャ” を抑え気味にした可能性はあるが、私はこの方が好みだが、連ドラとして考えると “連続性” が担保されていないと見えてしまう。この “抑え気味” が演出家の裁量によって行われたとすると、やはり “連携” に問題ありだ。
むしろ、脚本家による若干の “軌道修正” が原因なら、冒頭で触れたように、前回の後半から今回の間に “数か月” の時間経過を入れたら良かった。
そうすれば、常治の体調が優れないから、今までのようなイチャイチャもしていられない…と受け取ることも出来るし、新婚気分も落ち着いた…と受け取ることも出来たと思う。やはり、脚本家と演出家の “連携” も上手く行っていないような気がしてならない…
百合子の印象も、前回とは違うような…
12分過ぎに登場した喜美子の一番下の妹・百合子(福田麻由子)も何か変。前回で進学を諦め仕事を…と解説があったが、仕事をしているはずなのに昼間から夕方過ぎまで家にいるから、“喜美子の自分勝手な行動” で高校へ進学出来なかった印象が強くなった。
ここだって、雨降る中、家の中の電話が屋外まで聞こえて来て、仕事帰りの百合子が急いで傘を畳んで電話に出て「ごめんね。今 仕事から帰って来たから」と一言加えるだけで違和感は払拭出来た。そう言う連ドラとしての大切な “繋がり” をもっと意識して作って欲しい…
主人公だけ好き勝手やって感情の赴くままに行動している人
それにしても、どうして自分勝手な行動をした喜美子自身が撒いた種で、家族が振り回されているのに(確かに、酒飲みで借金を抱えた常治にも責任の一端はあるが、今この現状と言う意味で)、なぜ常治が本人の病気のことを自分に隠していることに喜美子が憤慨するのだろう?
どうも、良く分からないのが、喜美子が息子・武志を生んだ時期が、独立の前か後かってこと。
独立前なら喜美子も八郎も丸熊陶業の社員だから、今回で描かれたように丸熊陶業事態は多少経営が厳しくても、幼馴染の照子(大島優子)が夫の社長・敏春(本田大輔)に頼み込んで経済的に何とかしてくれたように思う。そして、お金に少し余裕が出来たから独立は自然な流れ。
でも、独立後に出産したとなると、十代田家も川原家も経済的に厳しい中での「かわはら工房」の開業ってことになる。で、常治は過労、百合子は進学を諦め、喜美子のすぐ下の妹の直子(桜庭ななみ)は東京で働きながら仕送り。何か、主人公だけ好き勝手やって、感情の赴くままに行動している人にしか見えない。
やはり、本気で、 これまで描かれた “大阪の荒木荘時代と深野組での絵付け師修業時代の喜美子の面影” はゼロになったと諦めるしかないようだ…
あとがき
土曜日が母の四十九日法要と納骨式で忙しかったので、感想は【第1弾】と【第2弾】と分けました。【第2弾】では本音をぶちまけていますので、未読の方は是非読んでみて下さい。
そして、今回。一気にシリアス展開になりましたね。いつも通りなら、水曜日で切り替えになるので、水曜日が葬儀で常治が退場し、週後半で明るい展開になるんでしょうか? だとすると、ここらで明るいキャラのジョージ富士川(西川貴教)を再登場させて、一気にパーッと明るく年内を終えるのは悪くないと思います。
最後に、いつもの一言。諦めていない読者さん、取り敢えず、年内は一緒に手に手を取って見守りましょう!ってことで…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏』
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69 70 71 72(Vol.1) 72(Vol.2)
第13週『愛いっぱいの器』
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