スカーレット (第70回・2019/12/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第12週『幸せへの大きな一歩』の
『第70回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
初キスした喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)は結婚に向かってまい進。それぞれ10個ずつ作った珈琲茶碗を納品し、喜美子は自分の陶芸作品が売れたことに喜びを爆発させる。陶芸展に出品する八郎の作品も完成。喜美子は二人の結婚条件の入賞は間違いないと確信し、結婚後の生活に思いを巡らせる。その様子を眺める常治(北村一輝)にはある秘密の計画が。一方、信作(林遣都)と照子(大島優子)が喜美子を訪ねてきて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
前回の"喜美子が大野家から代金を貰う件"について一言…
前回の内容が、あまりに馬鹿馬鹿しいから敢えて言及しなかったのが、喜美子(戸田恵梨香)が自分の作る(作った)珈琲茶碗の分だけの代金を大野家から、材料費に少し上乗せして貰うことに一人で勝手に決めた話。今回の感想に入る前に、その部分について少しだけで書いてみる。
これ、いろいろな考え方があると思う。丸熊陶業に許可を得ているとしても会社の資材や機材を使って製作している “モノ” が「商品」と勝手に決めるのは、就業規則違反、闇営業ではないか…とか。陶芸家としてはまだまだ “素人” の八郎(松下洸平)が代金を受け取らないのは当然として、素人から教わっている “生徒” が代金を請求すると言う展開も分からない。
ただ、私が思うのは、川原家は大野家から過分な “恩” を受けている訳で、荒木荘での女中修行中やフカ先生下(深野組)での絵付けの修業時代の喜美子なら、こんな時こそ、喜美子ならお金がないから、せめてもの “恩返し” や “開店祝い” として「お金なんて 滅相もない。贈らせて下さい」と願い出たと思う。
そう言う気の強さや人の恩を分かる中卒の女の子が喜美子だったのだから。それをやらなかった時点で、視聴者の喜美子への信頼も、連ドラとして連続性も、崩壊の始まりと言いたくなる…
アバンが遂に私にとって本作で最初の不快なシーンになった
では、ここから今回の感想。前回のラストが “マジでキスする5秒前” で「つづく」にして、今回のアバンタイトルでも“マジでキスする5秒前” で台詞をやり取りを挟んでからのキスシーン。別に朝ドラだから、朝の8時からキスシーンをするなとは思わない。この先の「結婚」を描くためには、通過点として描くのも悪くない。
しかし、一人前の絵付け師の話としても、陶芸家になる話としても、陶芸展で入賞する話にしても、珈琲茶碗を売る話にしても、完全に無関係なシーン。その上、演出(特に編集)があざといし、クドいし、キモイし。本来なら微笑ましいシーンに見えるべきなのに、遂に私にとっては本作で最初の不快なシーンになってしまった。
喜美子は、新生活のために"お金"が要るってだけの人に!?
主題歌明けは、晴れて大野雑貨店改め「カフェ サニー」に珈琲茶碗を納品に来た喜美子と八郎。大野夫婦も大そう喜んで色を付けて値踏みしてくれるのを喜美子は断っていたが、どうやらキッチリと “お金” は貰ったようだ。まあ、前回で代金は頂くことになっていたのだから、しょうがない。
しかし、しょうがなくないことがこのシーンである。それは、納品に八郎まで付いて来たこと。やはりここは、「八郎さんは陶芸展で入賞するために商品開発室でせっせと作品作りに没頭しているから来られない」と喜美子に言い訳させた方が良かったと思う。
それなのに、この脚本家は、陽子(財前直美)と忠信(マギー)に信作(林遣都)の見合い話が上手く行かなかったことを言わせて、その後の喜美子と八郎が歩くシーンでも「夫婦貯金」なる言葉を引用して、既に “夫婦” であるような描写を加えた。
そのために、八郎はともかく、今の喜美子は今後の夫婦生活のために “お金” が必要…と言わんばかりのキャラに映ってしまった。
喜美子「うちのコーヒー茶わんがお金に化けた…」
この喜美子の台詞↑には、陶芸への興味は見えないし、陶芸家になりたい夢も見えないし、珈琲茶碗と言う初作品を完成させた喜びも見えなかった。まだ、ここで、喜美子が「さあ コーヒー茶わんが完成したんだから 次は陶芸展だね」とでも言えば可愛気があったが、それも無し。
八郎も「貯金しとこな」と完全なる “闇営業” を受け入れちゃった。ホント、ここまで喜美子が変わってしまうと、“荒木荘” や “深野組” は一体何だったのだと思う。
遂に喜美子の特徴で魅力の"家族愛"が消えて無くなった…
そして、更に変貌した喜美子がこんなことを言う。
喜美子「やったなあ うれしいなあ。
あ~ コーヒー茶わんで 稼いだでえ!
やった! うれしい!」
序盤では、八郎が喜美子の頭をポンポン、今度は八郎が喜美子をおんぶ。結局、その後の川原家にチョイ寄るシーンでの喜美子の描写でもそうだが、今の喜美子には “結婚” のことしか頭に無い。
実は、「うちのコーヒー茶わんがお金に化けた…」の台詞以降の展開次第で如何様にも良い感じに出来たのに、この脚本家と演出家は私の望まぬ方向に舵を切り続けた。
それは、喜美子が結婚しても川原家に “お金を入れる” と確約していない上で、喜美子と言う “お金の源” を失って大打撃を受けるであろう川原家のことを、喜美子が一切考えていないように描いたこと。
いや、この度の婿入りする約束が生活は川原家とは別の場所でする…と言う展開で、遂に喜美子の最大の特徴であり魅力だった “家族愛” が消えて無くなったように見えたのが、本当に私の望まぬ展開。だって、喜美子にとって “家族への愛” は、生きるエネルギー源だったのでは!?
八郎への愛のために家族愛、本業、陶芸の興味も失ったの!?
で。常治(北村一輝)が喜美子と八郎の “夫婦” と同居するために、今までの仕事を辞めて長距離トラックの運転手をやると言いだすくだりと、赤ん坊を連れて夫の実家へ里帰りしていた照子(大島優子)に、子どもが生まれると “夫婦” の関係が変わると言わせるくだりと、そこへ若社長がやって来て “夫婦” が揃うくだりの、3つを連続させて、今回は、ほぼ15分間、「喜美子と八郎の夫婦直前まつり」って感じになった。
確かに、喜美子は頑張っている。しかしそれは、陶芸家になるためでも、八郎の陶芸展入賞を支えるためでもなく、“お金” と “結婚” のため。もちろん、八郎と結婚すると言うのも “愛” であり “夫婦愛” に繋がって行くのは間違いない。
だとすると、本作では、今の喜美子は “家族への愛” を捨てて、“八郎への愛” へまっしぐらってことになる。いや、“家族への愛” と同時に、本業の絵付け師の仕事も、陶芸への興味も、どうでも良いようになったようにしか見えない。
こんな自分のことしか頭に無い主人公を応援するのも、共感するのも無理と言うものだ。この感想の冒頭で書いたが、15分間観終えて、更に喜美子への不快感が増してしまった…。それとも、「恋は盲目」と好意的に捉えるべき…ってこと?
あとがき
ラストの「それは 喜美子の笑顔によって 引き出された色でした」のナレーションが空を切りましたね。お金と結婚しか頭に無い主人公の笑顔に、ナレーションのような “魔力” があるとは思えませんから。それと、八郎の作った焼き物、いつ作ったのだろう? それこそ、印象的に描いておけば、少しは感動出来たのに…
とにかく、まだまだ、私と同じ “モヤモヤしつつも離脱する程でもない人”の皆さん、一緒にモヤモヤを共有して、望みに繋げましょう!と、言い続けたいところですが、流石に前回と今回を見て、言い続ける気力が失われつつあります…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
67 68 69
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