スカーレット (第68回・2019/12/17) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第12週『幸せへの大きな一歩』の
『第68回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は八郎(松下洸平)の珈琲茶碗作りを手伝いたいと、涙ながらに訴える。結婚に向けた試練を二人で乗り越えたいという喜美子の願いを八郎は受け入れ、茶碗の半分を喜美子に任せて、自分は陶芸展の作品作りに集中することに。喜美子は早速、茶碗を作り始める。出足は好調だが、すぐ壁にぶつかり悪戦苦闘。深夜になっても終わらない。心配した常治(北村一輝)がマツ(富田靖子)に様子を見に行かせたところ…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
八郎に叱られて、駄々をこねているようにしか見えない…
アバンタイトルの冒頭から喜美子(戸田恵梨香)の涙の訴えで始まった第68回。とにかく、「喜美子よ、絵付けはどうした!?」しか頭に浮かばないスタート。
前回での終盤からの続きではあるが、この涙の訴えを見て聞いて、普通の感覚なら(前回で)、好意的に見ても八郎(松下洸平)に叱られて、駄々をこねているようにしか見えないのだが、これを、「喜美ちゃん、やる気出して頑張れぇ!」とか応援出来る人が、視聴率20%行ったり来たりを支えているのだろうか?
願いを受け入れた八郎に"デレ"っとする喜美子を見ても…
主題歌明けの、自分の願いを受け入れてくれた八郎に “デレ” っとする喜美子を見ても、やはり、Yahoo!テレビのあらすじにある「結婚に向けた試練を二人で乗り越えたいという喜美子」には、どうしても見えない。その理由は簡単だ。だって、ここ2週間程度の描写では…
●喜美子が、作陶に魅力を感じて作陶をしたいのか?
●八郎の珈琲茶碗作りを手伝いたいのか?
●八郎を陶芸展に集中させたいのか?
●結婚の条件をクリアしたいだけなのか?
さっぱり分からないのだから。
「荒木荘時代」や「フカ先生との修業時代」の喜美子の欲求は?
きっと、脚本家は恐らく前述の4つの喜美子の “したい” の全部を盛り込んでいるのだ。喜美子は、THE BLUE HERATSの歌詞ではないが “あれもしたい これもしたいもっとしたい もっともっとしたい” 女の子って感じで。 心理学用語に「マズローの欲求5段階説」と言うのがある。
1「生理的欲求」…食べるや寝るなど生命の維持に関わるもの
2「安全の欲求」…わが身が法や秩序に守られ安全で保護されている状態
3「所属と愛の欲求」…孤独でなく、共同体の一員や周囲からの愛情を感じられること
4「承認の欲求」…自己能力の自信、他者からの承認、地位や名誉を求めること
5「自己実現の欲求」…自己の持つ力を全て開花させ、より自分であろうとすること
この5つの欲求は1から欲求の低い順だ。因みに「1~4」は欠乏欲求と言って、物足りないと不満が増えて欲求が増す。5は、成長欲求と言って、成長するだけが目的だから、この段階に入ると成長しても満足感を得られずに自分を追い込み追い詰め続けることになる。
これらを「大阪の荒木荘時代」や「フカ先生との絵付け修業時代」の喜美子に当てはめてみたらどうだろう?
「1と2」のために、「3」をやりつつ「4」のために頑張った印象が強い。住める場所があるだけで幸せ、自分の存在を認めてくれる人と一緒に暮らしているのが一番の幸せ、家族を経済的に支えている自分にも満足、女中と絵付け師として一人前と認められて嬉しい…みたいな女の子だったと思う。
今の喜美子は、「あたし、八郎クンよりも陶芸に恋しちゃった!」
しかし、フカ先生が去り、目に入るものが八郎だけになった喜美子は、「1~4」に既に満足してしまって、結婚すら視野に入った途端に、「陶芸家になりたい!」と言う自己実現の欲求しか無いように見える。映画のタイトル風に言えば、「あたし、八郎クンよりも陶芸に恋しちゃった!」って感じ。
今回、直子の自慢話があって、ホッと出来た…
10分過ぎに、川原家で喜美子のすぐ下の妹の直子(桜庭ななみ)が、仕事が以前より出来るようになって給料も上がって…と家族に嬉しそうに自慢する、ほのぼのシーンがあった。
あの直子が、正に「大阪の荒木荘時代」や「フカ先生との絵付け修業時代」の喜美子と同じ、「1~4」の欠乏欲求が徐々に満たされて、更にヤル気が出ている状態だ。やはり、何かを本気で目指す前は、こんな感じの方が朝ドラとしても、ホームドラマとしても受け入れられ易いと思う。
脚本家の欲張り過ぎで行間が無くなり端折った印象しかない
やはり、喜美子は欲張り過ぎた。正確に言えば、脚本家が欲張り過ぎた。終わったことに対して何を言っても無駄だが…
絵付けに興味を持ったのと同じように、ふらりと覗き見した商品開発室の中で八郎がやっている作陶に興味を覚えた喜美子が、「私も やってみたい!」的な軽い気持ちと、姉御肌風に「手伝ってあげる!」みたいにお節介を焼いて、そのやり取りの中で恋が芽生えて行く…と言う、自然な順番で良かったと思う。
それなのに、陶芸、恋バナ、結婚、入賞、カフェの珈琲茶碗まで、行間が無い程に詰め込み過ぎちゃったから、結果的に全てが中途半端に端折っている印象になってしまったのは、取り返しがつかないと思う。
このまま「ヒロイン特権」と「喜美子アゲ」が続くと…
そして、このまま「ヒロイン特権」と「喜美子アゲ」が続いて、あれよあれよと喜美子が作った珈琲茶碗が世に認められちゃうわ、八郎は入賞して結婚もしちゃうわ、夫婦で順風満帆に夫婦陶芸家を目指すお話になっちゃうとしたら、もう一度、「大阪の荒木荘時代」と「フカ先生との絵付け修業時代」は何だったのか? と感想に書くと思う。
あとがき
「大阪の荒木荘時代」と「フカ先生との絵付け修業時代」とは、歴然とした差が出て来ちゃいましたね。今回の終盤での、いくら会社の使用許可があるにしても勝手に徹夜はどうかと思いますし、喜美子が一晩で同じ形の10個の珈琲茶碗を作れちゃうのも、モヤモヤしませんか?
また、今回のアバンでも使われましたが、丸熊陶業が正月休みだからと言って、会社内で痴話喧嘩みたいなのをやる八郎も、泣ける喜美子もどうかしているような。これも、ドラマチックを欲張り過ぎの結果だと思います。結婚まではこの調子だと思うので、結婚後の2人は修正して欲しいです…
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
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