スカーレット (第59回・2019/12/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第10週『好きという気持ち』の
『第59回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
草間(佐藤隆太)に連れられ、帰郷した直子(桜庭ななみ)。喜美子(戸田恵梨香)が事情を尋ねるも、直子は「男と女の痴情のもつれや」といら立ち、母マツ(富田靖子)にだけ真相を打ち明ける。その頃、常治(北村一輝)は草間を連れて飲み歩きの真っ最中。「台湾に行く」と明かされる。翌日、草間は喜美子の職場を訪ね、喜美子が初めてデザインした火鉢を目にする。そして自らの経験を踏まえたある助言を残し、再び旅立っていく。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
直子の告白に、東京での回想シーンを入れたら良かったのに
本当に、本作は私の期待を良くも悪くも裏切ってくれる。だから、毎度言うように “先” が気になって見てしまうのだが。
今回の前半で描かれた、直子(桜庭ななみ)3通の悲痛な電報のくだりも、前回の感想のあとがきでは、“草間が東京で知った直子の事実を喜美子にだけ話して、喜美子は1人でそれを胸に仕舞い込み、草間は信楽を去って行き、直子のくだりは曖昧なまま終わるかも” と書いたのに、思いのほかキッチリと描いて来た。
それも、直子の口から全部。ここまでやるなら、「男と女の痴情のもつれ」を少しでも良いから回想シーンとして入れたら良かったと思う。確かに、桜庭ななみさんも演技は頑張っていたし、川原家の女4人のやり取りとしては面白味はあった。
でも、直子の真相を語り始める部分は、回想シーンを入れて少しコミカルにした方が、その直後の母・マツ(富田靖子)の “恋愛の先輩” としての説得に重みが出たし、説得力も増したように思う。
やはり、今週は演出が今一つって感じだ。ただ、中学校が斡旋した東京の企業で、父・常治(北村一輝)まで付き添って就職した先の上司が、新入社員と…ってあるのかな? とも思うが。
常治が草間に「喜美子の絵付け火鉢を見て欲しい」は良かった
続いては、常治が草間(佐藤隆太)を連れて飲み歩きいている真っ最中で、草間から「台湾に行く」と明かされる場面で、常治が草間に「台湾行く前に 喜美子の… 絵付け火鉢 見たってもらえませんか?」と願い出たのは良かった。やはり、常治は、直子に付き添って東京に行ってから、少し人間的に柔らかくなっている。
その原因がハッキリと描かれていないのは気になるが、でも、常治が草間に一目置いているのも、信用しているのも、喜美子の仕事を大切に思っているのも伝わった。地道だが、こう言うシーンを増やすことで、川原家の絆を積み重ねて欲しい。
喜美子の絵付け火鉢のデザインの根拠が示されたのは良かった
翌朝、草間が丸熊陶業の絵付け室にやって来て、喜美子の絵付け火鉢を見に来るシーンも、意外と良かった。私も、恐らく世間の人たちも、なぜ、日本画のような絵を描ける喜美子が、敢えて深野心仙(イッセー尾形)が作っていたような火鉢と全く違った絵と言うより、デザインの火鉢を作ったのか疑問だったはず。それの解決編になっていたから。
喜美子「ああいう いわゆる絵を描くんも好きやけど
こういう模様みたいな絵柄を作るんも楽しいんです。
草 間「へえ~」
喜美子「同じ絵を繰り返し描くんも好きや」
結局、喜美子は、フカ先生とは違うものを作ろうとか、斬新なものを作ろうとか言うのではなく、単純に絵柄を繰り返し描くのも好きだからやった。それだけだったのだ。何か、今までのモヤモヤしたものが一気に消えたって感じ。だったら、以前から模様のような絵柄を描くのが好きなことも描写しておけば、もっと良かったと思う。
喜美子の衣装も、模様が繰り返すようなデザインにしても良かったし。やはり、撮影現場の働き方改革の為なのかは分からないが、「ここぞ!」と言う時の映像が無いのが、とても勿体ないと思う。前段の直子の東京での出来事も同じこと。やっぱり、テレビドラマだから、台詞やナレーションより映像で見たい。ただ、それだけなのだが…
草間だから話せた台詞、草間だから作れたシーンが良かった
そして、今度はちゃんと以前の草間と草間の妻・里子(行平あい佳)が中華店で再会したシーンが挿入された。そう、これが大事。映像的には僅か5カット数秒の回想シーンだったが、きちんとナレーションで補強したことで、当時の草間の心情を丁寧に描いたと思う。
そして、例え現在は離婚したとしても、好きな人が出来ると言うのは良いことだと話を繋げるのは悪くない。と言うか、今の状況で喜美子にこれ↓を言えるのは草間だけ。
草間「好きな人ができると 世界が広がるよ」
このシーンも、草間だから作ることが出来たシーンだと思う。先日も書いたが、草間にはピンポイントで良いから、喜美子の人生の分岐点に登場して存在感を魅せて欲しい…
終盤の喜美子と八郎とのやり取りだけが微妙な仕上がり…
さて、今回の問題は、12分頃からの喜美子と八郎(松下洸平)のやり取りをどう評価するかだ。草間の「好きな人ができると 世界が広がるよ」の直後に、喜美子が八郎を見つめるカットが直結していた。
今回だけを見た人なら、喜美子が陶芸に関わる職人として “世界を広げる” ために “好きな人をつくる” 目的で、以前から作陶を教わっている八郎に “興味” を示し始めて、それが “恋の始まり” となって、これは自然な流れ。
でも、ずっと見ている私には、草間に言われる前から、喜美子は八郎に “興味” を示していた訳で、その八郎を今度は “好きな人” にしようとしているような順番で描いてしまうと、喜美子の頭の中は「陶芸より八郎」になってしまう。いや、「恋は盲目」と言うように、喜美子が「今は陶芸より八郎」なのは良いのだ。
ドラマとしても間違っていない。ただ、そうならそうで、ちゃんと優先順位が入れ替わったことを描いた方が良かったのではないかってこと。その方が、今の状況を好意的に受け入れることが出来ると思う。
だって、何よりも「一人前」になることに必死に努力してきた喜美子が、陶芸よりも恋愛を選んだのだから、この先で振り返った時に、喜美子の人生の分岐点になるはず。そこの仕事と恋愛のバランスがちゃんと描けていないのは、少し “先” が不安になる…
あとがき
喜美子と八郎、急接近しましたね。この感じだと、喜美子が子ども時代に拾った信楽焼の欠片を見せたいと、八郎を川原家に読んで、家族とご対面って感じになるかも知れませんね。
あまり、喜美子と八郎のイチャイチャを長引かせるのは、陶芸家の朝ドラとしては得策ではないので、週明けには早速、結婚話が始まるかも知れませんね。と言うか、その位のテンポ感の方が、楽しくなると思います。
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
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第2週『意地と誇りの旅立ち』
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第3週『ビバ!大阪新生活』
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第4週『一人前になるまでは』
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第5週『ときめきは甘く苦く』
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第6週『自分で決めた道』
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第7週『弟子にしてください!』
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第8週『心ゆれる夏
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第9週『火まつりの誓い』
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第10週『好きという気持ち』
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