スカーレット (第55回・2019/12/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第10週『好きという気持ち』の
『第55回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は初めてデザインした火鉢の試作品を八郎(松下洸平)に見せようと商品開発室を訪れる。すると八郎の作陶を目撃して驚く。八郎は社長の許しを得て、勤務時間の前後に陶芸の練習を重ねていた。目の当たりにした陶芸に心をひかれる喜美子。そして八郎の陶芸への思いを聞くと、喜美子の脳裏にある思い出が浮かぶ。その頃、川原家に信作(林遣都)が来て、「お見合い大作戦」なるイベントで喜美子の見合い相手を…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
漸く「本題」に入って行くと言う位置付けで良いのだろうか?
さて、いよいよ、ヒロインの喜美子(戸田恵梨香)が「陶芸家」と言う職業に興味を抱いた「新章」の第1回目と言う位置付けで良いのだろうか。
いや、放送前からWikipediaにも「信楽焼の女性陶芸家の草分けで実在の陶芸家である神山清子の半生を参考にしたオリジナル作品として制作される」とあったから、全150回として今回が第54回だから、全体の2/3を過ぎた時点で、漸く「新章」ではなく「本題」に入って行くと言う位置付けの方が正しいかも知れない。
本作では2回、喜美子が新しい仕事に就いた「章」があった…
ただ、これまで本作では2回、喜美子が新しい仕事に就いた「章」があった。1つ目は、今回の劇中で喜美子が八郎(松下洸平)に話していたが、家計が苦しいため中卒の娘の喜美子を働かせようと父・常治(北村一輝)が探して来た、大阪の下宿「荒木荘」で “女中” としての仕事。
喜美子自身は家事仕事には、そこそこ自身があったものの、先輩の女中の大久保(三林京子)に「一人前になるには、2,3年…」的な厳しいことを言われ、やる気がメラメラと湧いてきて、大久保らに「一人前」と呼ばれるようになるまで苦労や苦悩をしながら、恋をし失恋をし…
働き始めてから約2年半後に、実家の更なる経済状況の悪化や喜美子のすぐ下の妹の直子(桜庭ななみ)の反抗期を原因に、女中の仕事を辞めて実家に帰った。
一度目は下宿屋の女中で、二度目は信楽焼の絵付け師…
そして2回目も常治の口利きもあって、幼馴染の照子(大島優子)の実家で信楽では有名な丸熊陶業の “女中” に就くも、今は自主退社した師匠と慕っていた絵付け師の深野心仙(イッセー尾形)の絵付け火鉢の美しさに魅了され、深野にも「一人前になるには、2,3年…」的な厳しいことを言われ、やる気がメラメラと湧いてきて…
2度目だからか知らないが、「荒木荘」での修業時代は丁寧に描いていたのに、絵付けの修業の映像は大幅にカットされ、フカ先生たちと楽しく修業し働きながら約3年後には、 信楽初の女性絵付け師「ミッコー」とまで呼ばれるようにまでなり、深野たちが去った丸熊陶業の絵付けを喜美子一人が請け負っていると言う状態。
「2度ある事は3度」的な脚本は何を言おうとしているのか?
で、今回で、社長の許しを得て勤務時間の前後に陶芸の修業を重ねていた八郎が制作中の、ろくろの上の大鉢(うどん皿)から出た「粘土の切れ端」を見て、窯で焼き上がった素焼きの火鉢に絵付けする仕事から、その作業の前段階である「作品のイメージを考える」、「土を練る」、「成形する」と言う作業、仕事に興味を示した。
一体、この「二度あることは三度ある」的な脚本の筋書きは何を言わんとしているのだろう? 私なりに考えてみた。
不器用なヒロインが堂々巡りしながら"何処か"に着地する物語?
1つは、喜美子は “飽きっぽい性格” である可能性。2つ目は、喜美子は “目標を達成すると満足してしまう性格” である可能性。そして、3つ目が、これが前回の感想でも書いた 「親譲り」であり「川原家の特徴」でもある “学習や成長をあまりしない大人” と言う可能性。
恐らく、前回の感想に書いたことを前提にすれば、3つ目の“学習や成長をあまりしない大人” の喜美子を踏襲しつつ、長い年月をかけて “最終的に、信楽焼の女性陶芸家の草分け的存在” になる過程を描こうとしているのではないかと勝手に想像してみた。
要は、不器用なヒロインが堂々巡りしながら “何処か” に着地する物語を描こうとしているのではないかってこと。だって、常治もマツ(富田靖子)も、いつも堂々巡りだし…
喜美子は、最近の朝ドラのヒロインとは明らかに違う!
これ、今までの、ここ最近の駄作と言われる朝ドラを含めた物語ともヒロイン像とも明らかに違う。大体のヒロインは、不愉快だろうとヒロイン特権だろうと、一応は周囲の応援もあり、本人の努力もあり、経験や体験や実績を評価されたり、自己主張して、本人が望むかか望まぬかは別にした “何処か” に着地して来た。
しかし、喜美子は違う。「一人前」と言う目標を自分で掲げて目標が達成されるまで、一生懸命に働くのは間違いないが、意外とお金に無頓着になる。「荒木荘」時代は、大久保の粋な計らいである “内職” に救われた。
「絵付け師」時代は、女中と絵付け師の二足の草鞋を履く期間で凌き(結局は本人の希望もあって、直子も上京して就職)、絵付け師として一人間になる目しょうが達成された時点(前回)で、社長に昇給を直談判して、何とか常治の反対を押し切って、百合子の進学が決定した。
喜美子の好奇心への"浮気性"や目標への"猪突猛進"には…
何が言いたいのかと言うと、本作を楽しむには、または、面白く見るには、喜美子が「親譲り」であり「川原家の特徴」でもある “学習や成長をあまりしない大人” と言う設定に、愛着を持てるかどうかで決まると思うってこと。
私も、目標を掲げると一心不乱になるところがあり、フリーランスとしての営業や経営を忘れがちになり、気が付くと誰かのお世話になったり、値上げ交渉が成功したりで、50歳過ぎまで名の無いフリーランスをやっている。
だから、喜美子の好奇心や探求心への “浮気性” の部分や、目標に向かうと “猪突猛進” の部分には愛着が湧くし、愛嬌も感じる。だから、女中、絵付け師に続く、陶芸家への道にも期待しようと思う。
あとがき
喜美子と八郎のイチャイチャのくだりは、好みが分かれそうですね。そして、「女中、絵付け師の次は陶芸家なの?」と言う部分も「また?」と思う人も多そう。
でも、私は、今は「挑戦している朝ドラ」として見ています。「観ている」と言うより「見ている」って感じ。分かりますかね。「ながら見」以上「鑑賞未満」って感じでしょうか。
ただ1つ演出家に言いたいのは、幾ら “学習や成長をあまりしない大人” と言う設定でも、時間経過の表現は丁寧にして欲しいです。美術セットや衣装は当然のこと、戸田恵梨香さんは演技で時間経過を表現出来る女優さんだと思うので、そこだけはビシッとやって欲しいです。
それと、信作(林遣都)が来て、「お見合い大作戦」なるイベントで喜美子の見合い相手を楽しそうに探そうしているのは、以前での新作が何となく喜美子を恋愛対象として気にしているような演出(と言うか、演技指導ゆえの演技。脚本でない)があったから、かなり意外に見えました。やはり、演出家に頑張って欲しいです。
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/13539/
【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
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