スカーレット (第53回・2019/11/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第9週『火まつりの誓い』の
『第53回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は、絵付けの師匠・深野(イッセー尾形)と兄弟子らとの事実上のお別れ会を終える。家に帰ると、父・常治(北村一輝)と母・マツ(富田靖子)が待ち構え、常治から深野がクビになったのかと聞かれて喜美子は反発。ケンカになる。火まつり本番の日。信作(林遣都)がカメラ片手に来て、神社に出発する前の喜美子と八郎(松下洸平)と遭遇。二人を見送る。夜が更けて、松明を担ぐ喜美子たちは山道を登り始め…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
火まつりの袢纏を着た喜美子に惹かれる八郎が良かったから
終盤での「火まつり」の袢纏(ハンテン)を着た喜美子を見た八郎(松下洸平)が、徐々に喜美子に惹かれて行く様子がとても良かっただけに、今回はちょっと手厳しいことを書こうと思う。やはり、今回のような15分間は二度と無いことを期待したいから…
9分過ぎまでの親子喧嘩って、必要だった!?
9分過ぎまで描かれた、絵付けの師匠・深野(イッセー尾形)と兄弟子らとの事実上のお別れ会(数日間は、まだ一緒に仕事をするようだから)を終えて、喜美子(戸田恵梨香)が家に帰ると、父・常治(北村一輝)と母・マツ(富田靖子)が待ち構え、常治から「深野がクビになったのか?」と聞かれて喜美子は反発し、親子喧嘩。
あれ、必要だったのだろうか? そりゃあ、今回が初見の視聴者向けのサービスと言われたらそれまでだが。
東京に行って常治が変わったなら、その理由を絵がなくちゃ
毎日観ている視聴者なら、生活苦の川原家の中で、喜美子が深野を師匠として尊敬し、好きな仕事をすることで収入減になり、喜美子の妹の直子(桜庭ななみ)が上京して働くも家には一銭も入れず、常治は好きでもない仕事をしているのに、娘は好きなことをやっていて、その上それが首になるとかならないとかで…揉めたと言う話のようだが、それで一体何を視聴者に伝えたかったのだろう?
常治が直子に連れ添って東京に行き、そこで “何か” があって、ちょっとまともなことを言うようになったのを伝えたかったの? それなら、きちんと常治に起きた “何か” を事前に描いて貰わないと困る。で、良く分からないから録画を観なおしても、結局は、喜美子と常治が互いに自分の意見を主張していただけで、喧嘩のあとに外に出る喜美子を見ても、常治に言われたことが “何らか” 影響したようには見えないし。
親子のおかしな意見の言い合いっこに見せたのは失敗だった
いや、親子喧嘩なんて朝ドラにはつきものだし、3人の演技も悪くない。しかし、耳で “聞いているだけ” だと、わざわざ言い合う程のことかな? って思う。毎日観ていれば分かることを、むしろ変な台詞回しで、親子のおかしな意見の言い合いっこに見せちゃった…と言う感じ。
もう少し、これまでに常治がやりたくない仕事を一生懸命にやっている姿や、酒を我慢している姿でも描かれていれば、このシーンの印象もだいぶ違って来たと思う。本作って、たまにこのような雑な描写がある。働き方改革で短時間で制作しているのは重々理解するが、頑張って欲しい。だって、昨日なんて、とっても良かったのだから。
なぜ唐突に喜美子が今年の火まつりに参加するのかが不明瞭
そして、9分過ぎから描かれた「火まつり」。12分過ぎに祭りの衣装をまとった喜美子がこんなことを言った。
喜美子「今年は参加することにしてん」
と言うことは、「火まつり」は毎年開催されているが喜美子はこれまで参加しておらず、今年は深野がいなくなるから参加すると言う意味にしか取れない。実は、「火まつり」と言う行事を知らなかったから調べてみると…
「火まつり」は、古くは数百年前、江戸時代以前より続くと伝えられる祭りで、「陶器づくりに欠かせない火」、「産業や生活・文化に欠かせない火」への感謝と火に関わる安全を願って、新宮神社から、愛宕山山頂の神社に松明を奉納する祭り
だそうだ。ここで、2つの不満がある。
1つ目の不満:以前にも「火まつり」を登場させなかったこと
1つは、この「火まつり」を、未見の人には恐縮だが、朝ドラ『カーネーション』に度々印象的に登場した祭り「だんじり」のように、もっと以前から描くべきだったと言うこと。例えば、喜美子が大阪の荒木荘にいた3年間で住人たちとの会話の中に登場させて、故郷を思い出しても良かった。
大阪から帰って来た信楽での3年間の修業期間の中でも、信楽を象徴する行事として信作(林遣都)を絡めて1回位は描いても良かった。欲を言えば大阪に行く前の約10年間の少女期に「火まつり」を見に行く喜美子を描いても良かった。
2つ目の不満:まつりに「参加」の意味が不明瞭なこと
もう1つの不満は、「参加」が何を意味するのかが曖昧なまま話が進んでいることだ。恐らく、本作に於ける「参加」は、“信楽焼職人として松明を持って山を登る” ことだと想像できる。でも、一般的には “祭りを見に行く” ことも「参加」と言うし、“祭りの裏方として関わる” ことも「参加」と言う。だから、そこをハッキリして欲しかった。
脚本家や演出家や出演者が分かっていても、視聴者にそれが “正確に” 伝わっていなければ、既に冒頭で「事実上のお別れ会」は済んでいるのだから、悪く言えば蛇足。良く言えば、最後に一花咲かせてフカ先生の退場劇をやろうってこと。だったら、もっと丁寧に「火まつり」を説明しておくべきだったと思う。
あとがき
明日に描かれるであろう、「火まつり」の本番の様子が、ただの滋賀県の観光PR映像に終わらないことを祈るばかりです。そして、喜美子が今年「火まつり」に参加したと言うことは、喜美子が信楽に残ると言うことでしょうから、丸熊陶業唯一の絵付け師になる訳で、そこからの新たな展開に期待します。って、まだ土曜日分がありますが…
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/13528/
【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
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第2週『意地と誇りの旅立ち』
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第3週『ビバ!大阪新生活』
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第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
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第9週『火まつりの誓い』
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