スカーレット (第52回・2019/11/28) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第9週『火まつりの誓い』の
『第52回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は八郎(松下洸平)から絵付けの師匠・深野(イッセー尾形)が会社を辞めて、長崎で若い絵付け師の弟子になると聞く。まさかの事態に喜美子は動揺し、自分も会社を辞めて、深野の後を追うかと悩む。その後、深野本人から事の成り行きを聞かされ、二人の兄弟子からもそれぞれの今後を教えられると、喜美子は複雑な気持ちに。恒例の信楽・火まつり本番が近づく頃、喜美子の決断に残された時間は無くなって…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
前回の期待に応えるような潔いアバンタイトル
先週末から火曜日までいろいろとネタ振りをして来て、水曜日から金曜日に向かってエンジンをぶん回すために、前回のラストで「喜美子とフカ先生と八郎と火まつり」の大きなフラグを立てて迎えた木曜日。正に、その期待に応えるような、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)の短いカットでの潔いアバンタイトルだった。
喜美子と八郎だけで、先週からのネタをほぼ全て回収!
主題歌明けは、喜美子が丸熊陶業で深野(イッセー尾形)を師匠とし尊敬し、少ない給料でも絵付けの修業をして来た理由と、捨てきれない深野への思いがあるから、深野のあとを追うか迷う複雑な心情を7分近くも割いて、丁寧に描いた。
そして、丸熊陶業を去り残されることになった喜美子が、気持ちを切り替えて、残りの与えられた仕事をしようと気持ちを切り替えるきっかけとなった、この八郎と喜美子のやり取りが良かった。
八 郎「絵付けやってる人に悪い人おりません」
喜美子「おっ!」
八 郎「絵ぇ描きはる人は 優しい」
喜美子「おっほほほ… うれしいな」
9分過ぎまでの、2人芝居(深野と八郎の回想シーンも若干含まれたが)だけで、2人それぞれの深野への熱い思いや、将来や未来に結び付いて行くエピソードを含みながら、先週からのネタをほぼ全て回収した上に、ちゃんと「火まつり」に関わる部分は “先” に繋げる新たなネタ振りとして残して描き切ったと言う印象だ。
もはや、細かい描写の1つ1つを取り上げて解説するなど野暮と言うものだ…と、思う。
八郎が出て行った後の戸田恵梨香さんの1人芝居も、お見事!
また、八郎が絵付け室を出て行ったあとの、戸田恵梨香さんの1人芝居も見事だった。風鈴の音、秋の虫の声、喜美子が足を擦る音、喜美子が作業台を拭く音だけが響く絵付け室で、声を押し殺して泣く喜美子。
直前の八郎とのやり取りでは最後は明るく振る舞っていたが、この1人のシーンでの喜美子は、ずっとほぼ中央に顔を配置して、顔の向きは画面の下手(左向き)。
やはり、以前に投稿した『[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~』にもあるように、喜美子の位置で「安心と不安」、「楽しさと寂しさ」、「嬉しさと苦しさ」がどちらにも傾くことなく不安定な心情を表現し、顔の向きで「希望より絶望」、「上昇志向より下降志向」の要素が強いことを表現し、より複雑な喜美子の心の内側を演技と演出で魅せたと思う。
幼馴染同士を思うシーンや、敏春とのやり取りも良かった
10分過ぎからは、喜美子、深野、「1番さん」こと池ノ内富三郎(夙川アトム)、「2番さん」こと磯貝忠彦(三谷昌登)深野の2番弟子の4人で、楽しく且つ真剣な絵付け作業を描いて、 そのまま直結で常治(北村一輝)や忠信(マギー)らが行きつけの居酒屋「あかまつ」のシーンに行くのかと思いきや…
画面には登場しなかった照子(大島優子)と喜美子の幼馴染で親友同士を思う癒しのやり取りをちょっと挟んで、更に喜美子の進退について懐の深さを見せた新社長・敏春(本田大輔)も描いた。
こうやって、絵付け係だけを描くのでなく、丸熊陶業の他の登場人物のシーンを挟むことで、世界観がこじんまりとした印象を薄めることが出来る。大風呂敷を広げ過ぎるのは反対だが、やはり朝ドラだから “先” が尻すぼみに感じてしまうより、未来は広がりを見せた方が良いと思う。
喜美子が"事の成り行き"を誰から聞いたのか明確した方が…
13分過ぎには「あかまつ」。深野本人と2人の兄弟子からもそれぞれの今後を教えられ、複雑な心境の喜美子。
ここでちょっとした疑問が。上↑のYahoo!テレビから引用したあらすじには “深野本人から事の成り行きを聞かされ” とあるが、実際の映像では「残るはキュウちゃんや」となっており、深野がこの度の経緯を話したシーンは無かった。
しかし、映像的には喜美子は事の成り行きを知っているから、深野と2人の兄弟子の今後を受け入れられた…と見えた。だとすると、喜美子は “事の成り行き” を誰から聞いたのか? ってことが、ちょっと不可解。
八郎から聞いたことが全部では、納得した喜美子に対して「あれだけの情報で納得したの?」と言う感じになるし、敏春から聞いたとすると、今回での敏春は喜美子を追い出すようにも見えてしまう。まあ、常治が「あかまつ」で深野から聞いて…と言うのも無くはないが。
やはりここは、“事の成り行き” は、全て八郎か敏春から聞いた…と、ナレーション処理したら、より丁寧に映ったと思う。まあ、細かいことで恐縮だが、良く出来ているから「もっと」と思うのだ。
あとがき
あとは「火まつり」を残すのみとなりましたね。木曜日までに、よくぞここまでしっかりと、まとめたと思います。
それにしても、ここ最近、視聴率が20%を下回っているとの話題を目にしますが、この地味な展開や、喜美子の両親への不快感が視聴離れを生んでいるのでしょうかね。私は、前述の通りに雑な部分もあるにはありますが、全体的には “ものづくり” する人を丁寧に描いていますし、ホームドラマの面白さもあると思うのですが…
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