スカーレット (第51回・2019/11/27) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第9週『火まつりの誓い』の
『第51回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は妹・百合子(福田麻由子)の進路相談に同席することに。進学したい百合子の気持ちを知り、反対する父・常治(北村一輝)の説得を試みる。しかし厳しい家計の内情と、丸熊陶業の改革に伴う、常治と喜美子の仕事の先行き不安を理由に、常治は百合子の願いを受け入れない。喜美子が百合子の夢を叶えられずに心痛めていると、八郎(松下洸平)から絵付け師・深野(イッセー尾形)に関する衝撃の事実を聞く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今回のアバンには連ドラらしさとホームドラマの面白が凝縮
今回の感想は、前回の感想の期待通りの展開になったので、気合が入ったため少々長文です…(謝)
さあて。前回では、社長の急死の曖昧ない表現が気になったり、あれこれとネタ振りの詰め込み過ぎで、ガッカリさせられた本作。ただ、それは飽くまでも本作がお得意の、水曜日から金曜日にかけて右上がりに盛り上げる作戦の準備段階と解釈し、気持ちを改めて見始めた第51回。
アバンタイトルは前回の続きで、喜美子(戸田恵梨香)が喜美子の一番下の妹・百合子(福田麻由子)の進路相談に同席するシーンから仕切り直しで再編集するのかと思いきや、再利用は無しで、 百合子の担任の寺岡(湯浅崇)が「通知表」を家族に見せる場面からスタート。こう言うのは気分が良い。
やはり、本作は “先” に話を進めるべきなのだ。かと言って、社長の急死を曖昧にして良いとは思わないが。
それでも、アバンから、まだまだ厳しい川原家の家計状況の中で、百合子が大胆にも県立短期大学への進学を希望していると言う暴挙に出たのは面白い。流石に中学生に “寄生” し過ぎとは言わないが、ちゃんと、いつまで経っても勤勉な喜美子頼みの両親の末っ子らしい言動は、ある意味で連ドラらしいし、ホームドラマの面白さでもある。
あとは、主題歌明けに、この百合子の暴挙で、どれだけ盛り上げられるか…が水曜日の見所だろうか?
先週の「父父たらずと雖も子は子たらざるべからず」が再登場
主題歌明けは、この度の百合子の暴挙が、実は「お姉ちゃんみたいに 自分の得意なこと 好きなこと 何か 見つけたいなあ思てたんよ」と、働き者の姉・喜美子の姿に影響された結果の進路選択だったことが分かる。
これ、いいね。第46回(11/21)の感想にも書いた、「父父たらずと雖も子は子たらざるべからず」の再登場だ。「父親が父としての務めを果たさなくても、子どもは子としての務めを果たさなくてはいけない」と言う教えを説いた諺だが…
1週間以内に繰り返し利用することで、常治(北村一輝)の「そもそも 高校は行く必要ない。『女(おなご)に学問は必要ない』ねん」との今では古臭い考えはいつもの常治のままだが、実は上京して働いている喜美子の妹の直子(桜庭ななみ)からの仕送りが無いことが判明し、更に常治が直子の仕送りも頼りにしていることも強調され…
更に更に一番頼りにしている喜美子の仕事の先行き不安を理由に、百合子の高校進学、娘たちの自立に反対するダメ親父っぷりがエスカレートするように描かれたのは良かった。
マスコットガールとなり少々浮ついた喜美子の目を覚まさせた常治
そして、もっと良かったのが、激しさを増した常治のダメ親父っぷりが、担任への川原家の経済状況を話すくだりの中で、実は常治が喜美子の仕事のことを心配していることも同時に描かれたこと。
前回はちょっとイライラした曖昧な表現も、今回は例えば、「もう見た目だけ一人前でも お給金の方は 一人前には もう全く足りていません。週に2回 おかずが1品増えるかどうか そんなもんですわ」と客観的な情報を描いた。
また、常治を演じる北村一輝さんの名演技で、それが今までの “家計は喜美子頼み” だったのから、少し好転し、感情的に「女やし 学もないからや」と反論する喜美子に対して、「弟子やからや 9番目の!」と真実を叩き付け、少々マスコットガール扱いで少々調子に乗っていたようにも見えた喜美子の目を覚まさせたように見えたのも良かった。
そして、これらのことが本当に脚本家が描きたかったことだと分かる台詞が、「この先 どうなるか分からへんわ。こいつの仕事も お父ちゃんの仕事もや」で明確になった。
また、ここまで劇伴を使わずに登場人物らの芝居を見せることに集中し、この↑常治の台詞の直後から、ピアノソロの劇伴が被さって来ることで、脚本家の意図と演出家がきちんとシンクロしているのも分かる。いいシーンだ。
蚊帳の中の姉妹。姉は妹に癒され、私は姉を慕う妹に癒された
直前のピアノソロの劇伴を引っ張って、夜の川原家で同じ蚊帳の中で、仲睦まじく語らう喜美子と百合子の姉妹のやり取りも良かった。もちろん、前回の冒頭で描かれた喜美子と照子(大島優子)のイチャイチャするシーンも良かったが…
このような、姉妹で同じ担任の先生に教わったと言う設定を活かして…の、中学時代の喜美子を中学生の妹が振り返り、直前に常治に言われた「弟子やからや 9番目の!」で傷つき恥をかいた喜美子の心と、喜美子を応援している視聴者の心まで癒すシーンは、如何にもホームドラマらしい姉妹の会話劇として良かったと思う。
そして、百合子の姉を思う気持ちの優しさに、更に癒された…
八郎キャラが「筋の通ったブレない行動力のある青年」と分かった
10分過ぎには、日が変わり場所も丸熊陶業へ変わって、八郎(松下洸平)が登場。本来なら、直前の姉妹のシーンをラストまで引っ張って、水曜日が終了の方が区切りとしては良かったと思う。
でも、今日は前述の通り、火曜日のネタ振りを受けて金曜日にかけて右上がりに盛り上げる作戦の初日だから、程良きタイミングで場面転換したのは良い判断だと思う。
その上、八郎がわざわざ早朝から絵付け室の前で、深野(イッセー尾形)の出勤を待っているシーンと、深野のことを喜美子より知っているために感情的になる喜美子にしたことで、八郎の深野への並々ならぬ思いや、一人で突っ走る位の深野への気持ちが、きっちりと表現されたのも良かった。
今まで八郎と言うキャラクター設定が、「真面目で謎めいた青年」と言うだけで “曖昧” だったから、「火まつり」と「深野」への気持ちで、「筋が通ったブレない行動力のある青年」になった。今回は、大きく2つの舞台でエピソードが描かれたが、どちらも曖昧さを排除して、きっちりと丁寧に登場人物たちの心情を描いたと思う。
あとがき
八郎は大阪出身で、京都の美術大学を卒業後は、学生に陶芸を教える手伝いをしていたはずです。なのに、ここまで、 数百年前から続く「陶器づくりに欠かせない火 」と「生活や文化に欠かせない火」への感謝と安全を願って行われる「火まつり」に思い入れがあると言うのは、それだけて深野心仙と信楽焼に情熱を持っていると言う解釈で良さそうですね。
先日、信作(林遣都)が社員食堂に「火まつり」のポスターを貼っている時には、喜美子は「火まつり」に八郎ほどの関心があるように見えなかったし、今回もそう見えたので、木曜日からの「喜美子とフカ先生と八郎と火まつり」が、どう絡み合うのか楽しみになって来ました。
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