スカーレット (第49回・2019/11/25) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第9週『火まつりの誓い』の
『第49回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
新入社員の八郎(松下洸平)から、絵付け師・深野(イッセー尾形)への告白を聞いた喜美子(戸田恵梨香)は、八郎がかつて持っていたという深野が描いた絵を、想像を膨らませて自分なりに描いてみる。翌日、描き上げた絵を手に、八郎の働く新商品開発室を訪ねる喜美子。八郎に絵を渡し、喜美子自身も不本意だった新聞記事に対するわだかまりも解けたところで、社長が急病で倒れたという知らせが。喜美子の人生に一大転機が訪れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今回のアバンで"朝ドラの不可解な現実"を見せつけられた
“草創期の日本のアニメーション界を支えた女性アニメーター” がヒロインだった前作の朝ドラ『なつぞら』よりも、“男性社会だった信楽焼の世界で女性陶芸家の草分け的な存在” がヒロインの本作の方が、絵を描いているシーンがまともで長いと言う “朝ドラの不可解な現実” を見せつけられた今回のアバンタイトル。
夜1人で喜美子が絵を描く"あの構図の1カット"が良かった!
前回で、新入社員の八郎(松下洸平)から、絵付け師・深野(イッセー尾形)への告白を聞いた喜美子(戸田恵梨香)が、八郎が以前に持っていたと言う深野が描いた日本画を、自分から一人で想像を膨らませて自分なりに描くのを試みている姿だけを、室内だけのカットでなく、当blogの読者さんなら “耳にタコ” かも知れないが…
画面の手前を大きく襖や扉で覆って、画面の奥の小さな明かりの当たる四角い部分に喜美子を配置して、喜美子の心情を描く構図が今回も利用された。
今回の演出家(第4,5週担当の佐藤譲氏)は、これまでに無かったカメラワークで喜美子のひた向きさと時間経過を、最初は場面全部を屋根で覆い、少しずつクレーンを使ってカメラを下げ、やがて画面の上半分を瓦屋根で占有し障子で左右を抑制して、画面の中央下に喜美子の居場所を作った。
チェロの劇伴と相まって、静かな時の流れの中で集中してデッサンから色付けまで進んだことを表現した。たった数秒の1カットだが、「夜空に浮かぶ月」や「ランタンの炎」や「軒の上を歩く子猫」のインサートカットでは、“自分から一人で” と言うのが物足りなかったと思う。
そして、「八郎に渡すつもりはありません。渡すつもりは…」と敢えて繰り返したことで、喜美子が “ 自分のためでなく誰かのためにこそ動ける女性 ” であることと、“先” への楽しみも増した。
深野と八郎の場面、見ていて清々しい気持ちにさせてくれた
主題歌明けは、てっきりアバンを受けて、喜美子が八郎に昨晩描いた絵を渡すのかと思いきや、嬉しい方向に裏切られた。食堂で朝食を摂っていた八郎の所へ、深野がやって来て、例の八郎が生きて行くために止むを得ず打って手放した「2羽の鳥と山の風景画」を深野が思い出して描いた一枚の絵を渡した。感激の八郎。
絵描きと絵を所有する人の心を丁寧に描いた良いシーンだと思う。そして、深野の心の深さと広さ、八郎の真面目さと深野への尊敬の気持ちが、見ていて清々しい気持ちにさせてくれた。
お仕事ドラマの要素もきっちりと抑えているのがとても良い
6分過ぎ、喜美子が「渡すつもりは無い」はずの描き上げた絵を手に、八郎のあとを追って八郎の仕事場である新商品開発室へやって来た。ここでも、嬉しい方向に裏切られた。
サクッと絵を渡すのかと思いきや、絵付け室に沸いたヤカンを “ついでに” 持って来た八郎に対して礼を述べたあと、「もうしんといて下さい。うちの仕事です。ついでや言われたら つい甘えてしまいます(中略)どんどん甘えが入ってきます。仕事いうのは 甘えがはいってはあきません」とキッパリ。
いいね、「自分の仕事は自分で」ってのが。“甘やかし” と “甘やかされ” の連続だった『なつぞら』とは比較にならない。ちゃんと、お仕事ドラマの要素もきっちりと抑えているのが、とても良いと思う。
師匠と弟子が同じ行動をしたことで、先週と今週が繋がった
そして、「渡すつもりは無い」はずの描き上げた絵を喜美子が、ちょっとドキドキしながら八郎に見せる。「もろうてもいいんですか?」と嬉しそうな八郎。「もろうてくれるん?」と喜美子。
「ついでのヤカン」から「渡すつもりの無かった絵」で、先週に描かれた喜美子と八郎の間にあった “蟠り” が解けたのも良かったし、これが “先” の喜美子と八郎の関係に影響を及ぼしそうなほんわかした雰囲気も良かったし…
更に、深野と喜美子、師匠と弟子が八郎に対して “同じ行動をとった” ことで “絵付け職人同士の絆” みたいなものまで描いたことで、先週いろいろと描かれたことが、1つに繋がって来たのが本当に良かったし、良く出来ていると思う。
何となく、川原家が微妙に変わったような…
11分過ぎには、一気に怒涛の展開へ。番頭の加山(田中章)から社長の秀男(阪田マサノブ)が急病で倒れたという知らせが届く。と当時に「亡くなられたそうです」の訃報。葬儀は社葬もせず身内だけとの遺言とのことで、川原家や大野雑貨店も騒ぎ出す。ここでの常治(北村一輝)の描かれ方が興味深かった。
直子(桜庭ななみ)に付き添って東京に行っていたことで何か心境の変化があったのか、直子が居なくなり、今までは、「男1人 対 女4人」で虚勢を張っていた常治が、「男1人 対 女3人」になって、口喧嘩で虚勢を張る必要が無くなったのか、また信作(林遣都)の発言に対しても反撃しなかった。何となく、川原家が微妙に変わったような。
その辺も、今後描かれると面白味が増すと思う。
あとがき
週の始めの月曜日としては、正に怒涛の展開で終わりましたね。予告編によれば、照子(大島優子)の妊娠、百合子(福田麻由子)の進学問題、絵付け係の存続…と、次々と事件が起こるので、週の出だしとしては、まずは、「喜美子と八郎の関係修復」と「師弟の絆」と「社長の急逝」と、しっかりとネタ振りをしたと思います。今週も手堅く丁寧に進んで欲しいです。
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