スカーレット (第46回・2019/11/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第8週『心ゆれる夏』の
『第46回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
事業拡大を図る丸熊陶業に、3人の若手社員が入社。若社長の敏春(本田大輔)に連れられ挨拶回りに。喜美子(戸田恵梨香)の働く絵付係にも訪れるが、絵付け師・深野(イッセー尾形)と対面した若手社員の1人・八郎(松下洸平)が固まってしまう。その後、訪ねてきた信作(林遣都)の前で、八郎と喜美子が信楽の話題で盛り上がり、信作は複雑な気持ち。一方、照子(大島優子)が来て…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今回は、笑顔溢れる楽しいアバンで始まった…
前回は、今週の前半に立てられたフラグが少しずつ回収されつつ、 大胆に14分間も使って、喜美子(戸田恵梨香)の川原家、途中で信作(林遣都)の大野家、残りの1分間を使って 照子(大島優子)の熊谷家の家族模様を盛り込んで、それぞれの違いを描きつつ、しっかりとホームドラマになっていた。
そして、オーラスで事業拡大を図る丸熊陶業に、3人の若手社員が入社して来たところで終わったのを、どのように今回のアバンタイトルで受け取るのか期待していた。すると、3人の若手社員が丸熊陶業に初出社して来るカットを冒頭にそのまま置いて、これまた大胆に大皿に切り分けられ盛られた真っ赤なスイカのどアップで始まった。
で、カメラが引きの画になると、そこが絵付け室であることが分かり、前回でもやった “初もんは縁起物だから東の方角を見て食べる” の絵付け室ヴァージョン。
川原家ヴァージョンは単純に家族のやり取りだったのに対して、インド音楽の伝統的な楽器・シタールを使った何とも怪しげな雰囲気の劇伴が、絵付け室ヴァージョンは深野(イッセー尾形)の頂点にしたカースト制度的な雰囲気を盛り上げ、更にちょっぴり宗教的な儀式のような雰囲気も漂わせた。
これも前回の川原家ヴァージョンのフラグを受けての…回収かも知れない。とにかく今回は笑顔溢れる楽しいアバンで始まった。
一気に絵付け室に行かず食堂を経由したのは良いアイデアだ
さて、主題歌明けは、当然、スイカを食べている所へ新入社員3人が現れて “新キャラ紹介” になるはずだ…と思っていたら、気持ち良く裏切られた。舞台は食堂で、ベテラン職人3人が休憩でお茶を飲んでいる場面。背後の社員食堂で働くおばちゃん2人は片付けをしている。
職人の会話の中で「事業拡大は 商品開発や言うてましたよ?」と、前回でも描かれた照子の夫で婿の若社長の敏春(本田大輔)の事業戦略を入れて、恐らく今回の終盤で回収すると言う仕掛けだろう。そう言わんばかりに、敏春が新入社員3人を連れて入って来た。
ここで、すぐに絵付け室に向かわずに、社員食堂を咬ませて、新キャラの紹介をやるのは、中々良いアイデア。以前も書いた通り、ごちゃ混ぜにならない範囲で、ドラマのシーンの舞台は変わった方が楽しいし、いろいろな登場人物同志が関わることで、新たに見えて来るものもあるからだ。
食堂での、淡々とした自己紹介シーンが良かった
そして、3人の自己紹介が始まった。
「京都の大学で 美術工芸を学び 奈良市内の陶器会社に就職 そこでは 企画開発を担当」していた、ちょっと堅物でせっかち風な藤永一徹(久保山知洋)。「生まれも育ちも大阪で 大阪の工業大学を出て 大阪の建造物の儀中開発に携わり そのあと 大阪の建築資材研究所の研究員」をやっていた、お調子者の津山秋安(遠藤雄弥)。
そして、「僕も大阪出身です。京都の美術大学で陶芸の奥深さを知り 卒業後は 学生に陶芸を教える手伝いをしながら 働き口を探して」いた、大阪生まれで生真面目そうな十代田八郎(松下洸平)と、まるで自己紹介の見本のような描き方。
でも、絵付け室だったら、フカ先生が茶々を入れたり、弟子たちがちょっかいを出したりと、本来はサクッと終わるべき、新キャラ紹介に尺を割くことになる。だから、これで良いと思う。だって、ここで重要なのは、この新入社員3人は “敏春は、自分が次期社長だと言って勧誘して来た” と言う匂いがする…ことだから。
食堂での自己紹介が淡々としてたから八郎の態度が印象的に
4分過ぎには、絵付け室での自己紹介。直前で、お手本のような “流れる喋りでの自己紹介” をやった直後だけに、「ここ信楽で もの作りするんを楽しみにしております」と言っていた八郎の口が止まり、目の前の火鉢に目を奪われる姿が印象的に映った。
そして、絵付け室から出て行く八郎の白シャツの背中の一部が破れて雑に縫われていることに、ちゃんと気付く喜美子を加えたのも、喜美子が “先” で何かをするに違いないと期待させるに十分なネタフリになっていて良かった。
緑と八重子の"適材適所"な使い方も中々良いぞ
敏春が3人を商品開発室に案内し、火鉢と違う一般の人たちに売れ筋の新商品を作って欲しいと言って出て行く。本作で、新人3人が初めて3人だけになるシーンだ。会社の噂話でもして尺を稼ぐのかと思いきや、生真面目な八郎が茶を入れるために、ヤカンを持って出て行くだけ。
そして直後のシーンは、先程の社員食堂に喜美子がヤカンを持って入ってくるシーン。食堂には既に信作がポスター貼りに来ており、久し振りの喜美子との再会に喜ぶ緑(西村亜矢子)と八重子(宮川サキ)と言う舞台だ。劇伴も軽快なピアノ曲に変わって、一気に明るい雰囲気に。なんと、噂話は緑と八重子の役目だった。
この辺も、しっかりと適材適所を弁えて作られていて嬉しいし、楽しい。それにしても、緑に背中を叩かれた時に背中をさする戸田恵梨香さんの手のひらが背中にピッタリとくっついていた。私も整形外科のリハビリで肩甲骨のストレッチをやるが、戸田さんの身体の柔らかさに驚いてしまった。
喜美子の「今や 背負うようになったんやな」が心に響いた
緑と八重子が食堂を出て行くと、喜美子と信作の2人だけ。喜美子が先日の “母マツのへそくり” が原因で信作の両親が夫婦喧嘩になったのを謝るくだりで、喜美子が夫婦仲が元に戻ることを「割れた茶わん 元に戻った?」と言うのが、実に信楽らしいと言うか、脚本家の遊び心があって良かった。
そう言えば、昭和では夫婦仲のことを「合わぬ蓋あれば合う蓋あり」などと食器に例えることがあったのを思い出した。そして、信作が父・忠信(マギー)を初めて背負った話になる。自分が父親を背負うように変わったと、ポロリとこぼす。この直前に喜美子が「今や 背負うようになったんやな」と言う台詞がある。
ここで、ふと思い出したことわざがある。「父父たらずと雖も子は子たらざるべからず」だ。知る人には釈迦に説法だが、 「父親が父としての務めを果たさなくても、子どもは子としての務めを果たさなくてはいけない」と言う教えだ。
喜美子が、なんだかんだ言いつつも父・常治(北村一輝)と母・マツ(富田靖子)を見捨てずに、必死に家族のために長女として稼ぎながら夢を追い求める姿と重なったから思い出した…
「幼馴染3人のじゃれ合い」は「信作に恋敵登場!」のフラグか…
食堂に八郎がヤカンと湯呑みを持って来て現れた。八郎は、信作の2歳上だと分かる。本来は信作が説明すべき「火まつり」なのに、信作は既に八郎をライバル視しているのが面白い。更に、八郎と喜美子が信楽の土の話で盛り上がると、気が気でない信作。
喜美子は「気になる~」と、例の八郎の背中のほころびの話もここで回収。なるほど。先日無駄だと思っていた「幼馴染3人のじゃれ合いっこ」だが、あれはこの「信作に恋敵登場!」のフラグだった訳か。これは、やられた!
「照子の敏春へのベタ惚れ」は「ヒロイン特権」を割ける仕掛けか…
12分過ぎには夕方の社長室。照子の母・和歌子(未知やすえ)が、照子の父で社長の秀男(阪田マサノブ)に、自分は社長から退いて、次期社長の座を敏春に譲れと持ち掛けて、照子を残して出て行く。そして、かなり唐突な展開で、先日の喜美子の火鉢の新デザイン画が採用されることになる。
ここも、前述の通り、先日無駄だと思っていた「幼馴染3人のじゃれ合いっこ」で、照子が敏春にベタ惚れしているくだりが伏線になっていると捉えれば、唐突と言うより当然な展開。むしろ、「ヒロイン特権」で採用される展開よりも、ベタで直球勝負ってことになる。
まさか、あの火曜日の「幼馴染3人のじゃれ合いっこ」が、木曜日の中盤につぼみを膨らませて、終盤では花が開き始めるとは想像もしなかった。天晴れな展開と言って良いと思う。
あとがき
今回の流れで、前回のあとがきに書いた「果たして、喜美子は、じわじわと『信楽初の女性絵付け師』になるのか、あれよあれよと祭り上げられるのか? その辺の “先” も楽しみです」が分からなくなりました。
私の予想では、敏春が自分の采配を現社長に見せつけるために、喜美子を「信楽初の女性絵付け師」と祭り上げて、喜美子が困惑する…と見たのですが、どうなるのか楽しみです。
今日は朝から妹と、亡くなった母の遺品整理をしていたために、投稿が夕方になってしまいました(謝)
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
43 44 45
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