スカーレット (第43回・2019/11/18) 感想

連続テレビ小説「スカーレット」

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』公式サイト
第8週『心ゆれる夏』の 『第43回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


喜美子(戸田恵梨香)が絵付け師の深野(イッセー尾形)の弟子になって3年。21歳になった喜美子は修行の末、絵付け師の下っ端として認められ、忙しい毎日を過ごす。丸熊陶業の火鉢生産は好調で、喜美子は深野から火鉢の新デザインを考えるよう言われる。その晩、喜美子は妹の直子(桜庭ななみ)や百合子(福田麻由子)に家事を手伝ってもらい、デザイン案を考える。火鉢を使ってくれる人を想像して、喜美子が思いついたのは…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

演出担当が第1~3週を担当になって脚本とマッチするかな?

さて、土日が忙しくて、世間の “描かれなかった喜美子の修業の最初の約3年間” に対する評価も、当blogへの反応もコメントとしてはゼロだったため、良く分からずに始まった、絵付け師の深野(イッセー尾形)の弟子になって3年の21歳になった喜美子(戸田恵梨香)の出勤シーンで始まった “ある意味で新章” の第46話。アバンタイトルで早々に…

N「運命が大きく変わる夏がやって来ました」

と、今週のサブタイトル『心ゆれる夏』が何なのか “先” が楽しみになるような “振り” でサクッと終わった。これを見て思った。やはり本作の脚本は、前回の感想にも書いた通り 、どちらかと言うと「描く必要のないものは省略して当然!派」向けに作られているようだ。

ただ、ちょっと心配なのは、脚本がそうなると、今週の演出担当が第1~3週を担当した中島由貴氏で、演出の傾向は “描く必要のないものは省略タイプ” でなく、“見たいものを見せるタイプ” だから、脚本とマッチするかな?と言う不安。さて、主題歌明けは、どうなるのだろう…

やはり脚本家は、描くべき部分と省略を計算している

アバンが昭和34年(1959)の夏だったのに対して、主題歌明けの早々、約30秒で “半年後” の冬。まあ、前回では最後の20秒で、一気に3年前後も時間経過したから、丁寧と言えば丁寧だ。いや、やはり丁寧だ。まず、喜美子が絵付けの練習のために、よその火鉢や花瓶など焼き物の不用品を集める姿が描かれた。

もう、これだけで、喜美子が「新聞紙に一本の線を丁寧に描く」と言う修業の第一歩から、 深野の絵柄の見本を真似る模写の練習へ進み、深野の「(修業に) 近道はないねん」の一言で、模写から1個のミカンのスケッチへさらに進み、3年間を経て喜美子自ら深野以外の絵付けに興味を抱いているようになったことまで分かる。

序盤では、脚本と演出が多少空回り…

この辺の描写は、前回の感想でも書いた、喜美子がとても “生命力(バイタリティ)のあるヒロイン” であり、 “筋を通す(ブレない)ヒロイン” であり、 “問題解決能力(ブレイクスルー)に長けたヒロイン” を強調したかたちだ。

そこへ、喜美子の幼少期時代のような父・常治(北村一輝)と喜美子のやり取りの演出を加えちゃうから、ドラマにキレが無くなる。まあ、演出家交代後、まだ3分だから何とも言えないが。

川原家の夜、喜美子が練習している場面からキレが出て来た

しかし、川原家の夜のシーンでは、妹たちが寝ている時間なのに、喜美子が一人で絵付けの練習。それも、丸熊陶業の絵付け室やトラックの荷物では見たことのないようなデザインの火鉢が床の上に並んでいた。このシーンのお陰で、絵付け練習用の道具一式を自宅に備えることも出来るようになったのも分かる。

冬なのに、暖房もつけずに一心不乱に練習している姿も見える。このシーンには、ナレーションも無かった。これで良いのだ。繰り返しで恐縮だが、前回で書いたように 本作は「ドラマ自体がアグレッシブ(攻撃的、積極的)」なのだ。だから、若干「分かる人が分かれば良い」的な部分がある。

「朝ドラでは不親切では?」と思う人もいるかも知れないが、誰にも分かり易くするために、あれこれ描写を増やして、ダラダラしている印象を与えるよりも、ずっと良いと私は思う。

中島由貴氏の演出には家族愛やコミカルを強調する癖がある

そして、4分過ぎには、また半年経過して昭和32年(1957)の夏。ここでは、丸熊陶業の絵付け火鉢が大人気で爆売れ中なことと、絵付け職人不足、そこにまだ修業中の喜美子が自分にやらせて欲しいと主張するも深野に却下されることだけが描かれ、5分過ぎには再び半年経過して昭和33年(1958)の冬に。そして、ここで漸くナレーション。

N「ようやく 絵付け師としてのスタート地点に立てました」

やはり、まだ脚本と演出が馴染んでいない印象だ。脚本は、喜美子の修業が深野に次々と認められ、絵付け師のスタート地点に立った喜美子の喜びを表現するのに尺を割いているのに、演出はその喜びを喜美子と常治が分かち合う部分を強調している。

やはり、中島由貴氏の演出には “家族愛を強調する” とか “コミカルな描写を必ず挟む” と言う個性と言うか癖がある。だから、何となく脚本がやろうとしている方向性と反発してしまう。決して悪いとは思わないが、先週の演出家の方がしっくり来ていたような気がする。

深野が喜美子に新デザインを見せる場面から演出がマッチ!

7分過ぎに、深野が今年の新作のデザインを喜美子に見せた。そして、喜美子は深野から火鉢の新デザインを考えるよう言われる。ここで、意外な感じで、二番弟子たちのデザインが昨年に番頭の加山(田中章)から却下された回想シーンも使われていた。

そこで、加山の「丸熊陶業は深野心仙先生以外のデザインを採用する予定はありません」と宣言されたのを、傍らで見ていた喜美子が描かれたが、これは丁寧な描写だ。

喜美子のデザインが採用されるのが厳しいことだけを描くなら、弟子の台詞かナレーションで誤魔化せるのに、番頭・加山の言葉を聞いた時の喜美子の “ショック” な心情を描くために回想にしたと思う。

こう言う丁寧でシビアな描写の積み重ねがあれば、この前のコント風の演出も、あまり邪魔にならずに楽しめる。やはり、全体のバランスが大事だと言うことだ。

喜美子と弟子たちのやり取りの"コント風演出"は良かった

9分過ぎの喜美子が新しいデザインに挑戦することが決まってからの、喜美子と、「1番さん」こと池ノ内(夙川アトム)と、「2番さん」こと磯貝忠彦(三谷昌登)たちのコント風のやり取りも、やはり演出家の得意分野なのだろう。絶妙なさじ加減で “絵付け修業の厳しさ” をコミカルに表現したと思う。

喜美子「今年は うちが お二人の敵を」
池ノ内「おお… おう…」
磯 貝「敵 取ってくれるん?」
喜美子「実は うち 中学の時 県の絵画展で金賞を取りました」
池ノ内「県の絵画展で金賞? おおっ すごいやん」
喜美子「子どもの頃から絵ぇ描くんは うまいんです」
池ノ内「うわ~ すごいやん!」
磯 貝「アハハハハ…」
池ノ内「こいつも 全国芸術絵画展で大臣賞 取ったことあるんやで」
磯 貝「こちら 美術学校 首席で卒業やで」
池ノ内「いや… そら ほんまやけどな」
喜美子「はあ…」

深野の「一点物の芸術品」の例えにキレがあって良かった

落胆する喜美子に、深野が言う台詞も良かった。

深野「うまいからといって できるとは限らん。
   なにも 一点物の芸術品作るんちゃうで」

この台詞って、恐らく「芸術家」と「職人」の違い、特に “ものづくり” に向き合う際の心構えの違いを表現したのだと思う。このような “ものづくり” の根本的な部分をさり気なく入れるのは、“ものづくり” を描くドラマでは絶対に必要。

実は、深野たちが作っている絵付け火鉢だって、機械でプリントしている大量生産品とは違った、ある意味で手書きの “一点物” だ。今なら、「手書き」と言うだけで一点物の価値がある時代。

でも、劇中の時代の “一点物” は “芸術品” と言う解釈で成立している。そんな今と時代や捉え方の違いを、細かな解説で描かずに、深野の一言で描いたのが、実にキレがあって良いと思う。

本作は物語を"先"に進めて、あとから若干補強する作戦か!?

そして、11分過ぎの帰宅してからの喜美子と母・マツ(富田靖子)の会話で、先の深野の端的でキレはあったが、若干時代背景の違いで分かり難い人たち向けに、ちゃんと補強して来た。

喜美子「大事なんは うまいか下手より
    大量生産に向いたデザインができるかどうかや」

その上に、絵付け室での回想シーンで、

深野「みんなに ええなぁ言うてもらえるような
   いろんな人に目ぇ留めてもらえるような…
   求められるデザインを考えるこっちゃ」

この深野の喜美子への教授の言葉にエコー処理をして更に強調した。そして、その上でもう一度喜美子に、こう言わせた。

喜美子「誰もが 買うてくれるようなデザインや」

これで、喜美子の修業に求められることが、3年前と明らかに違い、高度になっているのが分かった。前回では、約3年を省略したことを少しは心配していたが、やはり本作は物語を “先“ に進める作戦で、あとから若干補強すると言うカタチを取るようだ。

今回の終盤の荒木荘時代の回想シーンも、大久保や住人たちに喜んで貰えるために、あれこれやった時の場面。なかなか良い編集だと思う。

あとがき

先週の演出も、月曜日から火曜日まではイマイチで、水曜日から脚本とマッチして激変して良くなりましたから、成人を迎えた貴美子を初めて扱う演出家・中島由貴氏も若干戸惑いがあるかも知れません。

「新章」の始まりとしては悪くないですし、イッセー尾形さんを巧みに抑え込みつつ、主人公を前面に出していたので、今週も後半に向けて右上がりになるのを期待します。

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【これまでの感想】

第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
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第2週『意地と誇りの旅立ち』
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第3週『ビバ!大阪新生活』
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第4週『一人前になるまでは』
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第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
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第7週『弟子にしてください!』
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第8週『心ゆれる夏

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