スカーレット (第39回・2019/11/13) 感想

連続テレビ小説「スカーレット」

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』公式サイト
第7週『弟子にしてください!』の 『第39回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


火鉢の絵付けで一人前になるには、数年の修行が必要で、家族の世話や食堂の仕事で忙しい喜美子(戸田恵梨香)にはとても無理だと判明。喜美子がショックを受けて家に帰ると、大阪で世話になったちや子(水野美紀)が出迎える。ちや子は転職して雑誌記者になったと明かし、仕事ぶりをいきいきと話す姿に喜美子はやりたいことを諦めないといけない自分の境遇に涙が溢れる。一方、常治(北村一輝)は喜美子の見合い話を勝手に進めて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

このアバンを見て、今週の演出家には少し光が射して来た!

絵付け仕事の修業が厳しいことを痛感した喜美子(戸田恵梨香)が夕景の中を帰って来る前回のラストシーンでは、何となく寂し気な雰囲気の中、 喜美子の一番下の妹・百合子(住田萌乃)のシャボン玉で遊んでいるが「喜美子姉ちゃん お客さんやで?」の台詞で始まった。

しかし、同じシーンを使った今回のアバンタイトルには、この前のシーンの丸熊陶業の「絵付け作業室」でのアコギの劇伴が、喜美子の家の前のシーンまで引っ張られた上に、このようなナレーション↓が追加されていた。

N「絵付けという仕事を なんと甘く考えていたことか…」

前回の15分間よりも、今回のダイジェスト版のアバンタイトルの方が、遥かに良く出来ている。端的に絵付けの仕事の厳しさを描き、ノックアウトされた喜美子を描き、仲良しの姉妹を描き、そして大阪を離れる際に直接別れを告げられなかった大阪で世話になったちや子(水野美紀)が、落ち込んだ喜美子を明るく出迎える。

いいじゃないか。劇伴の選曲もナレーションも編集も、前回と同じ演出家とは思えないキレの良さとまとめ方。前回では「今週の演出家が本作の鬼門」と書いたが、粗削りな演出だけに、やはり凸凹があるようだ。でも、このアバンを見る限りは少し光が射して来た。

こんな両親だから"しっかり者で働き者の喜美子"が育った…

主題歌明けの脚本も演出も良い感じだ。ちや子が、喜美子を待っている間に喜美子の母・マツ(富田靖子)から喜美子の現状を既に聞いている設定にしたことで、話の時間軸が一時停止しないし、説明臭さも省ける。

無邪気な妹・百合子と反抗期の妹の直子(桜庭ななみ)の対比も面白いし、喜美子が長女として姉妹にきちんと躾をしている姿も頼もしく見える。そう、ここが大事。

先日までは「クズ親」と書いていたが、あれはあくまでも客観的な表現で、私の思いは、自分の親なら困るが、ドラマとしては「親としてダメな常治とマツ」って感じで、あの親だから “しっかり者で働き者の喜美子” が育った訳で、ドラマとしては必要な設定だと思っている。

今回でもお客様が来ているのに、お土産で頂いた本をそのお客さんの目の前で寝転んで読んでいるのを母・マツ(富田靖子)は注意しない。注意したのは喜美子で、マツはお茶の話しかしない。これが、マツと言う母親なのだ。良くも悪くも喜美子に頼りっ放しの自由人。でも、だからだから “しっかり者で働き者の喜美子” が育った。そう、マツはこれで良いのだ。

大久保や大阪時代の回想シーンを入れない演出も評価したい

そして、そのお茶は、あの女中の大久保(三林京子)が、ちや子に持たしてくれたと言う。当然、私はあのお茶を飲んだことは無いが、「懐かしい! このお茶や いつもいれてた」と嬉しそうに喜美子がお茶を飲む姿と、その傍らのちや子を見るだけで、こちらまで “懐かしい味” に感じる。

途中から、バンジョーと口笛の切ない劇伴が流れて、女中の厳しい修行や初恋や失恋、美術学校の夢を諦めたりと、思春期の喜美子にとっては激動の3年間の大阪時代を思い出に浸る喜美子の姿に、私の本作を観て来た記憶も重なる。ここの、敢えて茶筒をちや子に渡す大久保や大阪時代の回想シーンを入れない演出も評価したい。

だって、本作の良い所は “先” が気になる作風を貫くこと。だから、これで良い。そいて、マツが直子をちゃぶ台に呼び寄せると言う、さり気ない動作も良かった。これが、ホームドラマと言うものだ。

秘密兵器の回想シーンは、こうやって使う…のお手本的演出

そして、ちや子が今は婦人雑誌の雑誌記者に転職したくだりで、琵琶湖の話になり、ここで喜美子たちが信楽にやって来る途中で琵琶湖に立ち寄った回想シーンが入る。この回想シーンを印象付けるために、ここまで回想を使わずに意図的に編集したのも分かった。

そう、回想シーンとは “やたらと使うものでは無い” のだ。最近は多用する演出家が多いが、基本的に回想シーンは脚本家と演出家の最終手段なのだ。これを知らないプロが多い。本来は、回想は絶対に回想シーンでなければ描かない時に使う秘密兵器のようなもの。本来は “ここぞ!” と言う場面でしか使うべきでない。

使わなくても、きちんと視聴者に伝えるように、丁寧に且つ常に “連続性” を保って書くべきなのだ。今回は、脚本も演出も、それが出来ている…と言う訳だ。

ちや子の熱弁シーンで会話と動作と劇伴が絶妙にシンクロ!

で、ちや子が男性社会の出版業界の仕事に就いた話を熱弁するシーンで、喜美子の心を揺さぶる台詞があった。

ちや子「グッとこらえて 頭下げて
    『どうしてもやりたい。やってみたい やらして下さい!』
    言うて 必死に思いを伝えて 一生懸命 掛け合うて…
    ほんで ようやっと 任してもらえることになったんよ」

「物事に感動したり共鳴しやすい心情」を「琴の糸(=琴線)が触れて鳴るさま」に喩える表現に「琴線に触れる」と言うのがあるが、文字通り、このちや子の台詞の途中で、ハープ(竪琴)の音色の劇伴が静かに入って来る。

ハープはちや子の行動力に共鳴した喜美子、ヴァイオリンの音色は波乱万丈の人生を振り返る “余裕” が出来たちや子の心情を奏でているように感じた。そして、喜美子には “余裕” がない。だから、夢を、やりたいことを諦めるしかない。

そして、喜美子とちや子の分かれのシーンでの二人のやり取りを見て、自分の境遇に涙が溢れる喜美子の背中を、大久保のお茶がポンと押したように見えたのは私だけだろうか…

姉妹の距離がちょっとだけ縮まったような、いい雰囲気…

場面は夕食時の川原家に、わがまま言い放題の父・常治(北村一輝)。自主的に風呂を沸かしに行った直子に、風呂を早く沸かす方法を教える喜美子。常治に日本酒と偽って、一升瓶に水を入れて騙そうとする姉妹の笑顔。

号泣した姉を見た妹、いつもと違う妹を見た姉、この姉妹の距離がちょっとだけ縮まったような、いい雰囲気。こう言うのが前回も欲しかったのだ。やり過ぎない演出を…

あとがき

ラストシーンの喜美子と照子(大島優子)の幼馴染同士の緩くて明るいやり取りと、「喜美子は 絵付けへの未練を捨て去ろうとしていました」の辛いナレーションの対比も良かったです。演出が、前回と同一人物とは思えない程の仕上がりだったと思います。

最近の朝ドラの傾向である「中弛みの水曜日」に、先週同様になりませんでしたね。それだけでお見事です。きちんと週の後半に前半のエピソードを繋げてくれました。どうか、この調子で週末まで!

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【これまでの感想】

第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38

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