スカーレット (第36回・2019/11/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第6週『自分で決めた道』の
『第36回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
会社で見た火鉢の絵付け作業が忘れられない喜美子(戸田恵梨香)。社長令嬢の照子(大島優子)に頼み込み、立ち入り禁止の作業場に入らせてもらう。居合わせた幼なじみの信作(林遣都)と共に、絵付けの原画を眺めていると、職人たちが戻ってくる。喜美子は怒られるのを覚悟するが、職人たちは会社とケンカ別れして出て行ってしまう。帰り道、喜美子は悩んだ末、引き返す。翌日、会社には新たな絵付け職人(イッセー尾形)の姿が。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンで使用されたカットの "色彩感覚" が好き!
前回のアバンタイトルに違和感を覚えたから、「今回のアバンは頑張れ!」との期待を込めて見始めたら…
使用されたカットは、前回のラストシーン(昼間に見た絵付け作業への胸の昂りからだろう、なかなか寝付けない喜美子)でなく、その直前の丸熊陶業の 「絵付係」の作業場に入り、絵付けの美しさに目を奪われ驚いた喜美子(戸田恵梨香)の連続したカット群だった。
実は、あのカット、私がとても好きなカットだったのだ。何が良いって、画面内の色彩感覚が。
画面の随所に、例えば「緋色=深紅色=スカーレット色」と「白」と「緑」と「青」の4つの色を基準に、それらに “近い系” の色を、絵付け作業は当然のこと、喜美子や絵付け職人の衣装や、背景の木々や窯の火のための薪の色など、緻密に計算されており、連続したカットに色彩的な統一感を持たせることで、その部屋にいる人たちの一体感みたいなものを狙ったのでは? と思うから。
まあ、私の考え過ぎの可能性が大きいが…
前回が嘘のような、アバンから本編への流れの正しさ
そして、主題歌明けは、前述の “昼間に見た絵付け作業への胸の昂りからだろう、なかなか寝付けない喜美子” の続き。そう、これが正しいの。アバンは飽くまでも前回の印象的なカットやシーンを使って、本編で話を進める。分かっているなら、何故やらぬ? と演出家を責めるのは、この位にしよう。
喜美子が直子をなだめて三姉妹川の字で寝る場面の尺の良さ
そのまま、なかなか寝付けない喜美子のアップに、翌朝の風景カットを直結して、話を進めるのかと思いきや…
3歳の時の空襲の、今で言う「PTSD」症状(3歳の負の記憶が15歳の反抗期に影響していると言うのは、ちょっと無理があるような気もしないが)に苦しむ妹の直子(桜庭ななみ)の話から、三人姉妹で手を繋いで川の字で寝ながら、喜美子が2人の妹をなだめて寝かしつけるお話へ。
そして、2人の妹が寝ても、喜美子は絵付けが気になって眠れない。3分弱も要して描くべきか? も解釈が微妙だが、この先があっさりと進まないなら、この位がちょうど良いと思う。
冬の夕方4時なのに、照子が帰宅する時のお天道様は真上!?
シーンは変わって、翌朝の丸熊陶業かと思いきや、社長令嬢の照子(大島優子)が丸熊陶業に入って行くシーンだ。そして、退勤しようとしていた喜美子に走って会いに来た…と言うシーンだった。でも、照子が走るシーンの照子の影は、ほぼ真上からの日差しによるものだから、ちょっと時間がチグハグ。
まあ、屋外ロケとスタジオセットの時間表現を合わせるのは大変な作業なのは間違いないが、ちょっと惜しかったかな…と思う。だって、冬の夕方4時と言ったら、“それなりの夕景” になってないと…。恐らく屋外ロケを先に撮影したから、スタジオ撮影分の照明をロケの明るさに合わせたのだろう。う~ん、やっぱり惜しい…
照子と信作の一見無駄なやり取りが喜美子の本音を引き出す
ただ、このシーンに、次の喜美子と照子のこのやり取り↓があったのは良かった。
照 子「仕事は楽な方がええやろ!?」
喜美子「仕事は大変な方がおもろいで?」
そして、一見ただの無駄エピソードの、幼なじみの信作(林遣都)と照子のやり取りだが、この喜美子の台詞↓を際立たせるためには大いに役立っていた。
喜美子「もう ええねん。絵付けのこと知りたいねん!」
そう、話を進めるべきなのだ。もう、8分過ぎなっているのだから。
なぜ剛造らが喧嘩別れで出て行ってから…の展開にしたの?
照子のお陰で、絵付けの作業場に喜美子と信作が入れることになる。で、喜美子が絵付けの原画を眺めていると、 城崎剛造(渋谷天外)ら職人たちが戻って来て、当然「立ち入り禁止」を叱られるのを覚悟するものの、剛造たちは喜美子たちを無視して、丸熊陶業とケンカ別れして出て行ってしまう。
でもって、喜美子は怒られるのを覚悟するが、職人たちは会社とケンカ別れして出て行ってしまう。そして、喜美子が「絵付けをやりたい」と照子に申し出る。
う~ん、なぜこんな強引な展開にしたのだろう? これでは、喜美子が “目の上のたんこぶ” 的な剛造たちが居なくなったから、本音を言い出したように見えちゃう。
ここは、普通に「立ち入り禁止」を剛造にこっ酷く叱られて、それで一度は退室するものの、原画の美しさを忘れられなくて、剛造に「絵付けをやらせて下さい」と直訴、直談判すべきだったのでは?
「喜美子の人生の転機」が信楽で突然や偶然ばかりなのが…
確かに、朝ドラは話数が決まっているし、厳密ではないものの “1週間縛り” もあるし、次々と新キャラを登場させなければならない “大人の事情” もあるとは思う。あるとは思うが… やはり、この展開を見ても、本作は「喜美子の人生の転機」の描写が “急ぎ過ぎ” であり、“雑に見えがち” と言う印象が拭えない。
「人生の転機」と言うものは、突然やって来ることもあるだろう。しかし、現実は “人生振り返ってみれば、あれが人生の転機だったかも?” と言う感じではないだろうか。しかし、本作は違う。
喜美子が “信楽” で内定を取り消されたのも、“信楽” の実家に空き巣が入った時も、“信楽” の実家で問題が発生した大阪を出て行く羽目になったのも、そしてこの度の “信楽” で職人が辞めたのをきっかけに絵付けに進むのも、ほぼ全ての舞台が “信楽” で、全ての理由が “突然” や “偶然” なのだ。
高水準の仕上がりだから、もっと良くなれと期待が高まる!!
“荒木荘” が舞台の時は、しっかりと “準備” や “過程” が描かれて “先” に進んでいただけに、少々 “粗く” 見えてしまった。いや、ドラマチックな展開だし、楽しいドラマには急転直下的な展開は欠かせない。だから、決して間違ってはいないし、前作と比べるまでもない位に高水準の仕上がりなのは、大いに認める。
認めるから、もっと良くなるように期待が高まるのだ。頑張れ、脚本家と演出家! 主演の戸田恵梨香さんが、普段着の喜美子を、ここまで自然体で巧みに演じているのだから!
あとがき
やはり、この位に “先” が楽しみな朝ドラで、且つ不快な部分も殆ど無い朝ドラには、自然と期待が高まりますよ。今回だって、序盤の約3分間の三姉妹の川の字の描写だって、全体を通せば、良い意味で喜美子が絵付けに進む展開が “あっさり気味” だったから、結果オーライになりましたし。
うん、やはり、良い時と、そうで無い時の落差が大きいのですよ。だから、気になる時が目立ってしまう。でも。まだ始まって6週目が終わったところ。これから先、修正もテコ入れも可能ですから、このまま楽しみながら期待を込めた感想を書き続けようと思います。
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