シャーロック アントールドストーリーズ (第4話・2019/10/28) 感想

フジテレビ系・月9『シャーロック アントールドストーリーズ』(公式)
第4話『ボクシング世界王者の失踪・・・空白の1分に何が?』の感想。
なお、原作の小説、アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」シリーズ」は既読だが、全作品ではない。
ボクシングのライト級世界王者・梶山が試合直前に姿を消し、1時間ほど前に起きた殺人事件の現場で目撃されたことが判明する。獅子雄(ディーン・フジオカ)と若宮(岩田剛典)は、その殺人事件の被害者の村川がかつて公園の遊具のロープを切る事件を起こし、重傷者を出していたと知る。一方、梶山の控え室にあった女性物の傘に注目した獅子雄は、ジム会長・石橋に質問する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」シリーズ」
脚本:井上由美子(過去作/緊急取調室1,2,3)
演出:西谷弘(過去作/モンテ・クリスト伯、刑事ゆがみ) 第1話
野田悠介(過去作/コード・ブルー・シリーズ、ラジエーションハウス) 第2,4話
永山耕三(過去作/モンテ・クリスト伯、人は見た目が100パーセント) 第3話
平野眞(過去作/モンテ・クリスト伯、昼顔、ガリレオ、刑事ゆがみ)
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。リーガルV、東京タラレバ娘、刑事ゆがみ、偽装不倫)
主題歌:DEAN FUJIOKA『Shelly』(A-Sketch)
第2話の演出家の起用で "正常進化中" "完成度上昇中" だ!
最初に、第4話の感想を端的に言えば「正常進化中」であり、「完成度上昇中」だろう。前回の感想では、フジテレビとしては(内容的な完成度は別にして)最近、『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』、『監察医 朝顔』と 2作品連続で視聴率的に成功している『月9』の本作も失敗する訳にはいかないはず。
だから、最初の 3話位は 1~2人の演出家で回すと思いきや、第3話で 3人目の演出家・野田悠介氏を投入すると言う挑戦に出た。そして、その演出は内容的にも、視聴率的にも第2話で第1話から若干下がった視聴率を見事に回復させ成功させた。
本作には、4人の演出家が担当すると事前発表されているが、この第4話は、若宮(岩田剛典)を獅子雄(ディーン・フジオカ)の助手として上手に描いた第2話担当の演出家に戻した。この辺の演出家起用の上手さも本作の褒めるべき点だと思う。
若宮が獅子雄の"助手""相棒"との役割がより明瞭に描かれた
さて、第4話の感想に入ろう。まず、私の目を惹いたのは、若宮を獅子雄の助手として上手に描いた野田悠介氏の演出が第2話よりのように機能して、第3話よりも若宮が獅子雄の “助手” であり “相棒” と言う役割が、より明瞭に描かれたこと。もっと正しく例えれば “ひょうきんな進行役” だ。
「天才で危険な男」である獅子雄と、しっかり対比した関係性を描くことで、ドラマにメリハリ、緩急が生まれる。もちろん、若宮は緩急の “緩” をドラマに添える役。
そこが強調された上に、飽くまでもドラマのメインは 犯罪コンサルタントで事件解決のプロの獅子雄で、事件解決に関しては素人の精神科医の若宮が獅子雄のやらないことをやって補完、補強する関係であることも、より明確になった。
恐らく、今回の獅子雄と若宮の関係性が最もバランスが良かったと思う。これが前述の「正常進化中」であり、「完成度上昇中」の理由の一つだ。
江藤刑事とクミコの獅子雄との役割が、より最適化された
この獅子雄の相手役を “ひょうきんな進行役” に描くと言う点に於いては、警視庁刑事部捜査一課係長の警部・江藤刑事(佐々木蔵之介)にも同じ脚本上の役割と演出が施された。
江藤刑事も刑事としては “ お調子者であっけらかんとしたキャラ ” を魅せながらも、獅子雄とのシーンでは若宮と共にハッキリと “獅子雄の引き立て役” に徹して描かれた。更に今回は、出番こそ少ないが、江藤の部下の小暮クミコ(山田真歩)が江藤の優秀さを認めながらも、迷走する江藤を冷静沈着に支え、事件を解決の方向に進める点が強調された。
やはり、クミコも江藤の “相棒” であり “引き立て役” として明確に描かれた。これで、若宮と江藤、クミコが完全に主人公の獅子雄の見事なバイプレーヤーになって来たことで、普通の人間と特別な人間の差別化が出来た…と言うことだ。
ゲストのキャスティングも秀逸で全俳優のバランスが良い
このことは。ゲストのキャスティングも当て嵌まっていて、第1話では女優の松本まりかさんの “怪演” が、第2話では 菅野美穂さんの “好演” が、かなり目立っていたが、第3話も第4話も、程良きさじ加減の俳優陣の起用で(決して、第3,4話のゲスト俳優が見劣りする意味でない)、全俳優陣のバランスが良くなったのは間違いないと思う。
ディーンさんの本作に適応した軌道修正力もお見事
更に、俳優陣のことを書くとすれば、今期の連ドラ『グランメゾン東京』の主演の木村拓哉さんが、いつでも「ザ・キムタク・ドラマ」と言われるのを一回りして、「新生キムタク」となり、程良いさじ加減で “キムタクらしさ” を温存しつつ癖を薄めるのに成功したように…
今作のディーン・フジオカさんも「高飛車なディーン様」を適度なバランスで薄めつつ、“無国籍的な雰囲気” と “凡人とは違う雰囲気” を活かして、和製シャーロック。ホームズになっている。このディーンさんの本作に適応した軌道修正力も見事としか言いようがない。
脚本と演出と俳優陣の"完成度を高める努力"が成功している
そして、ドラマとしては、事件と犯人ありきで単純に捜査の過程を描くのでなく、キャラクターの魅力と言動で、捜査の過程を分かり易く描いて、ストンと落ちる事件解決に持ち込んだ。やはりこれは、脚本家と演出家と俳優陣が、三つ巴になって本作の完成度を高めようとしているのが成功しているからだと思う。
本家のアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズシリーズ』ファンとしては、若干ベタで物足りなさもあるが、現代の日本を舞台にした点も、好みが分かれそうな部分を薄めている点を考慮すると、今回くらいが丁度良いかも知れない…
あとがき
良い意味で原作の『シャーロック・ホームズシリーズ』の基本設定だけを借用した、オリジナルの探偵ドラマに仕上がって来ていますね。獅子雄のヴァイオリンを弾くシーンや、今回で言うなら後楽園ホールのボクシングのリング上での獅子雄とジム会長の石橋卓也(金子ノブアキ)のボクシングシーンの見せ場の作り方も絶妙。
この調子で「正常進化中」と「完成度上昇中」を続けて欲しいです。
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