スカーレット (第25回・2019/10/28) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第5週『ときめきは甘く苦く』の
『第25回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
医学生の圭介(溝端淳平)の恋を応援することになった喜美子(戸田恵梨香)。どうすればいいか悩んでいると偶然、圭介の意中の相手の名前が「あき子」だと知る。圭介に伝えると、更なる後押しを期待される。後日、住人の雄太郎(木本武宏)からあき子の父が喫茶店にいる知らせを受け、喜美子はじか談判に向かう。事情を話すと相手されずに一蹴されるが、喜美子は雄太郎からアドバイスをもらって実行。すると荒木荘に訪ねてきたのは
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンから演出は先週と同じで安定、脚本家も抜かり無し!
第5週の演出担当も第4週と同じ佐藤譲氏だから、アバンタイトルから安定している。もちろん脚本も抜かりはない。
アバンのファーストカットに主人公のアップを使って、ヒロインを強調し、「荒木荘に来て 3度目の秋を迎えました」のナレーションが被さる映像は、今度は喜美子(戸田恵梨香)のフルショットで全身と部屋と部屋の外を見せて、衣装と窓の外から緑を排除して、色合い的にも秋らしい季節感を演出。
ほんの数秒後には緑の木々も映るし、赤や黄色と言った派手目な色が画面に入り込んで来るから、このアバンの2カットが秋と言う季節感の印象付けに効果をもたらす。今週の良い感じのスタートだ。
朝ドラは、不快感が無く、"先"が見たくなる…だけで良い
で、アバンでは、最初に時間経過と季節感、続いて荒木荘の住人の近況報告、そして最後は本作で最も重要なヒロイン・喜美子の人柄と人間関係の広がりと深まりを、「実のところ 恋のあれこれは 全く疎く」と「色気より食い気」のナレーションと、町内の人たちの一人の女性の「今度は 山菜採りに行こうな?」の台詞と、喜美子の笑顔でサクッと描いた。
そして町内のご婦人たちと別れた瞬間に笑顔が消えて、犬のゴンが登場して、今週の展開が見えて来る…と言う仕掛け。1分50秒程のアバンだが、現状説明と今週のお話がどんな雰囲気なのかやんわりと描いた。そう、いつも言うように話が大きく進む必要なんて無い。必要なのは不快感が無く、“先” が見たくなる…それだけなのだ。
日陰の喜美子と日当たりのあき子と庄一郎のコントラストが印象的
主題歌明けも、面白い表現だ。思い立ったら即実行の喜美子が描かれたのかと思わせておいて、バラを持つ医学生の圭介(溝端淳平)の意外なカットに、ゴンを連れて帰るのが予想していた圭介の片思いの相手の女性(佐津川愛美)かと思いきや、強面で大柄の男・ 泉田庄一郎(芦屋雁三郎)で、それがお目当ての女性の父親であるってオチ。
不安げで何処か腑に落ちない喜美子が立っているのが日蔭で、あき子と庄一郎の二人には日が当たっていると言うコントラストのある照明と、ちょっと怪しげな劇伴がピッタリだし、劇伴が止まるタイミングと、二呼吸だけ間を空けてからの喜美子のビックリした表情も印象的だった。
「あき子」だけで雄太郎らが3分も引っ張ったのは楽しかった
それにしても、朝ドラあるあるの「ヒロインの立ち聞き」で、たまたま喜美子が知り得た「あき子」の名前だけで、住人の雄太郎(木本武宏)と圭介で3分近くも引っ張れるとは驚きだ。
そして、喜美子の恋の後押しに大きな期待をしていた圭介が、雄太郎の「あき子攻め」のお陰で、恋より勉強へ方向転換したのが、実に楽しい。まあ、朝ドラに限らず、言われれば言われるほど逆のベクトルを喋っちゃうって、良くあること。それを、朝ドラの中にさり気なく入れて、やり過ぎないのが本作らしい。
「効果てきめんの5文字!」から「いがくせい」へのテンポの良さ
そして 9分頃には、昨晩に雄太郎と さだ(羽野晶紀)から「恋より勉強」が本心でないことを知った喜美子が、歌声喫茶「さえずり」のテーブルを挟んで、あき子の父・庄一郎へ直談判。そして、ここでも巧みに雄太郎が絡む。
もう少し木本武宏さんらしさを活かして、コミカルに仕上げても良さそうな場面だが、ここは「しかるべき人」と言う喜美子に与えられた新たな使命と、また悩む喜美子を強調すべきシーンだから、「効果てきめんの5文字!」の台詞、これ位のさじ加減が良かったと思う。
だって、早く「5文字」を知りたいもん… そして、「効果てきめんの5文字!」も全く引っ張らずに、即「いがくせい」と分かる展開。このテンポの良さがいいのだ。
「粘土と おはぎ」の関連性の魅せ方の塩梅も良いと思う
で、心ここに非ず的な圭介を、ただボーっと歩いているだけの映像でなく、荷車を除け損ねて真後ろを歩く男性の足を踏んで(踵で蹴ったのかな?)しまうと言う丁寧な描写で見せた。こんなところに演出家の気持ちが見える。
また、次の荒木荘のシーンでは、秋らしく “おはぎ” を作る喜美子が描かれたが、その喜美子の丁寧に優しく もち米を餡でくるむ手が、メインタイトル映像のろくろの粘土とオーバーラップして来た。
決して、“先” や “未来” に繋げるように描くのでなく、気が付く、ちょっと気になる人もいる程度の「粘土と おはぎ」の関連性の魅せ方の塩梅も良いと思う。
あとがき
月曜日で、あさ子が荒木荘にやって来ちゃいました。展開が速いですね。でも、この圭介と あさ子の恋バナは今のところ、主人公に直接的に関係のないエピソードですから、この位の速さが丁度良いと思いました。
もちろん、これが喜美子の恋心のお話に展開して行けば、じっくり描く必要はあるでしょうし、本作は強引な「エピソードの一週間縛り」がないのに、何となく「観易い一週間区切り」になっているので、週の中盤からが見所になるかも知れませんね。
それと、この感想の投稿時点で、土曜日の感想へ 112回もの Web拍手を頂き、ありがとうございます。どうやら、世間では本作の評価が分かれているようですね。今のところ、私は本作を応援して行きます…
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