スカーレット (第19回・2019/10/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第4週『一人前になるまでは』の
『第19回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
喜美子(戸田恵梨香)は新聞記者のちや子(水野美紀)の職場で女中としての細やかな働きぶりが認められ、引き抜きのオファーを受ける。5倍の給料を払うという破格の条件に喜美子は即決。しかし女中の先輩・大久保(三林京子)に言い出せず、悩む喜美子。住人たちに相談すると、意見が対立し、見かねた雄太郎(木本武宏)の提案で、喜美子は大久保に黙って、ちや子の職場で試し働きすることに。ところが訪れた職場では怒号が響き…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
まえがき
まず、この感想を投稿した時点で「Web拍手」が、なんと「100回」を超えたのに驚きました。拍手やコメントを下さった皆さん、ありがとうございます。では、今回もウケ狙いは一切せずに率直な感想を書きます。
アバンのまとめ方が良い上に、新展開まで盛り込んだ秀逸さ
はあ、月曜の朝から感心してしまった。何に感心したのかと言うと、アバンタイトルの先週分のまとめ方の秀逸さ。
前回のラストでは、喜美子(戸田恵梨香)が新聞記者のちや子(水野美紀)の下着ショーの楽屋での女中としての気遣いが認められ、5倍の給料で引き抜きのオファーあったことを、歌声喫茶「さえずり」へ飛び込むように入って来て伝える。その際に、「荒木荘」の謎の男・雄太郎(木本武宏)が歌う「♪終列車ぁ~」で終わった。
しかし、今回のアバンは先週 1週間の面白いところだけをダイジェスト版の如く編集した上に、前述の最後の “歌” と台詞の音量を調節して ちや子の台詞を聞きやすくした上に、喜美子に「決めました。引き抜かれても良いです」と即決のくだりまでくっつけた。これで約 1分50秒。
普通なら長過ぎるアバンだが、まとめ方が良い上に期待通りの新展開までくっつけたのはお見事。それにしても、即決するのが喜美子らしくて良かった。これで、前回の感想のあとがきに書いた通り、“先” が見えて来ないのは少しジレンマを感じますが、喜美子の行動が喜美子自身の人生を切り開いていく朝ドラであることが見えて来たので満足だ。
あちこちに "中卒の15歳" を言わずとも自然と見える工夫が
主題歌明けは、即決した喜美子に落ち着くように言うちや子。その会話の中で、私は前述の通り「下着ショーの楽屋での女中としての気遣いが認められ…」と思ったのだが、実は楽屋以外の新聞社内のあちこちを女中としての細やかな働きっぷりが認められたことが描かれた。こう言うのも好き。
ナレーション処理すれば、アバンで済ませられるのに、手抜きをせずに、まず ちさ子が口火を切って会話が始まり、それに合わせて回想シーンで、しっかりと働く喜美子を視聴者に見せる。決して “魅せる” わけではなくて、あくまでも “見せて” 納得させる。ここが大事。
「腕が!? 買われた!?」と素直に驚く喜美子も、ちさ子に頭をポンポンと叩かれて嬉しそうな喜美子も 15歳の乙女らしくて いい感じ。もう、「中卒の15歳」と言う表現は出て来なくなったが、既にこのような的確な描写で必要が無くなっているのも驚くべきこと。やはり、脚本と演出と俳優の三位一体が成功しているお陰だと思う。
益々喜美子を応援したくなる、ちさ子とのやり取りがこれ↓
そして、「荒木荘」から「新聞社」の女中として働くことを即決した喜美子に、ちさ子があれこれと質問攻めにする。その中で良いやり取りがあった。
荒木荘を辞めるのだから、荒木荘とは別の住居を探さないといけない…と喜美子に言うと、喜美子は荒木荘の仕事を探して来てくれた父・常治(北村一輝)への恩を感じたのだろう、「お父ちゃん! 信楽の父に聞いてみな!」と口を押えて、自分が父親の存在を無視して即決したのを悔やんだような表情をする。そこで、ちさ子が喜美子にキッチリとこう↓言う。
ちさ子「それはええねん。
まずは喜美ちゃんが どうしたいかや」
喜美子「ええんですかね?」
ちさ子「自分の人生やで? 自分で考え。
お父ちゃんには自分の考え決めてから ええんとちゃう?
喜美子「(小さく頷く…)」
ちさ子「親元離れて 1人でやっていくって そういうことやで」
喜美子「はい」
長尺のアバンで既に、喜美子の行動が喜美子自身の人生を切り開いていく朝ドラであることが見えて来たのに、中盤のこのやり取りで更に強調して来た。更に、敢えて台詞の引用は省略するが、このあとも、次々と自分の “希望” や “意思” を ちさ子に言っていく喜美子。
それが、これまた次々と “当然の如く” ちさ子に受け入れられ、メモ書きされていく。それを見て、まだまだ “小さな夢や希望” ではあるが、それらの 1つ1つが現実になりそう、叶いそうな雰囲気に喜びが隠せない喜美子。こう言う喜美子を見ると、益々喜美子を応援したくなる。
大久保のおにぎりセットに言い出せなくなる喜美子がかわいい
8分過ぎ、ウキウキ気分で荒木荘に帰って来た喜美子を、まるで「待ってました!」とばかりにいつもの内職で迎え撃つ女中の先輩・大久保(三林京子)。この辺のメリハリの付け方も いい感じだ。
いつもなら、怒り爆発の喜美子なのに、今や大久保と別れることが分かっているから “余裕のよっちゃん(昭和かっ!)” の喜美子が実にカワイイ。で、今度は目の上たんこぶのように思っていた大久保の “海苔が巻いてある俵おにぎり と たくあん と 昆布の佃煮?” に込められた優しさに気付くのも、いいなあ…
このタイミングで女性から男性の演出家の交代は正しいと思う…
俵おにぎりセットのアップに、路地猫のカット、そして夜…。この辺の編集や演技指導を含めた演出が、先週までのややドタバタとした雰囲気が封印されて、落ち着いた雰囲気に若干変わっている。
それもそのはずだ。脚本と演出と俳優の三位一体が成功していると言ったものの、実は演出家が、第1~3週を担当した中島由貴氏(過去作ウェルかめ、逃げる女、アシガール)から、佐藤譲氏(過去作/てるてる家族、マチ工場のオンナ)に交代しているのだ。
これは性差別をしていると捉えて欲しくないのだが、第3週までは女性の演出家だから、敢えて女性目線だから見える “喜美子の女性らしさ” を封印して、元気で活発な女の子に仕立てようとしたのに対して、第4週の演出家は男性だから、男性目線だから見えて来る “喜美子の女性らしさ” を少しだけ引き出しているのではないかと…
勝手に推測してしまった。だって、予告編によれば、第4週は恋バナも割り入って来る可能性もある訳だから、このタイミングでの演出家の交代は正しいような気がした。
雄太郎の発案と言う "ワンクッション" が人間関係をより深く描く
さて、10分過ぎには、夜、荒木荘を辞めて新聞社の女中で働きたいと言うのを大久保に言い出せず悩む喜美子が、住人たちに相談する場面へ。住人たちも “お金” や “条件” で意見が対立する。そして翌朝。なんと、雄太郎の発案で、大久保に内緒で喜美子が新聞社で試し働きをすることになった。
この辺も物語を “先” に進めるなら、喜美子が さだ(羽野晶紀)に退職願を提出して辞めれば良いのに、敢えてワンクッションを入れて来た。これによって、前回では ちさ子が喜美子に靴を貸すことで、今回では、大久保の俵おにぎりと、雄太郎が提案することで、喜美子を支えてくれる人間関係の広がりと深まりを描いた。こう言うのが良いと思う。
終盤でちさ子の人物像を掘り下げ始めたから次回が楽しみだ
そして 13分過ぎ、喜美子がついに新聞社で試し働きを始める。そこで、ちや子の 先輩の平田(辻本茂雄)に喜美子が褒められて「つづく」となると思いきや、新聞社での ちさ子の仕事っぷりを描いて、今度は ちさ子の人物像を掘り下げ始めた。一体、物語はどこへどのように進むのだろう。楽しみでしょうがない!
あとがき
怒号が飛び交う男ばかりの職場で、男たちに、他社に負けじと勇ましく女性記者として働く記者ちさ子を見て、喜美子も女性としての将来を見つめ直そうとするのでしょうか?
それが今週のサブタイトル『一人前になるまでは』に繋がるなら、これまでの喜美子の人生の選択を見ていると、「父から貰った仕事」である「荒木家の女中見習い」を途中で投げ出すはずはないですね。きっと、「一人前の “女中” になるまでは辞めない」って決めるような気がします。そう言う筋を通すのが喜美子だと思うので。
ついつい、喜美子の身になって考えてしまいますね。これはドラマとして、視聴者としても良いことだと思います。
なお、明日(10/22)は、午前8時から「即位の礼」の放送の為、NHK総合テレビでの放送は、朝7:45からの放送になるそうです。
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