なつぞら (第94回・2019/7/18) 感想

連続テレビ小説「なつぞら」

NHK総合・連続テレビ小説『なつぞら』公式サイト
第16週『なつよ、恋の季節が来た』の 『第94回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


東洋動画では、なつ(広瀬すず)や麻子(貫地谷しほり)たちが原画を描いている。そこへ演出を担当する坂場(中川大志)が現れ、描き直しの指示をする。周囲は原画を描いた経験のない坂場の進め方に疑問を持つが、理屈を並べる坂場に、反論できずにいた。そんな中、なつは背景画を担当する陽平(犬飼貴丈)の所へいき、愚痴をこぼす。すると陽平は、なつの知らない坂場と天陽(吉沢亮)の意外な繋がりについて語り始めて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

木曜日になって、やっと「仕事をするなつ」が始まった!

さ~ぁてと。どうやら、アバンタイトルの1カット目の、久し振りになつが鉛筆で絵を描くと言う仕事をするカットに、ナレーションが…

N「なつたちの短編映画『ヘンゼルとグレーテル』の作画作業は
  大詰めを迎えていました」

…と、言ったから、大詰めなのだ。何せ、「短編映画作り」については、演出を担当する坂場(中川大志)が小難しい「映画論(演出論とは違う」と言うか、「今後のアニメーションはこうあるべき論」になつ(広瀬すず)や麻子(貫地谷しほり)たちが翻弄されている印象しかない。

その上、日曜日の設定だった前回も主人公は全く仕事をしなかったから、まず、やっと木曜日になって「仕事をするなつ」が始まったのは良いと思う。まっ、逆に月~水曜日は主人公にとって無駄話だったことが明らかになった訳だが…

アバンでの、麻子と坂場のやり取りは良かった

そして、アバンの 3カット目では、坂場が作画課に現れて、演出に悩む図。そして、麻子が反論する図。しかし、ここでの麻子と坂場のやり取りは良かった。

坂場「書き直してみて下さい」
麻子「そんな思い付きで言われたって困るのよ!」
坂場「思いつきではありません」
麻子「人の描いたものを見てから いつも 何か言うじゃないの!」
坂場「それは 何がダメかを思いついているだけです」

そう。久し振りに褒めよう。その理由は。まず、坂場には「絵は描けないが、アニメーションの知識は豊富」と言う基本設定がある。従って、坂場ほどのアニメーションへの強烈はイメージや概念や思想まで持ち合わせている演出家は、自分の思い通りに作品を仕上げたいと絶対に考えると思う。

絵が描けない坂場流演出術が、マシに分かり易く描かれた

しかし、坂場は「絵は描けない」のだ。坂場自身が「絵を描ける」設定なら、きっと自分で絵を描いて完成させるだろう。この類のアニメーション作家は多い。特に、最近はテクノロージーの進化で全部一人で出来てしまう。

でも、昭和30年代初頭に例え短編映画とは言え、劇場用の作品を一人で仕上げるのは無理。だから、絵を描けない坂場だから、人の描いた絵を見て、自分のイメージとの「差」や「違和感」を、絵を描ける人に伝えているのだ。

これ、久し振りにと言うか、恐らく初めて坂場の「(こっちは)演出論」が、(今までの分かり難さに比べて)かなりマシに描かれたと思う。

絵が描けない坂場流演出術を撮影出来ない演出家に例えると

読者さんから「坂場の言っていることが分からない」と度々コメントを頂くから、今回はマシなシーンだったので、このシーンを私なり解説してみようと思う。

私は演出家と「家」が付くほど偉くない、ただの映像ディレクターだ。しかし、お金を頂くほどの撮影技術がない。だから、映像製作の際の撮影は、プロのカメラマンに依頼する。そして、依頼する際に私の脳内にある抽象的なイメージを、「絵コンテ」と言う「絵」に具体化してカメラマンに提示する。

そして、実際の撮影現場に入る訳だが、撮影の際には「テスト」がある。そのテスト撮影の際に「絵コンテ」を基に、カメラマンからは「こう撮りますか?」があって、私は「いや、こんな風に撮って欲しい」の繰り返しをやる。この時の私の「こんな風に撮って」と思い付く発想が、正に今回の坂場が言った「何がダメかを思いついている」ってことだと思う。

絵が描けない坂場流演出術を、私のブログ投稿に例えると

もう一つ、例えてみる。もしかしたら、こっちの方が分かり易いかも(苦笑)。今、私は、『なつぞら』を見ながら、感想の下書きをしている。普通に見ている中で、「ん?」と違和感を覚えた場面を巻き戻してもう一度見る。そして、それを繰り返して「何がダメかが分かる」のだ。そして、私の求めている『なつぞら』との「差」や「違和感」を投稿している。

そう、自分で作った作品でないから、一度見るだけで分かるのだ。ダメな部分も良い部分も。これは全てのドラマに言える。だから、たまに「ダメ出しばかりするなら、見なきゃ良いのに」なんてコメントを頂くが、他人が作ったドラマを “取り敢えず一度見る” ことで、ドラマの良し悪しが分かるのだ。

従って駄作や愚作も観るから、良作や秀作が分かるとも言える。大きく話が脱線してしまったが、話を戻すと、今回の坂場と麻子のやり取りはマシだった。これまでも、この位に具体的な台詞のやり取りで描かれたら良かったと思う。

なつだけが坂場の演出術に共感するように描かれたのが残念

主題歌明けは、坂場の「人の描いたものを見てから、何がダメかを思いつく」と言う演出のやり方に閉口する麻子や下山(川島明)や茜(渡辺麻友)に混じって、なぜか、なつだけは坂場の演出のやり方に共感する部分があるように描かれた。これが残念だった。

だって、これまでも何度も書いているように、なつは基本的に演出論についてはおバカさんで、坂場の理論に付いて行くしかないようにしか見えなかったし、更に先日のプロポーズもあったから、今回の坂場の演出技法に対しても、特に何の考えもなく妄信的に賛成しているようにしか見えなかった。

だから、何度も書いて来たのだ。なつに「私に分かるように、もっと簡単に説明してよ!」と坂場と議論を交わせば良かったと。そうすれば、自然となつも “なつなりに” 短編映画に真剣に向き合っているように見えたのだ。

廊下で木の怪物が歩く様をシミュレーションした、なつが良かった

3分過ぎに、坂場がなつの描いた「歩く木の怪物」の原画にダメ出しするシーンも良かった。前述の坂場らしい演出技法と、おバカな原画作家のなつの、布不毛な対決。お蔭で、なつの “おバカ” が際立った。そして、階段落ちに続くようなシーンで、廊下で木の怪物が歩く様をシミュレーションし始めたなつ。

そう、こう言うなつが必要なのだ。おバカだけど負けず嫌いだから、とにかくやってみると言うなつ。完全に放送開始前や幼少期や学生時代の主人公とは “別人” になっていると言う、脚本家の根本的な問題はあるが、もう「新宿編」「アニメーション編」のなつは、そう言う人に描き続けてしまっているから、受け入れるしかない。

机に向かって考えるなつより、馬や木の怪物や老婆や魔女を描くために、それこそ仮装までしてシミュレーションするなつを、月~水曜日まで日替わりで描いても良い位だ。その位やらないと、なつが仕事をしているようには見えないのだから。

背景担当の陽平に、原画担当のなつが相談したのも良かった

5分過ぎには、久し振りに陽平(犬飼貴丈)が登場。なつが、美術課所属の背景美術担当である陽平のもとへ相談にやって来た。ここの陽平となつのやり取りも良かったと思う。

なつ「自分が描かないから 描く人の苦労は考えないんでしょうか」
陽平「そうじゃないと思うよ。
   人に苦労をかけてる分 あれは 相当勉強していると思うよ」
なつ「絵をですか?」
陽平「絵だけじゃないと思うけど」

このやり取りの中でも「絵が描けないから…」と言ったり、陽平が話をした「坂場が天陽の描いた絵に感動した」のを聞いて坂場を見直したりと言う、単純でおバカななつが描かれた。私は、これはこれで良いと思う。

「単純でおバカだけど負けず嫌いで何度もトライするなつ」で良い

前述の通り、これまでの描写とは矛盾だらけだが、東洋動画の連中から異常な程の “なつアゲ” によって創られた「何だか分からないけど、アニメーションの才能があるヒロイン」よりも、「単純でおバカだけど、負けず嫌いで何度もトライしてみるヒロイン」の方が魅力的だし、応援もしたくなる。

そして、成長する可能性も描くことが可能になる。だから私もこれまでのなつを忘れるから、脚本家もこのまま「単純でおバカだけど、負けず嫌いで何度もトライしてみるなつ」でゴールまで完走した方が良いのではないだろうか。

更に言えば、スケジュールの都合などあるとは思うが、あちこちに神出鬼没なのも朝ドラヒロインの特権なのだから、もっと今回のような尊敬する仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)、なつの目標である麻子が「一対一」で、おバカななつを諭すシーンがあったら良かったと思う。

脇役の恋バナをサブタイトルにするのは、視聴者を馬鹿にし過ぎ!

本作には珍しく、7分間も「マシ」なシーンが続いたから、おでん屋「風車」から始まった脇役の恋バナが、如何に無駄話であることが明らかになってしまった。

そして、今回の柴田家のやり取りを見て、更になつと坂場の恋バナが進展していないこと、今週の残りが 2回しか無いことを考えると、今週のサブタイトル『なつよ、恋の季節が来た』は、なつでなく夕見子の恋バナのことを言っただけの可能性が出て来た。

流石に、脇役の恋バナをサブタイトルにするのは、あざといを超えて、視聴者を馬鹿にし過ぎだ。ホント、この脚本家はおかしいと思う。

あとがき

今回の前半は良かった…おっと間違えました。かなりマシでした。そして後半は、夕見子の恋バナが如何に無駄話かが露呈しただけでした。どうして、主人公だけ描かないのでしょう? 今回だけを見れば、主人公のアニメーション作りだけを、出演者総動員で描けば、ギリギリ軌道修正出来そうなのに。

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【これまでの感想】

第1週『なつよ、ここが十勝だ』
1 2 3 4 5 6
第2週『なつよ、夢の扉を開け』
7 8 9 10 11 12
第3週『なつよ、これが青春だ』
13 14 15 16 17 18
第4週『なつよ、女優になれ』
19 20 21 22 23 24
第5週『なつよ、お兄ちゃんはどこに?』
25 26 27 28 29 30
第6週『なつよ、雪原に愛を叫べ』
31 32 33 34 35 36
第7週『なつよ、今が決断のとき』
37 38 39 40 41 42
第8週『なつよ、東京には気をつけろ』
43 44 45 46 47 48
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』
49 49 50 51 52 53 53 54
第10週『なつよ、絵に命を与えよ』
55 56 57 58 59 60
第11週『なつよ、アニメーターは君だ』
61 62 63 64 65 66
第12週『なつよ、千遥のためにつくれ』
67 68 69 70 71 72
第13週『なつよ、“雪月”が大ピンチ』
73 74 75 76 77 78
第14週『なつよ、十勝さ戻って来い』
79 80 81 82 83 84
第15週『なつよ、ワクワクが止まらない』
85 86 87 88 89 90
第16週『なつよ、恋の季節が来た』
91 92 93

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