監察医 朝顔 (第2話/15分拡大版・2019/7/15) 感想

フジテレビ系・月9『監察医 朝顔』(公式)
第2話/15分拡大版『夏に凍死!?謎の身元不明遺体の最期は…』の感想。
なお、原作の漫画、<原作・香川まさひと 絵・木村直巳 監修・佐藤喜宣「監察医 朝顔」(実業之日本社)は未読既読。
医学部生の光子(志田未来)が法医学教室でアルバイトを始める中、身元不明の男性遺体の解剖が行われ、凍死と分かる。男性は夏の日の当たる路地裏で見つかっており、理由が気になる朝顔(上野樹里)は現場を調べる。やがて平(時任三郎)らの捜査で遺体が課長(川瀬陽太)と呼ばれるホームレスだと判明。課長は周囲ともめていた。一方、桑原(風間俊介)は朝顔に求婚するが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:原作・香川まさひと 画・木村直巳 監修・佐藤喜宣「監察医 朝顔」(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ(過去作/相棒シリーズ、フルーツ宅配便) 第1,2話
演出:平野眞(過去作/Chef~三ツ星の給食~、黄昏流星群) 第1,2話
澤田鎌作(過去作/CHANGE、不毛地帯、セシルのもくろみ)
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド)
ビールを注ぐカットでの"回想シーンの入れ方#のセンスがイマイチだった…
16分頃の、現在から回想シーンに映る場面、ああ言うところで演出家のセンスが分かる。それこそ、平(時任三郎)がビールをグラスに注いで、そのビールが増えて行くグラスのアップを亡くなった妻・里子(石田ひかり)が注いでいるグラスに、そう、グラスからグラスにオーバーラップしたら良かったのに。
それを平が注ぎビールが増えて行くグラスに、これからビールを注ぐ里子をオーバーラップするから分かり難くなる。分かるけど、分かり難くなる。ほんのちょっとの違いだが、私は引っ掛かる。
言ってみれば、演出や編集って違和感の感じさせ方が勝負だから、ここは「しっかりと回想になった」と印象付ける違和感を与えるべきだから、自然に変化しないと。回想シーンを入れるのと、タイムスリップするのは違うのだから。
前半 24分間の 1/3しか事件の話が無い…
で、アルバイトの光子(志田未来)と光子によるレギュラー陣の紹介が終わったのが 6分頃、今回の事件の司法解剖と捜査のくだりが中断したのが 15分頃で、その後はプロポーズと夕食のシーンで、主人公の朝顔(上野樹里)が出勤して事件の話が再スタートしたのが24分。
要は、事件の話なんて24分中の8分、そう 1/3しか描いていない。確かに、まだ第2話で登場人物の設定紹介も入れたいだろうが、ドラマのタイトルが『監察医』となっているのに、監察医の主人公が映る場面が少な過ぎると思う。
前半の 25分で 2度も回想シーンを使うのは正直つまらない
そして、やっと朝顔が出勤したら、興雲大学法医学教室の主任教授で法医学の権威・夏目茶子(山口智子)に、止められていた事件現場に行って得た様子を回想シーンを交えながら伝えるシーン。こう言うのもドラマでは良くある手法だが、もうドラマ的に 25分も過ぎているのに、ドラマ上で肝心な場面が 2度も回想シーンだと正直つまらない。
回想シーンは、絶対に回想でなければ描けないシーンだけに使うべき。その意味では、最初の「亡き妻との思い出」は監察医に無関係だが、まだ許容範囲。もう、あとは事件の真相解明以外に回想は使うな…と思いつつ観ていた…
その後は、刑事たちの地道な聞き込みでも判明するような「被害者がフグ料理を食べていた」ことが、法医学教室で判明。こう言うのも、先の朝顔が夏目に情報を伝えるシーンの前に入れれば、法医学室のお手柄に見えるのに、刑事の聞き込みのシーン中に、割り込んで入れるから、法医学教室の能力を疑いたくなってしまう。
最後まで観ても、一体何を描きたいのか分からず終了…
結局、最後まで観ても、「法医学教室に勤める新米法医学者と刑事である父親がバディを組んで、遺体の死因究明に挑むヒューマンドラマ」には見えなかった。
「刑事と協力しながら死因究明の監察医ドラマ」なのか、
「法医学教室と協力しながら事件を解決する刑事ドラマ」なのか、
「父と娘のホームドラマ」なのか、
「東日本大震災に区切りを付けられない人間ドラマ」なのか。
その上、主人公の恋バナも加えた上に、変わり者の教授の本編に無関係な出番や、今どきなのかそうでないのか分かり難い新人バイトまで盛り込んで、一体何を描きたいのだろう?
「朝顔が監察医を目指した理由」が描かれたのは良かったが…
恐らく、そう↑感じてしまうのは、主人公の朝顔に “これと言った特徴が無い” からだ。上野樹里さんが演じているから “何となく個性的な人物” のはずだ…と脳内補強しているだけで、実際は実に “普通” だ。
前回で描かれた「震災でのPTSD」と「母との記憶」と言う部分は、確かに主人公の設定としては大きな特徴だが、それがいつも表面化されて描かれている訳でないから、日常的な朝顔の特徴にはなり難い。もっと、単独行動をして刑事たちをかく乱する位なら特徴と言えるが、そこまででもない。
朝顔が新人監察医で秀でる能力でドラマをけん引しないのなら、やはり前回の感想で書いた通り、直ちに「なぜ朝顔が監察医を目指したのか?」を明瞭に描くべきなのです。そして、今回の終盤で、ついにそれがしっかりと描かれた。お蔭で普通の主人公に、やっと “これと言った特徴が無い” の汚名返上にはなった。なったにはなったが…(あとがきに続く)
あとがき
今回で褒めるべきは、朝顔が監察医を目指した理由を、引っ張らずに第2話と言う初期に描いたことです。しかし、その反面、第1話よりも「東日本大震災」のエピソードが盛り込まれてしまいました。私は個人的には、出来るだけ震災のことは描かないで欲しいです。
ドラマが重くなり過ぎるとか、話がごちゃごちゃするとか、理由はいろいろありますが、やはり、「震災で大切な人を失い、その死と悲しみを背負って生きていく登場人物を描くドラマ」なら、もっと脚本家も演出家も、登場人物の心理描写に注力すべきです。
今の状態は、ただ「震災で大切な人を失い、その死と悲しみを背負って生きていく登場人物を描くドラマ」で客寄せして、あらすじを追うのが精一杯にしか見えません。敢えて言うなら、作品に最も寄り添っているのは、主題歌の折坂悠太さんが歌う『朝顔』だと思います。
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/13022/
【これまでの感想】
第1話
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