ゲゲゲの女房:再放送 (第15回) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(公式)
第3週『たった五日で花嫁に』の
『第15回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第15回】
いよいよやってきた見合い当日、昭和36年1月25日。飯田家は朝から準備で大騒ぎ。源兵衛(大杉漣)はミヤコ(古手川祐子)にあれこれと指示を出し、布美枝(松下奈緒)は緊張でいてもたってもいられない気持ちだった。茂(向井理)が修平(風間杜夫)と絹代(竹下景子)に伴われて飯田家に到着し、仲人の谷岡(小林隆)の進行のもと、見合いの幕が静かにひらく。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第15回】
こう言うアバンタイトルが好きなのだ!
私は、こう言うアバンタイトルが好きなのだ。何がって? ドラマにとっても、ヒロインにとっても、そして視聴者にとっても、いよいよ描かれる「見合いの当日」のアバンタイトルと言う構成ならではの魅せ方で、視聴者にサービス精神旺盛に表現するのが…だ。
僅か30秒のアバンで短いカットを繋ぎ見事に見合いの朝を描いた!
1カット目で、場所が酒屋であること、2と3カット目で近所の「魚八」と言う夫婦がやって来たこと、そこから続けて、留蔵(春海四方)の「おはようさん。今日 見合いだげなね?」で時間が朝の開店前であることと、この日が見合いの当日であることを伝え…
妻の克江(梅沢昌代)の「まとまるとええね」で布美枝(松下奈緒)が近所の人たちに好かれていること、再び留蔵の「姉ちゃんが片づいたら」で、窓を拭いていたのが布美枝の弟で未婚であることまで一気に描いて、それらを締め括るようにナレーションで解説。
更に、俊文の「おばちゃん」で布美枝がそう呼ばれる年齢になっていることと同時に、この見合いがドタバタ劇のように楽しくなるような予感まで漂わせて、主題歌へ。ここまで僅か30秒足らず。まるで、俳句のように短いカットの切り替えしで見事に、“いよいよお見合いだ” な雰囲気を醸し出した。そう、このような洒落ていて、粋な演出が好きなのだ。
主題歌明けは、鮮やかな手法で、アバンでの零した水のネタ回収
主題歌明けも、まだ第15回なのに恒例のような楽しさを感じる、父・源兵衛(大杉漣)の「娘・布美枝を出来るだけ小柄に見せる作戦」と、その極秘任務などを任されて大忙しの母・ミヤコ(古手川祐子)の図。準備で大忙しなのを描きながら、アバンで花を入れた桶の水を零したネタの回収で、この源兵衛の台詞だから面白い。
源兵衛「はあ~ 背も高いが 足も大きいなあ!」
まるで刑事ドラマの事件後の現場のようにカメラを床板の上ギリギリに据え置いて、布美枝の濡れた足跡を強調した上で、「11文ありますけんねえ」と事実を言ったミヤコに、更に源兵衛が作戦の大切さを補強。ドタバタが続くかと思いきや、今度は登志(野際陽子)と布美枝の回想シーンで、グッと落ち着かせる。
「布美枝を出来るだけ小柄に見せる作戦」の魅せ方がお見事!
むやみやたらに騒動を騒動として “あざとく” 演出するのでなく、見合いの準備に於ける「娘・布美枝を出来るだけ小柄に見せる作戦」と言う騒動を通して、飯田家の家風や個々の人間性を “必要最小限” に演出して魅せた。見合い相手がやって来るとの知らせが来た時、源兵衛が廊下のランプに頭を一瞬ぶつける辺りの演技も見事だ。
"視聴者を巻き込んで"進める脚本と演出のさじ加減の上手さ
そして、前回で屋外ロケの使い方が巧いのが今週の演出担当の渡邊良雄氏が、スタジオセット(追記:オープンセットのカットもあった)の中に黒塗りの「安来タクシー」を走らせると言う工夫を見せた。劇伴も実に内容にピッタリ。タクシーから降り飯田家に到着した茂(向井理)は茂で、修平(風間杜夫)と絹代(竹下景子)の「見合いの合否を見極める作戦」会議。
単純に両家を交互に描くのでなく「楽しい作戦会議」で、両家の違いを面白く描いているように見えるには訳がある。それは両家の作戦を知っているのが当事者たちと、視聴者自身だけだから。最近の朝ドラに多い「視聴者置いてけぼり」とは真逆なのだ。この辺の視聴者を巻き込んで進める脚本と演出のさじ加減は上手いと言うしかない。
朝ドラ名物を "視聴者がヒロインと一緒に体験する" 面白さ
仲人の谷岡(小林隆)の進行のもと、見合いの幕が静かに開くが、当然一筋縄では進んで行かない。朝ドラ名物に “これ見よがし” の覗き見や立ち聞きがあるが、ここでは敢えて覗き見と立ち聞きをさせるのを、布美枝が少しだけ開けた襖の間から “視聴者がヒロインと一緒に体験する” と言う展開には恐れ入った。本当に飽きさせない。
脚本と演出の"見せるべき情報量"の"さじ加減"の絶妙にスゴイ
いよいよ布美枝が見合いの席に合流すると、「目玉」をきっかけに茂が布美枝に興味を持ち始めたのが分かる。この「目玉」と言うのが良いではないか。
とにかく、茂と修平が “下戸” であることが判明したあたりから、雲行きが怪しくなるが、そうなればなる程に、物理的にも、心理的にも、布美枝と茂の “距離感” が絶妙なのが活きて来る。
前回の感想にも書いた通り、サブタイトルにもあるように「布美枝と茂が必ず結婚する」と言う視聴者が分かり切っていること。それを視聴者に興味が湧くように近すぎず通し過ぎずに置いた上で、茂に突拍子もない質問をさせる…
茂「自転車は 乗れますか?」
茂の “独特な個性” を描きつつ、布美枝の安堵の気持ちも描いて終了。今回も、あっと言う間の15分間だった。とにかく、詰め込み過ぎの印象が全く無いのに、満足感は十分過ぎる位にある。やはり、脚本と演出の “視聴者に見せるべき情報量” の “さじ加減” が巧みだと思う。
あとがき
今日(2019/6/26)は、ニュース「安倍首相記者会見」があったために、第15回だけの放送でした。サブタイトル通りに進むとすると、あと2回で結婚まで一気に進むのか、結納から結婚までの日取りが決まるのか分かりませんが、今のところ不満はありませんね。むしろ、不安が解消されつつあります。このまま進むのを祈ります…
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/12960/
【これまでの感想】
第1週『ふるさとは安来』
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第2週『ご縁の糸』
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第3週『たった五日で花嫁に』
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