わたし、定時で帰ります。 (第10話/最終回・2019/6/25) 感想

TBS系・火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(公式)
第10話/最終回『あなたは何のために働いていますか…?働き方新時代の決断』の感想。
なお、原作の小説、朱野帰子「わたし、定時で帰ります。」(新潮文庫)は未読。
巧(中丸雄一)が「結婚できない」と結衣(吉高由里子)に告げ、家を出ていった。さらに、外注先が倒産し、制作4部は大混乱。動揺が収まらない結衣は、復帰した賤ヶ岳(内田有紀)を見て気持ちが緩み、彼女と三谷(シシド・カフカ)に巧のことを相談する。そんな折、結衣は種田(向井理)から、取引先の星印工場が福永(ユースケ・サンタマリア)を担当から外すよう要求してきたことを聞く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:朱野帰子「わたし、定時で帰ります。」(新潮文庫)
脚本:奥寺佐渡子(過去作/夜行観覧車、Nのために、リバース) 第1,2,5,7,9,最終話
清水友佳子(過去作/夜行観覧車、女はそれを許さない、リバース) 第3,4,6,8,9話
演出:金子文紀(過去作/監獄のお姫さま、チア☆ダン、大恋愛) 第1,2,6,7,最終話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ、中学聖日記) 第3,4,9話
福田亮介(過去作/チア☆ダン、初めて恋をした日に読む話) 第5話
坂上卓哉(過去作/隠蔽捜査と監獄のお姫さまの演出補) 第8話
音楽:平野義久(過去作/ゆとりですがなにか、獣になれない私たち)
新屋豊(過去作/ぴんとこな、TVアニメ『ノブナガン』)
主題歌:Superfly「Ambitious」(ワーナーミュージック・ジャパン)
第9話と最終回の間が空いたのは、本作にとって有利だった
先週の 6/18 に発生した「山形県沖地震」での被害に遭った方々には、お見舞い申し上げます。と書いた上で、書きづらいが敢えて書こうと思う。正直、前回の第9話で描かれた 巧(中丸雄一)の浮気話の件を含めて、前回まではネタが相当詰め込み過ぎだった上に、先週途中まで放送された内容を見て、「まだ詰め込むか…」と少々落胆した。
しかし、放送が1週間先延ばしになったために、何となくこれまでと “一区切り” が付いて観ることが出来た。“詰め込み過ぎ感” も薄まった。もう一度書くが、「山形県沖地震」での被害に遭った方々には、お見舞い申し上げつつ、第9話と最終回の間が空いたのは、本作にとって有利だったと思う。
仕事、恋、人間関係に、真剣に向き合い奔走する結衣を魅せた!
さて、最終回の具体的な感想だ。まず、良い感じで巧(中丸雄一)の浮気話は序盤で少しだけ描いた。そのお陰で、その後はしっかりと結衣(吉高由里子)が仕事に恋に人間関係に、真面目に向き合うがために翻弄される姿が丁寧に描かれた。
また、丁寧に主人公の結衣を物語の中心に据えておきつつ、会社組織の中での一社員の在り方や働き方、上司(社長)と部下(社員)の関係などの多様性の大切さと言う、最近の所謂「お仕事ドラマ」では扱わなかった部分にまで踏み込んで描いた。
結衣が社長へ直談判してからの結衣の見せ場の作り方が巧み
特に、ドラマとして面白味を感じたのは、放送時間を約 1/3 も残しての…結衣が社長に直談判をしてからの「起承転結」の「転から結」へ向かう展開を単純にせず、まず、結衣が倒れるまでの回想シーンを盛り込んだカメラワークと編集の巧みさ。やはりここは、パソコンに入力しながらバタンと倒れるだけでは物足りない。
そんな上手い演出の直後だからこそ、結衣が倒れたことで大切な人を失うかも知れない恐怖に遂に気付いた種田(向井理)のシーンが輝いた。更に、種田と結衣がお互いの気持ちに気付き、呼応し合い通じ合う場面は、 誰よりも集中して仕事を終わらせ、プライベートも大切にする主人公のドラマの “見せ場” として、とても良かった。
難しいテーマを、軽妙に上手く掘り下げ描いたのはお見事!
きっと「会社勤め」の人たちには考えさせられることも、結衣のような生き方や結末に “明日も働く元気” を貰ったと思う。しかし、私のようなフリーランスと言う時間や場所に対して基本的に制約のない働き方の人間にとっても、本作はたいへん興味深かった。
とりわけ、会社の残業問題を切り口にし、単純な会社内の制度や仕組み改革ではなく、働く人たちの意識改革に注力して、社会人の一人ひとりが自分に合った “ライフワーク・バランス” とは何か? について、軽妙な恋バナやコミカルな要素を盛り込みながら、実は難しいテーマを上手く掘り下げたのはお見事だった。
あとがき
今回のような、仕事もプライベートも主人公が羨ましい程のハッピーエンドにするなら、もっと 結婚前提の婚約関係にあった巧(中丸雄一)の描き方のへ工夫があっても良かったですね。そこだけが気になりました。
でも、平らかな言い方になりますが、全体的にはシリアスなテーマを「定時で帰る主人公」をブラすことなく、最後まで描き切ったのは “秀作” と言っても良いと思います。
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【これまでの感想】
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