なつぞら (第70回・2019/6/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『なつぞら』(公式サイト)
第12週『なつよ、千遥のためにつくれ』の
『第70回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
前作「白蛇姫」のポスターを見ていたなつ(広瀬すず)は、自分がアニメーターとして頑張れば、ポスターに名前を載せることができることを知る。そして、生き別れの千遥がそれを見てくれれば連絡があるかもしれないと、咲太郎(岡田将生)と信哉(工藤阿須加)、亜矢美(山口智子)に伝える。日が変わり、下山(川島明)のもと「わんぱく牛若丸」のアニメーターチームが集まり、新たな作品つくりに向けて意見交換が行われる…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
なぜ、住居兼店舗の「風車」に勝手口を作らなかったの?
今回も、アバンタイトルから不快と言うか疑問が…。これ、毎回思っていたのだが、なつ(広瀬すず)は毎回おでん屋「風車」の客の出入り口から帰宅(前回は出勤も)するが、「風車」には裏口や勝手口は無いのだろうか? 店と住居が一緒なら、昭和32年頃の一軒家なら勝手口くらいはあって当然だと思うのだが。
勝手口があれば、いろいろ好都合なのに…
勝手口があれば、そこから入って、軽く「ただいま~」と亜矢美(山口智子)に声を掛けて、すぐに2階に上がり、亜矢美の用意しておいてくれた夕食を食べながら、早速絵を描く…となれば、「なつって頑張ってるな」と視聴者に訴えることが簡単に出来るのに。
一度店から出て来た信哉(工藤阿須加)を店に招き入れ、なつの帰宅を待っている茂木(リリー・フランキー)まで強調しちゃうから、「風車」の看板娘で、これまた「なつアゲ」をやっているようにしか見えない。
貰う物だけ貰って、さっさと信哉と2階へ上がっちゃうなつ
そして、茂木社長から貰う物だけ貰って、さっさと信哉と2階へ上がっちゃうカットで、主題歌へ突入しちゃった。これだと、なつが千遥をネタに信哉を誘っているように見えてしまう。普通に、茂木社長への「一生 大事にします」のなつの笑顔で主題歌に繋がるだけで良かったのだ。つくづく、脚本も演出もダメだなぁと思う。
なつを自然体に好感度が上がるように見(魅)せる"間"が無い
更に、頭が痛くなるのは、このなつの台詞。
なつ「千遥のことは 誰にも言わないで」
分かる。なつが、信哉に千遥のことを黙っていて欲しい理由は、その後になつから語られる理由を含めて、好意的に解釈すれば分かるのだ。しかし、ここで問題なのは、演出と編集。開始後僅か4分間(内1分30秒は主題歌)で、路地で信哉に会って、帰宅から秘密の共有まで進んでしまっている。
それも、信哉を自分の部屋に招き入れて。そう演出や編集に於ける “間” が無いのだ。せめて、信哉が店内に居る時になつが帰宅して、「丁度良いから…」的な流れで、「信さんに話があるの…」で2階へ行くだけで良かったのだ。
そんな、なつを自然体に、好感度が上がるように見(魅)せる “間” が無いから、男を連れ込んだように見えてしまうのだ。もちろん、演技力不足も影響はしているが。演出家は完パケ(放送される完成品)を観ているのか、甚だ疑問しかない…
漫画映画やポスターは全ての子供たちの夢で見るのも当然なの?
次の展開も、良く分からない。
なつ「ここ… ここに名前が載るっしょ! 奥原なつって…
必ず 私の名前を載せてみせる!
ほら! そしたら どこかで これを千遥が見たら
映画やポスターを見たら 私の居場所が分かるっしょ!?」
なんか、咲太郎を含めて、「でかした! なっちゃん!」的な展開になっているが、どれだけの視聴者にそう見えただろうか?
なぜか、漫画映画やポスターは全ての子どもたちの夢で、見るのも当然のように描かれているが、そもそも、信哉以外はまともに千遥を捜しているようにも心配しているようには見えないし、なつが絵を描くのが好きにも全く見えていない。
なつが "ポスターに名前が載る=千遥のため" は強引過ぎる!
それなのに、劇中のポスターに掲載されていたスタッフが11名で、その内「原画」は仲と井戸原の2名だけ。そこに自分の名前が掲載されるのを目指すことが、サブタイトルの『なつよ、千遥のためにつくれ』に繋がって行くってことらしい。でも、流石に全部が強引過ぎやしないだろうか。
"間"が無い詰め込み過ぎによる"嘘臭さと不快感"は沁み込む
ここもね、“間” が無いから強引に見えちゃうの。それこそ、アバンに居た茂木社長が『白蛇伝』のポスターを指差して「おじさん、ああ言うポスターになっちゃんが載るまで応援するからさ」みたいにして、なつが「そうか!」と気が付いて主題歌で良かったわけ。
結局、あれこれを、たった6分間に詰め込むから、嘘くさく見える。これ、『ととねえちゃん』や『わろてんか』で良く見られた「騒動の箇条書き」による “つまらなさ” とは次元が違う。「“間” を設けずに詰め込み過ぎる」ことによる “嘘臭さと不快感” だから、作品や登場人物の印象に沁み込んじゃうのだ…
演出に "間" が無いから、テンポは悪いし楽しさも生まれない
そして、9分頃から始まった「なつアゲ」要員の下山(川島明)と、なつをディスる麻子(貫地谷しほり)らの「下山班」やり取りにも、「私が観たいのは、こう言うのじゃ無いんだよなぁ~」感が蔓延していた。これも、そうでしょ? “間” が無いの。
会社のシーンから次の店のシーンの間に何もない。せめて、終業時間を表現する夕景カットとか、店先の看板や商店街を行き交う人々の情景カットでも良い。どうしても昼食の設定にしたいなら、一度いつもの中庭に集まったところで、下山から「今日は外で決起開会しようよ」みたいのがあったら良かったと思う。
そう言う “間” を入れずに、脚本上のト書きと台詞をそのまま撮影して編集して繋げて、適当な劇伴を貼り付けるから、テンポは悪いし、楽しさも生まれない。それにしても、演出が酷いのは当然だが、今更こんな場面を書いて、視聴者が楽しいと感じると思って書いている脚本家も脚本家だと思うが…
あとがき
ラストで、カメラマンが「カチンコの音で芝居が決まるんだからよ!」言っていましたが、これだけは本当です。出来の良い助監督さんのカチンコの音は違うんです。
さて本作のあとがき。結局、ここでまた新人の演出助手・坂場(中川大志)と言うイケメン投入ですか? とにかく、まともに物語の流れを作って納得出来る展開にして欲しいです。それと、どうか、なつと咲太郎だけでも千遥を心配しているように描いて下さい…
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【これまでの感想】
第1週『なつよ、ここが十勝だ』
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第2週『なつよ、夢の扉を開け』
7 8 9 10 11 12
第3週『なつよ、これが青春だ』
13 14 15 16 17 18
第4週『なつよ、女優になれ』
19 20 21 22 23 24
第5週『なつよ、お兄ちゃんはどこに?』
25 26 27 28 29 30
第6週『なつよ、雪原に愛を叫べ』
31 32 33 34 35 36
第7週『なつよ、今が決断のとき』
37 38 39 40 41 42
第8週『なつよ、東京には気をつけろ』
43 44 45 46 47 48
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』
49 49 50 51 52 53 53 54
第10週『なつよ、絵に命を与えよ』
55 56 57 58 59 60
第11週『なつよ、アニメーターは君だ』
61 62 63 64 65 66
第12週『なつよ、千遥のためにつくれ』
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