なつぞら (第67回・2019/6/17) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『なつぞら』(公式サイト)
第12週『なつよ、千遥のためにつくれ』の
『第67回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
なつ(広瀬すず)と咲太郎(岡田将生)は、12年前に生き別れになった妹・千遥がいるはずの住所を訪ねる。その住所には、一軒の木造アパートがあった。不意にそのアパートから出てきた若い女性の姿に二人は息をのむ。「千遥」と声をかけるなつ。そして、なつと咲太郎はその女性の部屋に通され、ある話を聞かされる。その言葉に衝撃を受けたなつはその部屋を飛び出してしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
外は清々しいのに、我が家のテレビの上だけ暗雲が立ち込めた
放送開始とほぼ同時にスマホの「緊急地震速報」がけたたましく鳴った『なつぞら』の第67回。土日にサザンオールスターズの40周年記念のコンサートツアーの東京ドームに幸運にも参加出来て、たいへん気分のよろしい「あおぞら」が眩しい朝なのに、主題歌明けから、我が家のリビングのテレビの上だけがモクモクと暗雲が立ち込めた。
咲太郎は「としおばさん」「幸ちゃん」を呼ぶ程、親しかったの?
それが、12年前に生き別れになった妹・千遥がいるはずの住所を訪ねた、なつ(広瀬すず)と咲太郎(岡田将生)が家に上がり、見知らぬ男性(岡部たかし)女性(池間夏海)との、この会話↓のせいだ。なお、オープニング映像中のクレジットには未記載だが、会話の中から、女性が「幸子(ゆきこ)」であることが分かる。
咲太郎「としおばさんは いつ亡くなったんですか?」
男 性「はい… 2年前に病気で…。これは 下の娘の幸子です」
咲太郎「幸ちゃんか…。
幸ちゃんは 確か 千遥の2つ上だったよね」
幸 子「今 19です」
え~と、恐らくこれまで1話も見逃してはいないと思う(ながら見状態にはなって来てはいるが)が、咲太郎は千遥を預かっていた親戚のおばさんを「としおばさん」、その娘さんを「幸ちゃん」と、まるで数年に一度は親族の集まりで会っていたような呼び方で呼んでいたが…
そんな私の感覚なら、かなり身近な親戚と、ずっと連絡を取っていなかったのも不自然だし、逆に親しく呼び合うような関係なら、「きっと千遥は幸せに決まっている」みたいな “憶測” で話すのも辻褄が合わない。
更に咲太郎は「そんな人じゃなかった」とまで覚えていたの?
その上、男性から 21年前に「としおばさん」から千遥が虐待を受けて、とっくに家出をしていたことを聞いた時には、こんな事も言っていた。
咲太郎「おばさんは そんな人じゃなかった。
俺は よく覚えています。
母にとって おばさんは 唯一の姉妹みたいな人で…」
えっ!? 咲太郎は「としおばさん」の人柄をよく覚えているの? おいおい、もしかして、咲太郎が千遥の居場所を積極的に探さなかったのは、「としおばさん」が「いい人」だったから…とでも言いたい訳? 流石に、脚本家による辻褄合わせにしては強引過ぎる。
死人に罪を押し付け、父娘が言い逃れしているように見えた
それに、その後の男性の「家内は本当の課内ではなく…」なんて話まで聞いてしまうと、ちょっと冷静に且つ意地悪に考えると、千春が家出をしたのを、「男性」は「死んだとしおばさん」の虐待のせいにしているように見えてしまうし、黙っている幸子は幼少期に虐待を見て見ぬ振りをしていたように見えちゃうし…
また、そもそも家出したのは千遥の勝手だと言わんばかりに “父と娘が口裏合わせをして言い逃れをしている” ように受け取れなくもない。まあ、ある意味で、咲太郎となつの兄妹の親戚だから、自分の幸せを優先して見て見ぬ振りをするのは似ていて当然かも知れないが、そう見えるような描写を、なぜ脚本家が選択したのかが理解出来ない…
なつも、9歳の春に柴田家から一度家出してるでしょうに…
そして、11分頃、おでん屋「風車」で、なつが、こんなことを言い出す。
なつ「千遥は 6歳だったんだよ…
どうやって 一人で生きていくのさ?」
昭和12年(1937)生まれのなつは、終戦翌年の昭和21年(1946)の9歳の時に、東京・上野で戦争孤児となっており、北海道・十勝の柴田家に引き取られた。そしてその年の6月、なつは東京の兄に会いたいと一度柴田家から家出をした(第7回)。
まあ、今の6歳と9歳では成長に大きな差があるかも知れない。しかし、終戦翌年と言う時代を考えると、なつが6歳の家出を否定して、自分の9歳の家出を肯定しているように、これまた脚本家が書く理由が分からない。
戦災孤児のなつなのに「終戦の日」より「誕生日」が優先なの?
これだけでも、15分間の殆どが理解不能なのに、13分過ぎに、これでもか! と言わんばかりのネタを突っ込んで来た。それが、なつが上京してから一年半が経過した事と、この年の8月14日がなつの二十歳の誕生日であることを視聴者に教えるための葉書の登場だ。
恐らく、何とかヒロインの好感度を上げようと、またいつもの「なつアゲ」で、“妹を本気で心配する心優しい姉” を描きたいのだろう。
しかし、千遥が行方不明である事を知った日が、「終戦の日」であること位は二十歳のなつなら知っているだろうし、戦災孤児だったなつだからこそ、幸せに育ててくれた柴田家の両親へ自ら感謝することもせず、本当の生みの親へ感謝と悼むこともしなかったのは、残念でならない。
こう言うちょっとした描写の有無が、昭和32年と言う時代を表現する、絶好の機会なのに、それを容易く逃した…訳だ。
あとがき
まさか、あの涙の続きで、なつは悲しみを忘れようとアニメ制作に集中して、サブタイトルの『なつよ、千遥のためにつくれ』に繋げる気でしょうか? 脚本家や演出家は、この展開が滅茶苦茶であることに気付いていないとしたら、とんでもない「朝ドラ100作記念作品」になりますよ、きっと…
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【これまでの感想】
第1週『なつよ、ここが十勝だ』
1 2 3 4 5 6
第2週『なつよ、夢の扉を開け』
7 8 9 10 11 12
第3週『なつよ、これが青春だ』
13 14 15 16 17 18
第4週『なつよ、女優になれ』
19 20 21 22 23 24
第5週『なつよ、お兄ちゃんはどこに?』
25 26 27 28 29 30
第6週『なつよ、雪原に愛を叫べ』
31 32 33 34 35 36
第7週『なつよ、今が決断のとき』
37 38 39 40 41 42
第8週『なつよ、東京には気をつけろ』
43 44 45 46 47 48
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』
49 49 50 51 52 53 53 54
第10週『なつよ、絵に命を与えよ』
55 56 57 58 59 60
第11週『なつよ、アニメーターは君だ』
61 62 63 64 65 66
第12週『なつよ、千遥のためにつくれ』
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