なつぞら (第60回・2019/6/8) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『なつぞら』(公式サイト)
第10週『なつよ、絵に命を与えよ』の
『第60回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
アニメーターになるための試験を受けたなつ(広瀬すず)。試験の夜、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)、露木(木下ほうか)らが集まり、受験者の描いた絵を採点する。しかし、なかなか決めきれない。日が変わり、よくやく決断した仲と井戸原はなつを呼び出し、結果を伝える。そのころ十勝では、天陽(吉沢亮)が、森の奥深くの小屋へと向かっていた。それは、弥一郎(中原丈雄)の娘・砂良(北乃きい)の家で…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「馬の動きがダイナミックで良い」以外のなつの絵の才能って何?
結局、私にとっての印象的な、なつ(広瀬すず)の “絵の才能” は「馬の絵の動きがダイナミックで良い」程度しかない。なのに、物語は、6月入社でその年の暮れには仕上げ課に所属しながら、“絵の才能” を買われて、アニメーターになる試験を特別に受けている。
そしてまた、敢えて自ら「下手くそ…」とご丁寧に “謙遜” までして、のちに山のように登場する「なつアゲ要員」を待ち構えていると言う、まあ、いつもの…だ。
ここで魔法の言葉「独学」を使うのは脚本も演出も完全にアウト!
主題歌明けは、アバンタイトルで示した方向性をそのまま映像化。まず、見ず知らずの受験者が「なつアゲ要員」に。その後は、「なつアゲ要員」の筆頭カブであるの仲(井浦新)が褒める褒める。そしてここで、仲から「魔法の台詞」が飛び出す。
仲「全部 我々が描いたものを見ての独学なんです」
ついに出た「独学」と言う魔法の言葉。これ、私としては脚本上も演出上も完全にアウトと言うか手抜き。
だって、前述で書いた通り、なつの “絵の才能” は「馬の絵の動きがダイナミックで良い」程度しかないのに、「独学」と言ってしまったら、これまで大して身内(なつの味方)しか評価していない事も、大して努力や研究もしてこなかった事も、ぜ~んぶ「独りで学んで来た天才」って、仲が証明したのと同じだから。
「独学」を使うなら、『まれ』のように、ヒロインの無名時代に天才シェフが「まれアゲ」したように、十勝時代に使っておくべきだったと思う。まあ、「独学」だけに脚本家は「禁断の毒林檎」を使った…と言わざるを得ない。
なつの自己主張も反省が、小生意気さや攻撃的に見えちゃう
そして、一度入社試験に落ちた展開をここでも使って、サクッと不合格。でも、今度は仲に続いて井戸原(小手伸也)がなつアゲ。
それにしても、なぜなんだろう? なつが試験に不合格になり「悔しい」と言う気持ちを抱いたのだから、視聴者は普通ヒロインを応援したくなるはずなのだが、私に限ってだと思うが、全く応援する気が湧いて来ない。
自分のダメさを自己主張するのは間違っていないし、自己反省出来ていると好意的に解約も出来ているのに…だ。なのに、小生意気さや攻撃的に見えてしまう。
「お願いします」の "単語の順番" がおかしい…
そして、散々自己主張したあとに「お願いします」だから、おかしくなる。まあ、広瀬すずさんが台詞以前に単語を単調に読んでいるだけのような演技に見えてしまっているのも原因の一つだが、脚本家のその単語の順番もおかしいのが、もっとおかしな原因だ。
やはり、「不合格」と聞いた直後に、なつは「お願いします。再試験を」と願い出て、仲の「なぜ?」の問いに対して、自己主張すべきだったと思う。
仲から不合格を告げられた直後に、なつが言うべきだった…
なぜ、こんな簡単な台詞のやり取りを間違えて、なつの好感度を下げるのだろう…。そう思うのが、このシークエンスの最後の、このなつの台詞だ。
なつ「今回は ありがとうございました」
これ、脚本家は、特例で試験を受けさせてくれたことへの感謝のつもりだろうが、前述の通りに台詞の順番がおかしいから、「私の主義主張を聞いて頂き ありがとうございました」に聞こえてしまった。だったら、「まだ 未熟な私に 試験を受けさせ頂きありがとうございました」と言うだけで好印象になったと思う。
いやいや、それこそ、「今回は ありがとうございました」は仲から不合格を告げられた直後に、なつが言うべきだったのだ、残念…
十勝での寸劇は、本当に今回必要だったのか?
そして、6分過ぎからは「十勝編」でヒロイン不在の恋バナが唐突に始まった。前回の感想で書いた通り「イケメン俳優と、朝ドラレジェンド女優で客寄せ」をする安定感。
そして、出勤の際は気合いを入れるつもりで派手な衣装を着ているのかと思っていたら、正月休みでも安定の「広瀬すずさんのアップの連続と色とりどりのファッションショー」で時間繋ぎ。まあ、今回の 15分間は、ほぼ全編「青春メッセージ(旧:青年の主張)」の東京と予選で新宿代表の奥原なつの弁論大会だった。
公式サイトにある脚本家へのインタビューにこう記されている。
東京大空襲で両親をなくし、運命的に十勝の開拓者の一家に育てられるヒロイン像を考えたとき、自分の意思を貫いて生きていくヒロインではないと思いました。
ついに、第60回で完全に当初のコンセプトが崩壊したことになったってことか…
あとがき
今回で一番良かったのは、「色パカ」と言う専門用語を視聴者に説明したシーンですね。本来は、もっとアニメーションの世界への理解度を深めてくれるような描写を期待しているし、その方が作品の世界に入り込み易いと思うので。
そして、予告編では、ついに兄妹揃って事実上抹殺した千遥が登場するようだ。自分たちの幸せのために、確認もせず幸せだと決め付けた、あの千遥が…です。
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【これまでの感想】
第1週『なつよ、ここが十勝だ』
1 2 3 4 5 6
第2週『なつよ、夢の扉を開け』
7 8 9 10 11 12
第3週『なつよ、これが青春だ』
13 14 15 16 17 18
第4週『なつよ、女優になれ』
19 20 21 22 23 24
第5週『なつよ、お兄ちゃんはどこに?』
25 26 27 28 29 30
第6週『なつよ、雪原に愛を叫べ』
31 32 33 34 35 36
第7週『なつよ、今が決断のとき』
37 38 39 40 41 42
第8週『なつよ、東京には気をつけろ』
43 44 45 46 47 48
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』
49 49 50 51 52 53 53 54
第10週『なつよ、絵に命を与えよ』
55 56 57 58 59
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