インハンド(第8話・2019/5/31) 感想

TBS・金曜ドラマ『インハンド』(公式)
第8話『呪いの血のポスターと鬼伝説…博士のライバル登場!!』の感想。
なお、原作の漫画、朱戸アオの「インハンド プロローグ1 ネメシスの杖」、「インハンド プロローグ2 ガニュメデスの杯、他」、「インハンド(1)」、連載中の「講談社 イブニング 2019年10号[2019/4/23発売]第11話:キマイラの血(8)」まで既読。
巨大グループ企業のロビーにある、女性の頭部が赤くなったポスターが話題に。同企業会長・園川の息子・直継が飛び降り自殺をしたことから、それは「呪いのポスター」と噂されていた。紐倉(山下智久)はポスターやその周辺の赤い色が細菌によるものと見抜き、バイオテロの可能性を示唆。調査を始めた紐倉の前に、大学の同期・遠藤が経産省の役人と共に現れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:朱戸アオ「インハンド」(講談社「イブニング」連載中)
脚本:吉田康弘(過去作/映画「黄金を抱いて翔べ」、コウノドリ[2]) 第1,2,3,5話
田辺茂範(過去作/参道高校合唱部!、レンタルの恋、トクサツガガガ) 第6,8話
福田哲平(過去作/) 第4,7話
演出:平野俊一(過去作/ブラック・マンディ、Sー最後の警官ー、カンナさーん!) 第1,2,5,7話
岡本伸吾(過去作/隠蔽捜査、TAKEFIVE、大恋愛) 第3,6話
青山貴洋(過去作/オーマイジャンプ!第3話、ブラックペアン第7話、グッドワイフ第8話) 第4,8話
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナシリーズ、アンナチュラル)
主題歌:山下智久「CHANGE」(SME Records)
更に「最新科学で事件を解決するサイエンスミステリー」に正常進化中!
第5話までの「紐倉の右手の義手の謎解き」と「紐倉の人嫌い」を中心とした「シリアスで切ない人間ドラマ」だった金曜ドラマ『インハンド』。
それが、第6話から(良い意味で)様相をガラリと変えて、「興味関心だけで自由に動く紐倉」と「紐倉と高家と牧野の個性派トリオの活躍」を中心とした「最新科学で未知の病気や事件を解決するサイエンスミステリー」に変貌した。
更に、紐倉(山下智久)と高家(濱田岳)と牧野(菜々緒)のトリオとしてのチームワークと個々の個性も際立ち、更に楽しいドラマにも仕上がっている。
義手の謎が解けてから、より人間ドラマとしても昇華している
「まるで第6話から別のドラマ?」と変化に戸惑う視聴者もいるかも知れないが、私はズルズルと「紐倉の右手の義手の謎解き」を最終回まで引っ張らなかったのを英断だと思うし、別にキャラクターが変わった訳でなく、義手の謎が解けたことで、人それぞれと人間関係の様々な蟠(わだかま)りが解けた結果であり…
潜んでいた人間性が表面化したと見えるから、繰り返すが “人間らしさ” が強調されて、より人間ドラマとしても昇華していると思う。
今回は "環境や見た目の差別" に真正面から挑戦した意欲作!
さて、今回は、私が以前朝ドラ『花子とアン』の時に、ふと「赤毛とそばかすの人に芸術的な才能のある人が多いのは何故か?」と不思議に思って調べた時の、赤毛とそばかすの人が持つ「メラノコルチン受容体MC1R遺伝子」が物語のキーワードとなった。
本作ではそれを「鬼の血」と表現し、地上波ドラマでは避けがちな、生まれた国や場所、生まれ育った環境、髪や肌や瞳の色による差別に、真正面から挑戦した意欲作と言った感じだろう。
紐倉「人間を決定するのは
遺伝子なのか 環境なのか ではなく 遺伝子と環境だ。
鬼の血が遺伝するかどうかなんて ナンセンスだ」
私は良く科学的根拠のない健康法や健康食品などの「偽科学」に興味を持っているが、今回の紐倉のこの台詞↑が、正に “科学的な根拠のない言動” の馬鹿馬鹿しさだけでなく、愚かさや醜さまで見事に描いた。
全ての差別を受けて苦しむ人たちへの "エール" な台詞も印象的
そして、その一方で、自分の力ではどうすることも出来ない「生まれ持った遺伝的要素」によって見た目だけで勝手に判断されてしまう人たちの生き続ける苦しみと、そのことを唯一無二の個性と思って(歩夢はそこまでは意識していない様子だったが)生きる強さも同時に描かれた。
紐倉「どんな血が流れていたって 直継さんは直継さんです。
歩夢君も そうです。
解析データを知ったからといって
本人の何が変わるわけではない」
高家「でも そのことを知れば 周りの目が変わる」
そんな日本だけに限らない世界中の差別、差別を受けて苦しむ人たちへの “エール” のような、この紐倉と高家の台詞↑も印象的だった。
皮肉が込められ、エッジが効き、ほのかな優しさもある決め台詞
我が身の愚かさにやっと気づいた園川務会長(柄本明)が歩夢(大平洋介)に掛ける言葉が見つからず、紐倉に相談した時の、この一言も良かった。
紐倉「絵を描いてくれるよう 頼んだらどうです?」
やんわりと皮肉が込められつつも、エッジが効いており、ほのかに優しさもある。流石、あの「神回」の第5話の脚本担当の吉田康弘氏らしい本作の描く世界観とドンピシャの決め台詞だ。
あとがき
ゲストの要潤さんが、今回はコミカルな要素を封印して醸し出した “独特な真面目さ” が加わったお蔭で、山下智久さんが演じる紐倉の “独特な真面目さ” と “コミカルさ” が加わったように思います。高家の存在感もしっかりあったし、牧野らしい活躍も見えた。これまでと違って、ファンタジーの要素も加わり、また進化した本作。
予告編に「ついに最終章」の文字が無かったのが、何よりも嬉しかったです。まだまだ終わって欲しくないので…
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インハンド プロローグ1 ネメシスの杖 (イブニングKC)
インハンド プロローグ2 ガニュメデスの杯、他 (イブニングKC)
インハンド(1) (イブニングKC)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/12858/
【これまでの感想】
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