なつぞら (第52回・2019/5/30) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『なつぞら』(公式サイト)
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』の
『第52回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
亜矢美(山口智子)の店・風車を訪れたなつ(広瀬すず)。そこに信哉(工藤阿須加)が飛び込んできて、咲太郎(岡田将生)が警察に捕まったと話す。信哉は慌てるなつに、事情はわからないが大事には至らず、すでに警察を出ていると言う。心配するなつたちは、新宿の歌舞伎町でサンドイッチマンをしているという咲太郎を探しに行く。当の咲太郎は開口一番、「東洋動画に入らなくってよかった」となつに言い出し…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
僅か1分間のアバンのたった2つのシーンが繋がっていない
私の理解力が乏しいから、アバンタイトルからして良く分からない。
「受ければいいな」的な軽い気持ちで受けた入社試験に落ちた原因が、自分の絵の才能の無さでなく、兄の “大きなお世話” だったことを知って、「お兄ちゃん…」とボソッと言った。まあ、ここ最近のなつ(広瀬すず)の設定なら、恐らく「お兄ちゃん… 何てコトしてくれたのよ…」と言う、あの口を半開きのポカーンだったと思う。
それなのに、その直後の「風車」で兄・咲太郎(岡田将生)が警察に捕まったと聞いたなつは「お兄ちゃん 何をしたの!?」と言っていたが、直前のシーンの繋がりを考えれば、「また お兄ちゃんが誰かに迷惑でも掛けたの?」でないのか!
これでは、まるで信哉(工藤阿須加)の話を聞く前に、まだ「お兄ちゃん 何をやって捕まったの!?」ならまだしも、「何をしたの!?」では、なつが咲太郎が大犯罪を犯したのを知らないように見えてしまう。僅か1分間のアバンのたった2つのシーンが繋がっていないという訳だ…
釈放後の咲太郎への、なつの暴言が支離滅裂過ぎる
主題歌明け。警察からは出ている咲太郎を心配するなつと信哉が、新宿の歌舞伎町でサンドイッチマンをやっている咲太郎を見つけ、突然目の前に現れたなつに驚く咲太郎となつ。咲太郎の言い分は、「戦災孤児を差別するような会社に入らなくて正解だったな」ってこと。
それは何度も書くが「描かれなかった9年間」で、きっと咲太郎が言葉に出来ぬほどの戦災孤児としての苦悩を味わって来たからだと、好意的に解釈した。そんな兄が、東洋動画の大杉社長(角野卓造)に「妹を頼む」と直談判した気持ちを考えると、次のなつの反論がこれまたおかしく聞こえてしまう。
な つ「お兄ちゃんは 今 何やってんのさ?」
咲太郎「だから 見てのとおり サンドイッチマンだよ。
鶴田浩二の歌が はやってから 人気があるんだよ」
な つ「それが お兄ちゃんのやりたいこと? 全然分かんないよ」
咲太郎「何が分からないんだ?
マダムに 借金を返すために 働いてんだろ。
お前に 少しでも
肩身の狭い思いをさせないために働いているんだ」
な つ「私のためなの? だったら やめてよ!
私… タップダンス踊ってる お兄ちゃんを見て
何だか 悲しくなったよ。
だって お兄ちゃん 昔と ちっとも
やってること変わってないんだもん…
焼け跡で 進駐軍に向かって踊ってる時と
やってること おんなじじゃない!
支離滅裂である。完全に迷走している。これ、頭の悪い私には、もはや好意的な解釈すら出来ない。
妹のため、「描かれなかった9年間」で世話になった人のために自分に出来る事で恩返しをしようとしている兄に対して、なつが「私は誰かのためでなく、自分で自分の夢を見つけて走り始めてますけど、何か文句ある!? それを邪魔する権利があんたにあんの!?」と心の底では思っているようにしか見えなかった。不快極まるヒロインだ。
光子の咲太郎アゲの台詞が、なつサゲになった馬鹿馬鹿しさ
翌朝の「川崎亭」で、なつが昨晩の出来事を光子(比嘉愛未)に謝罪するシーンも違和感しか無かった。まあ、比嘉理恵さんと山口智子さんが登場する場面は完全に “後付け” 感が強くて意味不明なシーンばかりなのだが。今回は、なつを励まし、咲太郎の個性をなつに教えるつもりの光子の台詞が “変” だった。
光子「咲ちゃんは 自分のことより
人のために生きるのが好きなのよ。
そういう人もいるのよ」
これって、「なっちゃんは 人のためより 自分のために生きるのが好きな人だけど」の逆説になってしまっている。更に、先のサンドイッチマンをやっていた時に咲太郎の加勢をしたおばちゃんの存在や、光子の先代のマダムの話まで持ち出しちゃうと、「なつさんと違って咲ちゃんは、人に愛される人だから」が強調されたような。
まあ、確かに最近のなつは「自己チュウ」で「自分大好き」だから間違ってはいないのだが、これで良いのか? 辻褄は合っているのか…と思ってしまう。
私なら、なつに亜矢美が咲太郎の絵を見せるタイミングを前倒す
そして、そもそも前回から今回の “流れ” が不自然過ぎるのだ。不自然過ぎて、なつの心情、特に中盤でなつが咲太郎に反論した原因が描かれず仕舞いになった。
私なら、こうした(妄想だから勝手に書かせて頂く)。昨晩の咲太郎のが逮捕される直前に、なつは咲太郎を探しに「風車」に行き、そこで亜矢美と一緒に居たのだから、信哉が「逮捕速報」を持ってくる前に、亜矢美がなつに「咲太郎が描いた家族の絵」を見せる…と言う展開だ。
そうすれば、なつが “咲太郎が本気で自分(妹)を心配し、家族を大切にしている” のを感じ取り、その上で「逮捕速報」を聞いて、なつが咲太郎にお説教した方が自然流れだし、何よりも、なつへの不快感が減り、なつが兄に説教、いや兄に「お兄ちゃんも自分の人生を歩んで欲しい」と言う気持ちも、ストンと落ちる…と思う。
あとがき
当初から、脚本担当が大森寿美男氏であるから、途中から “流れ” がおかしくなり、登場人物らの設定も揺らぐのは “作風” だから…と諦めてはいました。でも、演出力を信じる私の立場として、演出家が “作風” を補う可能性に賭けました。
しかし、どうも、どの演出家も脚本の字面を追って映像しているだけ。自分の担当の週が終われば “連続性ほぼ無し” が強調され続けいるのが残念でなりません。
とにかく、主人公が無礼で生意気なのにチヤホヤされる…のだけは不快なので、何とかして欲しいです。こんな思いは『半分、青い。』の鈴愛にも無かったのに…
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【これまでの感想】
第1週『なつよ、ここが十勝だ』
1 2 3 4 5 6
第2週『なつよ、夢の扉を開け』
7 8 9 10 11 12
第3週『なつよ、これが青春だ』
13 14 15 16 17 18
第4週『なつよ、女優になれ』
19 20 21 22 23 24
第5週『なつよ、お兄ちゃんはどこに?』
25 26 27 28 29 30
第6週『なつよ、雪原に愛を叫べ』
31 32 33 34 35 36
第7週『なつよ、今が決断のとき』
37 38 39 40 41 42
第8週『なつよ、東京には気をつけろ』
43 44 45 46 47 48
第9週『なつよ、夢をあきらめるな』
49 49 50 51
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