インハンド(第6話・2019/5/17) 感想

TBS・金曜ドラマ『インハンド』(公式)
第6話『天才ランナーの疑惑完全犯罪ドーピング!!衝撃の真実』の感想。
なお、原作の漫画、朱戸アオの「インハンド プロローグ1 ネメシスの杖」、「インハンド プロローグ2 ガニュメデスの杯、他」、「インハンド(1)」、連載中の「講談社 イブニング 2019年10号[2019/4/23発売]第11話:キマイラの血(8)」まで既読。
紐倉(山下智久)はサイエンス・メディカル対策室からの依頼で、‘日本陸上界のエース’と呼ばれる長距離選手・野桐へのドーピング検査を担当する。野桐は素行不良なことで知られており、共に出向いた高家(濱田岳)と牧野(菜々緒)は、彼の奇抜な言動に戸惑いを隠せない。一方、紐倉は、野桐の言動にはその裏に科学的な意味付けがあることに気付き、彼に興味を抱く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:朱戸アオ「インハンド」(講談社「イブニング」連載中)
脚本:吉田康弘(過去作/映画「黄金を抱いて翔べ」、コウノドリ[2]) 第1,2,3,5話
田辺茂範(過去作/参道高校合唱部!、レンタルの恋、トクサツガガガ) 第6話
福田哲平(過去作/) 第4話
演出:平野俊一(過去作/ブラック・マンディ、Sー最後の警官ー、カンナさーん!) 第1,2,5話
岡本伸吾(過去作/隠蔽捜査、TAKEFIVE、大恋愛) 第3,6話
青山貴洋(過去作/オーマイジャンプ!第3話、ブラックペアン第7話、グッドワイフ第8話) 第4話
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナシリーズ、アンナチュラル)
主題歌:山下智久「CHANGE」(SME Records)
よくぞ、ここまで吹っ切ってオリジナル脚本で勝負した!
まず、細かい感想に入る前に、今回は連ドラとして「かなり勝負した放送回」であることに触れておく。それは、前回までの本作と全く別のドラマになった部分と、前回までがあったからこそ描けた内容であった部分が共存していたからだ。
そのために、一部の視聴者には「別のドラマみたい」と過小評価する人もいるだろう。しかし、私は、「よくぞ、ここまで吹っ切ってオリジナル脚本で勝負した!」と褒めたい。では、そう思うに至った経緯を含めてドラマに踏み込んでみる…
冒頭の僅か 4分間で、新たな高家の個性と存在感を魅せた!
さて、冒頭の紐倉(山下智久)が内閣官房サイエンス・メディカル対策室のアドバイザーに就任したくだりが、「よくぞ、ここまで吹っ切った!」と評価した最初の部分。このドラマの “ツカミ” 部分で、ほぼ前回までと別のドラマになった訳だが。
この展開が興味深いのは、前回で紐倉の「亡くなった右腕(助手)=かつての助手・入谷(松下優也)」と「無くなった右腕=義手」のことを1時間かけ丁寧に描いたことによるスッキリ感、そして、今までよりも増した「正式な右腕(助手)=高家(濱田岳)」の個性と存在感が、冒頭の僅か 4分間でキッチリと描かれたことだ。
1つの作品で2つの作品やキャラを楽しめるなんて、実に幸せだ!
特に、高家については、演じる濱田岳さんを活かして、お人好しの営業マンの姿は、テレ東深夜ドラマ『フルーツ宅配便』のデリヘル店長・咲田役を彷彿させたし、かつて放送されていたNHKバラエティー番組『超入門!落語 THE MOVIE』を彷彿させる “落語仕立て” の脚本と演技を取り入れ、「新生・高家」を “まず” 強調した。これが良いのだ。
最初に「新生・高家」を見せておいてから、次に人嫌いだった紐倉が、人に興味を持つ「新生・紐倉」を続いて見せる。この2人の変化と、それに今一つ付いて行けない牧野(菜々緒)の、これまた「新生3人トリオ」の誕生と言うのが実に楽しいではないか! そして、1つの作品で2つの作品やキャラを楽しめるなんて、実に幸せでないか!
ゲストの配役の絶妙さで、紐倉と高家の魅力が増した!
さて、もう1つ触れておくべきは、今回のゲストのキャスティングの絶妙さ。陸上界のエース野桐俊 役に現放送中の朝ドラ『なつぞら』で柴田照男を演じる清原翔さん。ドラマ好きなら『なつぞら』とのギャップに驚いた上に、山下智久さんとの相性もバッチリで、変人&天才の興味を抱かせるには十分に魅力的な野桐選手を演じた。
また、野桐の父・俊明を演じた温水洋一さんが演じた意外な人物像に、野桐のマネージャー・東野潔 役の石井正則さんも真相に関わっていそうな雰囲気を醸し出してた。この3人のゲストがいたから、特に、高家がいよいよ紐倉の新たな右腕(助手)となって活躍する姿が不自然に見えず、程好きコミカルさとシリアスさの味付けに役だったと思う。
「東京五輪2020」を前に「遺伝子ドーピング」を扱った意味
そして、今回描かれた「遺伝子ドーピング」については、ずっと前から興味を持っていた。特に「東京五輪2020」を直前にして、生まれ育った環境で得られる能力の差と、経済状態によって得らえる能力の差、それらを「平等」に評価できるのか? と不思議だったのだ。
その点に於いて、紐倉が言及していたのが、本作の意図、いや紐倉の思考回路が実に偏りがなくニュートラルに描かれていることが良く分かった。その上で、きちんと医学的且つ科学的な視点で「遺伝子ドーピング」を視聴者に分かり易く解説したのも、今後のスポーツを見る楽しみを増やしたと思う。
あとがき
別のドラマのようにもなったと書きましたが、紐倉の言動の根拠が、常に「彼に興味があっただけだ」と統一されたことで、紐倉自身が興味を抱く対象にしか動かないと言うことが強調され、連ドラとして大きく一段昇格したように思います。コミカルとシリアス、硬軟織り交ぜて、最後には納得と後味の良さを残した第6話も、名作の1話となるに違いありません!
※次回の感想の投稿は、仕事の都合で週明けになるかも?
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インハンド プロローグ2 ガニュメデスの杯、他 (イブニングKC)
インハンド(1) (イブニングKC)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/12799/
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