きのう何食べた? (第4話・2019/4/26) 感想

テレビ東京系・ドラマ24『きのう何食べた?』(公式)
第4話『絶品ラザニア』の感想。
なお、原作の漫画、よしながふみ「きのう何食べた?」(講談社「モーニング」連載中)は、未読。
悟朗(志賀廣太郎)の大手術前日。落ち着かない史朗(西島秀俊)に賢二(内野聖陽)は、久栄(梶芽衣子)へのプレゼントを差し出す。無理に渡さなくていいと言う賢二に、史朗は渡すと約束する。翌日、不安に耐えかねて泣きじゃくる久栄に、史朗はプレゼントのミニタオルを手渡すが、賢二からだと伝えるのをためらう。2週間後のクリスマスイブ。史朗はふと賢二との出会いを思い出す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:よしながふみ「きのう何食べた?」(漫画)
脚本:安達奈緒子(過去作/大貧乏、コード・ブルー3、透明なゆりかご)
演出:中江和仁(過去作/映画「嘘を愛する女」) 第1,2,3話
野尻克己(過去作/映画「鈴木家の嘘」) 第4話
片桐健滋(過去作/映画「PとJK」)
音楽:澤田かおり(過去作/TBS系『噂の!東京マガジン』エンディングテーマ)
オープニングテーマ:OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND「帰り道」(TOY'S FACTORY)
エンディングテーマ:フレンズ 「iをyou」(ワーナーミュージック・ジャパン)
薄い紫色の和風な柄のミニハンカチから賢二の気持ちが見えて来る
前回の感想は仕事の都合で「簡単感想」で済ませたので、今回は「胸熱感想」で。
まず、序盤の史朗(西島秀俊)父・悟朗(志賀廣太郎)の大手術当日で手術が始まってからの個室病棟での史朗と母・久栄(梶芽衣子)のやり取りが面白かった。前回の帰省の場面では結構 “気丈なで頑固な母” と言った印象の強かった久栄だが、夫の大手術となると態度が急変し、終始不安に堪え兼ねて泣きじゃくる始末。
そんな久栄がハンカチを忘れて来たと言うので、賢二(内野聖陽)がくれた “ミニタオル” を志朗が久栄に渡す。薄い紫色の和風な柄のそのミニタオルに賢二の気遣いが見えるし、泣きじゃくっていた久栄も落ち着いたことで、賢二が史朗を通して “史朗のお母さん” を見ているような気がした、3人の心が通い合うのが見えたような素敵なシーンだ。
冒頭の7分間に本作へずっと流れる "人の温もり" を感じた
そして、史朗の「お母さんってさ。結構 お父さんのこと 好きだったんだね」、久栄の「好きに決まってるじゃない」からのオープニング映像の中の戯れる史朗と賢二へ繋がる流れによって、母親の父への愛を知った時の久栄を見つめる史朗が印象的になった。
7分間のアバンタイトルだったが、オープニング映像含めて、本作にずっと流れる “人の温もり” を感じさせてくれた。
"毎日 一緒に暮らしている人との日常" こそ "特別" なんだ!
オープニング映像明け。手術が無事に終わり、実家に戻って来た久栄と史朗。安心したのか、いつも悟朗が座っている籐製の椅子を見て、茶を飲みながら久栄がポロリとこぼす…
久栄「毎日 一緒に暮らしている人って 特別なのね」
この言葉で史朗は、父の座っていない椅子の方を見るだけで、場面は翌朝の街の全景になって話は進んで行く。ここで敢えて、賢二の回想シーンが挿入されないのが大人のドラマと言う感じがする。もう、誰の心にも “心配で堪らない賢二” の姿がある訳で、多くを見せずに感じさせる。
決して情報過多にして何度も突っ込むのでなく、こう言うことをさらりとやるからテレ東の深夜ドラマは大人が落ち着いて観られるのだ。この直後の、史朗が天ぷらを上手に揚げるコツを久栄に聞く場面も多くを語らずだ。
史朗「コツって何なの?」
久栄「思いきりよ」
史朗「えっ?」
久栄「史朗さんに思いきりを求めても無理でしょうけど」
そして場面は、自宅に帰って来た史朗と洗濯物を取り込んでいる賢二へ直結。史朗は食事の支度で、賢二はアイロン掛け。“毎日 一緒に暮らしている人” 同士の日常が帰って来た。たった、それだけのしあわせ。でも、そのこと自体が “特別” であり “日常” であると言う現実。それを丁寧に描いたいいシーンだ。
出会いの回想シーン、押し付けがましくない日常描写が見事
17分過ぎ、回想シーンで史朗と賢二との出会いからの同居に至るまでの経緯が描かれた。細かい描写の補強はしないが、とにかく、出会った頃の史朗と賢二を演じた西島秀俊さんと内野聖陽さんの、ちょっとした声のトーンの違いや目線の使い方や手の仕草など演技力に見入ってしまった。
史朗の顔にタオルが乗っかって、互いの顔が見えない状態での賢二への同居の誘い。ホント、押し付けがましくない日常描写が見事だ。
現在のクリスマスの夕食から3年前に切り替わる展開はドキッとした
32分頃の、クリスマスの夕食の場面が現在から3年前の過去に切り替わる展開は、ドキッとして何度も録画を観直してしまった。鈴の音が先行して画面が切り替わるあの瞬間だ。あの場面、本当に素敵だ。3年間の2人のやり取りも。
あとがき
ラストで、史朗が久栄に賢二のことを紹介する場面も自然で良かったです。テーマや描きたい事を押し付けるでもなく、漂わせる事もせず、ただただ史朗と賢二の日常を描くだけで、自然と視聴者それぞれに “何か” が伝わるはず…と言う作り方が良いと思います。食わず嫌いで見ていない人にも、見て欲しいです…
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