映画「運び屋(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし

【私の評価基準:映画用】
★★★★★ 傑作! これを待っていた。Blu-rayで永久保存確定。
★★★★☆ 秀作! 私が太鼓判を押せる作品。
★★★☆☆ まあまあ。お金を払って映画館で観ても悪くない。
★★☆☆☆ 好き嫌いの分岐点。無理して映画館で観る必要なし。
★☆☆☆☆ 他の時間とお金の有意義な使い方を模索すべし。
ディレクター目線のざっくりストーリー
アール・ストーン(クリント・イーストウッド)は金も無く孤独な90歳の男だ。家族を蔑ろにし仕事一筋に生きて来たが、商売に失敗して自宅を差し押さえられそうになった時、車で荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられる。それなら簡単だと引き受けたが、実はそれがメキシコの麻薬カルテルの「運び屋」と言う仕事だと言う事を知らなかった…
孤独な老人が、家族と時間と金について苦悩する人間ドラマ
ユリの栽培で成功した元退役軍人の老人が、ネットの波に勝てず経済的に困窮し、ふとした事から麻薬の運び屋になり、再び大金を得るが、これまで家族より仕事を最優先して来たために家族から見放され、老いと家族と時間と金について苦悩するヒューマンドラマが映画『運び屋』だ。
原案は『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された「ユリを育てて生計を立てていた89歳のインディアナに住む第二次世界大戦の退役軍人が、大量のコカインの運び屋をしていたと有罪を認めた」と言う記事だから、実話ベースの物語と言う事になる。
老いた男の生き様を運び屋と家族を軸に描いた骨太人間ドラマ
やはり、クリント・イーストウッド監督作品は一味も二味も個性的だ。まず、物語が良く出来ている。
孤独で金に困った老人である主人公アール・ストーン(クリント・イーストウッド)が麻薬の運び屋になると言うショッキングな縦軸に、孤独の原因である彼の “仕事最優先思考” と離れた家族の物語を上手に絡めて、老いた男の生き様を描いた骨太人間ドラマに仕立てたのはお見事だ。
"実の娘を娘役で使う"等の配役への監督の拘りを強く感じる
また、イーストウッドのファンなら彼自身の交際歴、結婚歴、離婚歴、そして子どもたちの構成の複雑さは知るところだと思う。まあ、一言で言えば “やりたい放題” で来たのだ。従って、本作の主人公の娘アイリスを演じているのが、実際のイーストウッドの実の娘であるアリソン・イーストウッドである事は実に興味深い。
なぜなら、イーストウッド本人と主人公アールと娘の関係が、バッチリ重なるからだ。この配役は配役担当のアイデアらしいが、その他の主人公周辺の配役も、アールを追い詰める捜査官役のブラッドリー・クーパーを始め、配役には細心の注意を払い適材を起用するイーストウッド監督の拘りを強く感じる。
中年の私には「老いを迎い入れるな」が、心へ強烈に響いた
そして、本作は観客の年齢でも評価が分かれる作品だと思う。若い人には、意外と呑気な老人のロードムービーに見えるかも知れない。高齢者であれば自分の人生と重ねて涙するかも知れない。そして中年の私には「老いを迎い入れるな」と言う強いメッセージが心へ強烈に響いた。
老いを自分なりに受け入れて、徐々に人生の結末に向かって行くのではなく、老いを受け入れるでもなく、むしろ自然に老いを楽しみながら、最期まで自分の生き様を全うしようとする老人の、時にユーモラスで、時にカッコ良さを見せ付けられた。
あとがき
拒んでも老いはやって来る。だから、自然に老いを楽しみながら、最期まで自分の生き様を全うしようとする老人のユーモラスでカッコ良い姿を見せ付けられた本作。主人公にとって、マフィアにとって、警察官にとっての “家族の在り方” の対比も面白い。劇伴も素晴らしく、エンドロールの最後まで聴いて欲しい作品です。
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