映画「メアリと魔女の花」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「メアリと魔女の花」 感想と採点 ※ネタバレなし
2017年7月8日公開予定の映画 『メアリと魔女の花』公式)を6/22に、TOHOシネマズ試写会にて劇場鑑賞。採点は、★★☆☆☆(最高5つ星で2つ)。100点満点なら40点にします。
なお、原作:メアリー・スチュアートの小説『The Little Broomstick』(1971発行)は未読。

私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

田舎町の赤い館村に引っ越してきた赤毛にそばかすの11歳の少女メアリ(声:杉咲花)は、森で7年に1度しか咲かない紫色の花 “夜間飛行” を見つける。それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の “魔法の花” だった。

一夜限りの魔法を手に入れたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法大学 “エンドア大学” はあれよあれよと入学を許可される。しかし、メアリのついたたった1つの嘘が、大切な人を巻き込んだ大事件へと発展していく。と共に “魔女の花” の正体が明らかになっていく。

メアリは、魔女たちの支配下から逃げ出すために「呪文の神髄」を手に入れ、すべての魔法を無効にしようとするが、そんな時にメアリの魔法の力は効かなくなる…

まえがき

私、ジブリ作品は殆ど観ていますが、なぜか『風の谷のナウシカ』以外に琴線に触れる作品が無く、ジブリ作品にこれと言った深い思入れはありません。

ただ、日本のアニメ界をけん引してきたスタジオジブリが、2014年に制作部門が実質的に解体されており、その後を引き継ぐ形での米林宏昌監督と西村義明Pのスタジオポノック制作第1作目として興味を持ち、運良く試写会に当選させて頂いたので、観て来ましたと言う次第です。

従って、私の感想はあくまでジブリ云々ではなく、1本の日本のアニメ映画としてとなることを前置きしておきます。

監督や出演者らの言う "見所" の微妙な違いが気になった

前述の通り、今回はTOHOシネマズ全国一斉試写会で見たため、本編上映まえに約30分間の米林監督、西村P、杉咲花さんら出演者の舞台挨拶の生中継を観ることが出来た。正直言うと、この出演者らによる「解説」がなければ、本作への理解度はかなり低かったと言わざるを得ない。

その意味では、小日向文世さんは素の声でやるよう要求されたとか、逆に遠藤憲一さんは役を作ったとか、制作裏話的な楽しく興味深い話が良かったのだが、私に奇妙に映ったのが、米林監督と杉咲花さんと満島ひかりさんと大竹しのぶさんがそれぞれ言った作品の見所が微妙に違ったこと。

詳細はネタバレにも繋がるから避けるが、「少女が空を飛ぶ冒険」なのか、「勇気を持って前に進む」ことなのか、「運命と出会い」なのか良く分からなかった。こひさんとエンケンさんの掛け合い漫才や佐藤二朗さんの漫談には爆笑させてもらったが、内容については不安いっぱいで本編に臨むこととなった…

"少女がホウキで空飛ぶ冒険アニメを撮りたかっただけ" か?

結論から言うと、監督は本作で “少女がホウキで空を飛ぶ冒険アニメを撮りたかっただけ” だったようしか見えなかったってこと。

まず、基本的に脚本が粗削り過ぎ。まず初期設定が不明瞭の上、説明不足で始まるのが頂けない。なぜ、素直に、メアリは夏休みの間だけ、森の近くの田舎町の古い屋敷に住むシャーロット大おばさまに預けられたと言う単純な設定で始めなかったのだろう?

物語が本格的に動き出すのは、40分頃。そこまでは、主人公の日常が淡々と描かれる。もちろん、映像はジブリ作品譲りの美しさを堪能できるが、こちらは絵で描いた自然を見に来ているのでない。登場人物の人間性を見に来ているのだ。なのに、不思議な花も説明が後出しジャンケン的に捕捉されるから、中盤まで退屈だ。

折角のクライマックスは既視感 魔法の設定も緊張感薄し

そして、何とかメアリの大切な人が事件に巻き込まれる60分目辺りから、やっと活劇っぽく物語が動き出す。しかし、一向に主人公は「魔法のホウキ」と「魔法の花」と言わんばかりの展開。更に、『魔女の宅急便』や『ハリーポッター』を連想させる映像やエピソードが続くから、今度は既視感が押し寄せる…

これはネタバレにはならないと思うから書くが、「一夜限りの」と言う割に、「魔法の花」はスズランみたいな “花が房状に連なる” 花だから、花1つ1つに1回?の魔法があるって設定。だから、確かに「7年に1度」の「一夜限り」なのだが、魔法は花が無くなるまで幾度も使えちゃうって設定が緊張感に乏しいのも残念…

結局、何を描きたかったのか分からなかった…

で、終わってみれば、メアリと大切な人たちとの出会いや、それで生まれた運命的な出来事で、メアリとその周辺の人たちに何が起こり、変化したのも良く分からぬまま終了。上映後、私の席の後ろの子どもが「猫が可愛かった」と言っていたのが印象的だし、ある意味本作の本質を突いているかもしれない。

あとがき

良くも悪くも、これまでのジブリ作品と映像もキャラクターも重なる部分が多いです。動物がたくさん登場するので、子供が夏休みに観るほんわかアニメとしては良いと思います。ただ、物語のテーマ性やキャラクターたちの奥深さを期待すると裏切られます。スタジオポノックの次回作に期待します。
なお、出演者総動員で盛り上げてくれた舞台挨拶は、★★★★★(最高5つ星で満点)でした。

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映画「怒り」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「怒り」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『怒り』公式)を先日、TOHOシネマズ試写会にて鑑賞。採点は、★★★☆☆(最高5つ星で3つ)。100点満点なら65点にします。なお、原作:吉田修一氏小説『怒り』は未読。
私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

猛暑の夏のある日、東京・八王子で残忍な手口の夫婦殺害事件が起こる。犯人は現場の壁に「怒」の血文字を残し、顔を整形して逃亡した。一年後、素性のわからない風体の似た三人の男が、東京、千葉、沖縄に現れる。

東京では、大企業に勤めるゲイのサラリーマン・優馬(妻夫木聡)が、新宿の怪しげなサウナで直人(綾野剛)と出会い、互いに惹かれ合い同棲を始める…

また千葉の漁港では、家出をして東京の風俗店で働いていた愛子(宮崎あおい)が、父親(渡辺謙)に連れ戻され、父の下で働く田代(松山ケンイチ)に惹かれて、結婚意識するようになる…

沖縄の無人島では、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生の泉(広瀬すず)がバックパッカーの田中(森山未來)に出会い、田中は民宿の手伝いを始める…

そして、前歴不詳の3人の男と、それぞれに出会った3組の人間たちの物語が始まる…

見応え十分なヒューマン・ミステリー映画

現場に「怒」の血文字が残された未解決殺人事件から一年、千葉、東京、沖縄を舞台にした3つの物語が、オムニバス形式とも群像劇とも言えぬ独特な表現で描かれる本作。前歴不詳の3人の男と、彼らと出会った人々がその正体を巡って、疑念と確信の狭間で激しく揺れ動く人間模様を描いたヒューマン・ミステリー映画。

信じることで見えるものと、疑うから見えるものの違い

表面的に作品を背骨を貫いているのは「整形した殺人犯・山神は何処にいるのか?」であり、犯罪ミステリー映画の顔をしている。

一方で構造的に背骨を貫いているのは、「人間が信じることで見えるものと、疑うから見えるものの違い。そして、誰もが持つ怒りと悲しみ、誰もが感じる幸福感と不幸感」であり、それを超ストレートに描いた人間ドラマだ。

切れ長の目で鼻筋が通り、涼しげでもあり冷酷にもみえる平凡な日本人顔の前歴不明の男3人が、それぞれの環境でひっそりと生きている中で、1年前の未解決殺人事件のモンタージュ写真や防犯カメラの映像が公開されたところから、男3人と出会った人間たちが「まさか、あいつが真犯人なのか?」と葛藤し翻弄される。

141分を感じさせない李相日監督の脚本と演出の一体感

千葉、東京、沖縄を舞台にした3つの個々のドラマを、単純に繋いで同時進行に見せてハラハラドキドキを狙った作品ではない。映像的にはむしろその逆。

今の舞台から次の舞台へ移る時に、次のシーンの音だけを先行してダブらせて、次にどの舞台へ移動するのか判り難くしたり、会話劇の中で突然に別の舞台へ切り替わったりと、映像的なシーン変わりの工夫が巧みだ。

141分の長尺をあまり感じなくて済むのは、脚本と監督を李相日氏が1人で担当しているからこその、映像表現だ。

"普通" を演じた渡辺謙と、"魔力" を魅せた宮崎あおい

豪華俳優陣の演技を楽しむなら、本作は是非おすすめ。特に今回の登場人物で唯一と言って良い “普通” の娘を心配する父親を洗いざらしの汗で汚れたポロシャツで父親の洋平を見事に演じ切った渡辺謙さんが、作品の重厚感を一手に引き受けていた。

また、洋平の娘で、常に気持ちに油断があり、一瞬で壊れてしまうような危うさや純粋さを持ち合わせた不思議な女性・愛子を演じた宮崎あおいさんの存在感は凄すぎ。体重を7キロ増やして作り上げた “だらしない姿態” が妖艶な魅力と守ってあげたいと思わせる愛子の魔力にさえ感じた。

その他のキャストも、と言うか配役が実に素晴らしい。もうこの役にはこの俳優としか考えられないようなベストなキャスティング。だらかこそ、俳優さんたちの演技も自然で且つエネルギッシュで、観客をラストシーンまでグイグイと引っ張って行ってくれた。

"犯罪者にも人生あり映画"と、好みが分かれる一部の描写

これから書く部分を抜きにすれば、映画『シン・ゴジラ』と並ぶ★★★★(最高5つ星で4つ)。100点満点なら80点にしたい。では、減点の要素は何なのか? 1つは、本作に限らず「犯罪者にも人生がある」と言う視点の作品に対する、「被害者にも人生がある」の部分の描写の少なさや欠落に対する不満。

もちろん、両方を上手く描くのは難しいし、面白くないかもしれない。しかし「犯罪者にも人生がある」に焦点を絞り込んだ作品には、個人的にどうしても嫌悪感を抱いてしまうのだ。

もう1つは、これはネタバレになるから詳細は書かないが、沖縄に転校してきた女子高生の泉(広瀬すず)の身に起こることの描写への嫌悪感。確かに沖縄を舞台にした、今回の物語には必要不可欠なエピソードだ。無ければ成立しない。しかし、それを知らずに観た人、特に女性には恐怖や嫌悪は強烈に映るのではないだろうか。

確かに、重たくシビアなテーマを扱い、丁寧に且つ映像的な工夫をあちこちに施して、極上のエンターテインメント作品になっている部分はある。しかし、泉に起こったことは、本作を超えた次元で重過ぎる。削れとは言わないが、本作の表現がベストだったとは、大いに疑問が残る。

あとがき

現場に「怒」の血文字が残された未解決殺人事件から一年、千葉、東京、沖縄を舞台にした3つの物語が、独特な映像表現で同時進行していきます。前歴不詳の3人の男と出会った人々がその正体を巡って、疑念と確信の狭間で激しく揺れ動く人間模様を、豪華俳優陣が見応えある演技で魅せます。

ただ、女性には好みが分かれると思われる表現が一部含まれますので、デート映画には不向きです。因みに私の妻は、「広瀬すずちゃんのあのシーンが無ければ100点なのに50点かな。私はあのシーンから涙が止まった」と言ってました。とても納得できる感想です。

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