スカーレット (第69回・2019/12/18) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト)
第12週『幸せへの大きな一歩』の
『第69回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
徹夜で10個の珈琲茶碗を作り上げた喜美子(戸田恵梨香)。初めての作陶に喜びを覚える喜美子は、八郎(松下洸平)が作った分と併せて仕上げの作業を進め、最後の工程に入る。無事、茶碗が焼き上がるよう祈りつつ、完成を待つことに。肝心な陶芸展へ向けた作品作りはまだこれからだが、二人は結婚後の想像を膨らませる。手にしたノートに将来の夢を次々書き込んで、語り合っていると、「初めてのキスはいつ?」と八郎が言い出し…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
流石に「はよ 一緒に寝たいな?」は、やり過ぎのような…
日々、作品へのモヤモヤが増大し続ける本作。もはや、作り手は意図的に視聴者にモヤモヤを感じさせて、スッキリするまで観続けさせようとしているのか!? と疑ってしまう位だ。
今回も、アバンタイトルから “モヤモヤアクセル” はベタ踏みで始まった。 今夏にNetflixで放送された『全裸監督』に負けず劣らずの、こんなヒロインの台詞から、日本を代表するNHKの連続テレビ小説が始まるとは!
喜美子「どんな寝坊してんねん。はよ 一緒に寝たいな?」
Yahoo!テレビのあらすじにあるように “徹夜で10個の珈琲茶碗を作り上げた喜美子。初めての作陶に喜びを覚える喜美子” が、浮かついでに、結婚生活を想像して言ったとは思う。
何せ、ここ最近の喜美子(戸田恵梨香)は、前回で書いたように フカ先生が去り、目に入るものが八郎だけになり、結婚すら秒読み態勢に入った途端に、「あたし、八郎クンよりも陶芸に恋しちゃった!」って感じで余裕綽々だから、何気に「早く 結婚したいな?」のつもりで「はよ 一緒に寝たいな?」と言ったのだ。
でも、社長らの許可は取っているとは言え、正月休みで他の従業員がいないとは言え、珈琲茶碗と陶芸展用の作陶の期限が迫っているとは言え、朝ドラの冒頭で、未婚のヒロインが、結婚相手の寝癖を直しながら「はよ 一緒に寝たいな?」と言うのは、どうかと思う。
クレジットタイトルの、出演者が "たった3人" に驚いた!
そして、主題歌明け…と、いつもなら書くのだが、今回はやはり何か特別だ。オープニング映像でのキャスト名が…
●語り 中條誠子アナウンサー
●川原喜美子 戸田恵梨香
●十代田八郎 松下洸平
この、3人しか無かったのだ。実質的に、「15分間を2人だけで埋める」と言うのは、成功すれば斬新だし、失敗すればモヤモヤが増えるだけ。
なぜなら、15分間で描かれることが、喜美子と八郎の台詞頼みになるから、1つでも台詞に違和感や不具合があれば、モヤモヤは更に増大し、不可思議さも巨大化するし、益々何を言いたいのか分からなくなるから。さあ、主題歌明けから、お手並み拝見としよう。
なぜ、約8時間の作業を映像化せずに、ナレーション処理?
さて、本当の主題歌明けは、窓の外に雪がチラつく夕方に少し前の商品開発室。アバンが朝だったから、既にオープニング映像中に8時間近く経過したことになる。そして、その約8時間の作業は映像化せずに、ナレーション処理。
まあ、アバンの続きでイチャイチャを見せられるよりはマシだが、前回ですら、まだ電動ろくろを満足に扱えないはずの喜美子が一晩で10個の珈琲茶碗を作り上げただけでも不可思議なのだから、ここはきちんと “八郎が教えつつ” と言うのを映像化した方が説得力があったと思う。
八郎のまるで"陶芸が本職"のような言い回しが気になった!
電気釜の蓋を閉じて、スイッチを入れた八郎が、こんなことを言った。
八郎「何回やろうと 何年やろうと
この本焼きの瞬間だけは慣れん」
確かに、八郎は商品開発と言う “本業” で、陶芸作品を作っているから、「何回やろうと」はギリギリ認めても、流石に「何年やろうと」は、まるで陶芸の本職が言うような言い回しで気になってしまった。
だから、これまでもずっと書いて来たのだ。喜美子が教わるのは、「何回やろうと 何年やろうと この本焼きの瞬間だけは慣れん」と言うのが当然の陶芸の専門家にすべきだったと。もちろん、最初から八郎を「全国的に知れ渡る新進気鋭の若手陶芸家」として入社させるなんて方が、若社長の改革にも合っていたと思う。
喜美子のだけでなく、八郎のも割れる可能性があるのでは?
外はいつのまにか雪が深々と降る夜になった。どうやら、八郎の珈琲茶碗の本焼き中に、喜美子が作った珈琲茶碗を見た八郎が6個と4個に分けた。当然 “自信満々” の喜美子は、八郎に食って掛かる。
八 郎「本焼きしたら割れる」
喜美子「えっ?」
八 郎「見た感じな」
喜美子「何で? 何で分かるん?」
八 郎「せやけど ほんまのところは 焼いてみな分からへんで?」
喜美子「割れるんやろ?」
八 郎「う~ん 僕は そう見たけど…」
ここは、喜美子には見分けがつかないが、八郎には見分けがつくってことで、本来なら喜美子の「何で分かるん?」に対して、八郎が真摯に答えるシーンにすべきだった。しかし、それをやらずに「焼いてみな分からへん」とやった。このことで、大きな疑問が浮上する。
もしも、八郎に “割れるか割れないか見分ける能力” があったとしても、「焼いてみな分からへん」のだから、八郎自身のは10個全部成功して、喜美子のは失敗すると言えるのか? 八郎のだって割れる可能性があるはず。
だって、八郎は「全国的に知れ渡る新進気鋭の若手陶芸家」でなく、「大野家には評判の良い陶芸家を目指している青年」でしか無いのだから。
プロの絵付け師・喜美子が「納品の責任」に気付くべきだった!
でもって、自信満々だった喜美子が10個中2個は本焼きで割れると言う八郎の予想に慌てる。そりゃそうだ。自信満々だったのだから。でも、ここでもう一つの大きな疑問であり、おかしなことが浮かんで来る。
脚本家は、この窮地を喜美子がどう乗り越えるのか? や、焼いてみなければ分からないと言う陶芸の奥深さや謎めいた魅力を視聴者に伝えたかったと思う。でも、八郎も喜美子も納品20個に対して、それぞれが10個だけ作った時点で終わっているのだ。脚本家の伝えたいことの1ミリも伝わらないのだ。
なぜなら。10個ずつ2セット納品するなら、割れたり仕上がりの差を考えて、普通は1セットに対して2、3個は余分に作るべきだから。実際に、八郎の分を本焼きする際の電気釜の中も、あと2個は入りそうな空間があったし。そう言う部分は、既に “プロ” の絵付け師になっている喜美子が、「納品の責任」について気付いて欲しかった(もちろん、教えている立場として八郎のミスであるのも確かだが)。
所詮 “素人” の八郎では気付かないことを喜美子が気付いてこそ、フカ先生のもとで約3年働いた意味があるのに。でも、前述の通りに今の喜美子は何に於いても “自信満々” だから、10個だった。
こう言う描写が、少しづつ「大阪の荒木荘の頃の “気が利く喜美子” とは変わったんだなぁ」と、つくづく思わせるし、「信作んとこ電話してくる」と言った段階で、残念ながら喜美子は丸熊陶業の社員としても、“プロ” としても失格だと思う。
喜美子が信じるに値する八郎にするなら八郎が指示すべき!
そして、どうでも良いようなお金の話。そして、絵を描いて2個割れる分の埋め合わせをしようとする喜美子。え~と、「焼いてみな分からへん」だよね。これまでの喜美子なら焼き終わるまで、自分がやってきた作業を、今なら八郎とやってきた徹夜作業を、信じても良かったような。
しかし、脚本家は、喜美子が八郎の「焼いてみな分からへん」ではなく、「本焼きしたら割れる」の方を信じる方を選択した。だとしたら、またモヤモヤが堂々巡りしてしまう。
喜美子が、「(本焼きの)機械による結果」よりも、八郎の「事前の見立て」を信じると言う選択をさせるなら、少なくとも “素人” であろうが八郎は「何回やろうと 何年やろうと」と言ったように、本焼きをやり失敗もして来た訳だから、やはり20個納品ならば、リスクヘッジのためにも「1セット11個以上」作るように喜美子に指示すべきだった。
でも、指示しなかった。で、結果が出る前に絵を描いて穴埋めしようと考えた喜美子になってしまった。
脚本家が2人の会話でプロと素人を描き分けていないのが元凶
この15分間で分かったことは、八郎はあくまで陶芸家の真似事をしてご近所ではちょっと評価されている素人で、喜美子はその素人に教わっている陶芸の初心者と言うこと。そして、物作りでは喜美子は “プロ” の絵付け師で、八郎は “素人” ってこと。この2つのことを、脚本家は喜美子と八郎の会話劇の基礎にしていないこと。
だから、説得力が無い。お金のことについても、いくら幼馴染の両親からの依頼だろうと、向こうは仕事で使う食器の製作と納品を依頼しているのに、勝手に価格交渉したり、絵を贈呈するみたいにするのって、ただの「イチャイチャなカップルの陶芸教室」レベルだと思う。
あとがき
前回と違って今回の15分間で、喜美子が陶芸に興味を持っているようには全く見えませんでした。とにかく、さっさと2人を結婚させちゃって、話を進めて欲しいです。もう、いい加減「イチャイチャなカップルの陶芸教室」は飽きました…
とにかく、まだまだ、私と同じ “モヤモヤしつつも離脱する程でもない人”の皆さん、一緒にモヤモヤを共有して、望みに繋げましょう!
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【これまでの感想】
第1週『はじめまして信楽(しがらき)』
1 2 3 4 5 6
第2週『意地と誇りの旅立ち』
7 8 9 10 11 12
第3週『ビバ!大阪新生活』
13 14 15 16 17 18
第4週『一人前になるまでは』
19 20 21 22 23 24
第5週『ときめきは甘く苦く』
25 26 27 28 29 30
第6週『自分で決めた道』
31 32 33 34 35 36
第7週『弟子にしてください!』
37 38 39 40 41 42
第8週『心ゆれる夏
43 44 45 46 47 48
第9週『火まつりの誓い』
49 50 51 52 53 54
第10週『好きという気持ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『夢は一緒に』
61 62 63 64 65 66
第12週『幸せへの大きな一歩』
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